鷹のピンチを救ったのは、セットアッパーの「右足」だった。■楽天との首位決戦、勝敗分けたホークス岩嵜の好守 鷹のピンチを救ったのは、セットアッパーの「右足」だった。 13日のソフトバンク-楽天首位決戦第1ラウンド。勝負を分けたのは3点リードで…

鷹のピンチを救ったのは、セットアッパーの「右足」だった。

■楽天との首位決戦、勝敗分けたホークス岩嵜の好守

 鷹のピンチを救ったのは、セットアッパーの「右足」だった。

 13日のソフトバンク-楽天首位決戦第1ラウンド。勝負を分けたのは3点リードで迎えた8回だった。ソフトバンク先発の中田が1点を失い、なおも1死一、二塁とされたところで降板。2番手で左腕の嘉弥真が登板したが、ペゲーロに左前への適時打を浴びて1点差と迫られた。1死一、三塁。一打同点、楽天のクリーンアップを迎える場面で、マウンドに送られたのは、岩嵜だった。

 プレッシャーのかかるところ。初球から3球連続でボール。4球目は見逃しでストライクを奪い、5球目だった。外角低めへのフォークを弾き返された打球は、右腕の足元を襲った。

「(グラブでは)間に合わないと思った。咄嗟に出ました」。打球に対し、右足を出して“トラップ”。土踏まず付近に当たったボールは、足元に転がった。すぐにボールを拾い上げると、高谷へ送球。飛び出していた三塁走者を挟み、アウトにした。

■中田も感謝「神の足に助けられた」

 その後の2死一、二塁はアマダーを3ボールからの4球目で遊ゴロに打ち取り、ピンチを脱出。今季4勝目をつかんだ中田が「岩嵜の神の足に助けられました」と感謝すれば、工藤公康監督は「岩嵜くんが外野フライも許せないところで抑えてくれた。熊本の皆さんが勝たせてくれるかのように、いいところにボールが落ちた」という決死のプレーが、勝利をもたらした。

 ソフトバンクにとって、昨年の熊本地震後、初の被災地での主催試合。試合前日の12日には、選手らが益城町の小学校を訪問。岩嵜も川崎や内川とともに、広安小を訪れた。

「昨日小学校を訪問して、勝利を見せたいと約束したし、熊本の人もそれを願っていたと思う。こういうことしか僕らはできない。昨日、小学校に行って、より強く思いました」。被災地へ勝利を届けたいという思いが、体を瞬時に動かしたのかもしれない。

 絶体絶命のピンチでの登板にも「中継ぎはこういうもの。こういう展開で出て行く方が信頼されている証だと思った」とサラリと振り返った。今季16試合に登板し、8ホールドを挙げ、わずか1失点。防御率0.55の鉄壁のセットアッパーが、右腕と右足で勝利に貢献した。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani