3.20両国大会で佐々木大輔・葛西純との3WAYマッチを制し自身初のシングルタイトルDDT UNIVERSAL王座を獲得したMAO。彼は5.1横浜武道館大会にて2度目の防衛戦を迎える。対戦相手は朱崇花だ。その防衛戦を前に昨年8月から振り返っ…

3.20両国大会で佐々木大輔・葛西純との3WAYマッチを制し自身初のシングルタイトルDDT UNIVERSAL王座を獲得したMAO。彼は5.1横浜武道館大会にて2度目の防衛戦を迎える。対戦相手は朱崇花だ。その防衛戦を前に昨年8月から振り返ってもらった。

ーーお久しぶりです。前回の取材が、昨年8月15日青木真也選手が持つDDT EXTREME王座に挑戦する前。初めてのルール「ハードコア柔道」でドキドキしながら観戦しました。

MAO:あの時は「ハードコア柔道」のルールがキチンと整備されてなくて、観ている側の人たちが大変だったと思います(苦笑)。その後2.15新宿FACE大会でThe 37KAMIINAプロデュース興行があり、2度目の「ハードコア柔道」を行いました。相手は柔道の有段者でもある植木嵩行さん。この戦いで手応えを感じましたね。

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じつは1回目の青木真也さんとの戦いでも手応えを感じていましたが、しっかりルールを作成していなかった。ルールを実況の村田晴郎さんにも伝えるべきでした(苦笑)

――やはり1回目って、やる側も見る側も「どんなものなのか?」と構えてしまうので難しいですよね。

MAO:そうですね。結構、前衛的なことをしたと思います(笑)

――昨年8月の取材の際、MAOさんは1週間に大切な試合が2試合あり、1試合が8.15後楽園の青木戦。そしてもう1試合が8.21川﨑での勝俣瞬馬選手と組んでクリス・ブルックス&葛西純戦。2019年1月にMAOさんは「願い事を叶える権利」を手にして葛西選手と「MAOちゃんがもっとデカイ男になったら、もっとデカイ会場でやろう」と約束しました。それを果たすための戦いだと…

MAO:でも結果として葛西さんに印象を残せなかった気がします。8.21川﨑はパートナーの勝俣さんの色が出た試合。ですからMAO個人としては認めてもらえなかったですね。

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あの時、竹串が頭に刺さりました。試合中、竹串が刺さったままで衝撃的でした。

MAO:竹串はメチャクチャ痛いんです。パイプ椅子やプラケースで殴られた時はテンションが上がってきます。でも竹串って、あまりの痛さにふと我に返るんですよ(笑)。

川崎の時、トップロープから「450スプラッシュ」をしても竹串が抜けなかった。試合中、パイプ椅子で竹串の上から頭を殴られて、さらに頭に入り込みましたね。あの試合の何週間後か、頭から折れた竹串が出てきました(苦笑)。

話を伺っているだけで痛みが伝わりますね(苦笑)。その夏の戦いが終わり、年末のD王 GRAND PRIX 2021 ⅡまでMAOさんが大人しいように感じました。

MAO:実際、昨年の夏からD王GPにかけてしんどかった。特に夏あたりは…

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――初めて取材をさせて頂いた頃、そんな状態だったんですね。具体的には何がしんどかったのでしょうか?

MAO:モチベーションを保つのが難しくて…人生について考えていましたね。何をやっても結果が出なくて痩せました。

――どのくらい体重が落ちたのですか?

MAO:通常は85kgをキープしていますが、昨年夏は80kgに落ちました。トレーニングにも身が入らず、ご飯も食べませんでしたね。それが年末のD王GPで状態が戻ってきました。

――前回の取材の時、「The 37KAMIINAの中で『唯一結果を残してない』」と話してくれました。

MAO:「これ以上The 37KAMIINAで活動しても何も残せないのではないか」と思っていましたね。

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――その状態からどうやって脱出できたのですか?

MAO:D王GP前、何かできることを探していました。それで以前より興味を持っていた総合格闘家の矢野卓見さんに弟子入りし「エセ骨法」を学んだことで好転。プロレス以外のグラップリングや総合格闘技をやり始めたことで調子が上がってきました。

――「エセ骨法」を学ぶことでモチベーションが上がっていったんですか?

MAO:そうです。僕の中でエセ骨法がアイデンティティーになっていきました。第一人者の矢野さんに弟子入りしたことで説得力も増しますし、自信に繋がった。今まで知らなかった技術に触れ、それをプロレスに応用するのが楽しくなりモチベーションが回復しましたね。

――人知れず悩んでいたのですね。でもエセ骨法を学ぶあたりがMAOさんらしい。僕はMAOさんのプロレスは自由で既存の「プロレス」というカテゴリーにはまらない動きが魅力だと思います。

MAO:僕は「プロレスに正解がある」という考えが苦手。「プロレスに正解がある」とは思ってないけど「ハズレはあるよ」と考えています。その「ハズレ」をしなければ、なにをやってもいいと思っています。あくまで表現者として「ハズレ」をせず、決められた範囲の中で戦っていくのが「プロレス」だと思っています。だから観てくれる方が「自由にやっている」と捉えてくれるのかも知れませんね。

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――MAOさんは同じ技でも、入り方や飛び方が毎回違うのでワクワクします。でもそんなMAOさんが悩んでいたのは気づきませんでした。

MAO:人知れず悩んでいました。The 37KAMIINAのメンバーにしか話していなかったですね。

<インフォメーション>
5.1横浜武道館「MEGA MAX BUMP 2022 in YOKOHAMA」にて挑戦者・朱崇花選手を迎えるDDT UNIVERSAL王者・MAO選手。その他メインイベントでは第78代王者・遠藤哲哉選手にThe 37KAMIINAの上野勇希選手が挑戦します。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます

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取材・文/大楽 聡詞
編集/塩田 博史
写真提供/DDTプロレスリング