東京2020大会のメイン会場となった、新国立競技場改め「国立競技場」。国内最大規模、観客席約68,000席を誇る日本スポーツ界の新たなシンボルとなるスポットだ。大会中は、敷地全体が囲われて中に入ることができなかったが、現在は外周部や回廊とい…
東京2020大会のメイン会場となった、新国立競技場改め「国立競技場」。国内最大規模、観客席約68,000席を誇る日本スポーツ界の新たなシンボルとなるスポットだ。
大会中は、敷地全体が囲われて中に入ることができなかったが、現在は外周部や回廊といった、一般開放しているエリアには気軽に入れるほか、スタジアムツアーに参加すればフィールドまで降りることもできる。今回はそんな国立競技場の魅力について紹介したい。
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日本建築の様式を、そこかしこに現代的にアレンジして取り入れ、清廉な雰囲気を持つ国立競技場。一方「杜(もり)のスタジアム」というコンセプトも持つこの巨大建築の近隣には、明治神宮外苑や新宿御苑といった緑豊かな環境があり、敷地内も植栽が充実している。スタジアム本体に目を移せば、2階から5階の軒庇(のきひさし)上部にも、緑が施されている。やがて緑が生い茂るスタジアムになる計画なのだろう。
5階の外周部は「空の杜」と名付けられ、普段から自由に入れる回廊として一般開放されている。まだあまり知られていないので、秘密の散歩ルートにピッタリだ。
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スタジアム外部には、東京大会の聖火台や旧国立競技場の炬火台(きょかだい)も、設置されている。他にも一周すると旧国立時代の遺産ともいえる作品の数々が設置されているので、観戦に来訪した際には、ぜひ一周してみては。
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スタジアム内に入ってみよう。訪れたことがある人は、「そういえば」と思うかもしれないが、エントランスから内部に向かって歩いていると、風を感じる。この国立競技場、「呼吸するスタジアム」ともいわれており、四季にわたって自然の風を内部に取り込み、熱や湿気を外部に放出する計画が、綿密に施されているのだ。
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多くの木材が使用されていることでも有名な国立競技場。大屋根にも、鉄骨と木を組み合わせた構造部材が使用されている。木材は、全都道府県から調達した、カラマツやスギなどの木材が使用されているという。
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スタンドのモザイク状の配色は、木漏れ日からインスピレーションを得た配色だとか。落ち着いた色でありながら、本来無機質な構造物であるスタジアムに、何かが始まる、動き出す様な期待感を静かに抱かせてくれる。
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スタンドの最上段には、車いす用の観覧席が。同伴者用の席も合わせて設置されており、一緒に観戦することができる。その座席にも、背もたれの座席表に点字が施されているほか、聴覚障がい者向けの集団補聴設備「ヒアリングループ」が設置されているなど、ユニバーサルデザインの点でもさまざまな取り組みが施されている。
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東京大会では、開閉会式と陸上競技が行われた国立競技場。現在もトラック上に、パラリンピックのマーク「アギトス」が刻まれている。ここを舞台に、男子400mと1500m(T52/車いす)に出場した佐藤友祈選手の金メダルをはじめ、陸上競技では日本代表選手団のメダル「12」が生まれた。
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国立競技場は、この4月からスタジアムツアーを開始した。ここに紹介した通常は立ち入ることができない、競技者専用エリアに入ることができるほか、東京大会で使用した表彰台やロッカールームなど、あの夏の興奮を選手と同じ目線で堪能することができる貴重な機会だ。この記事で興味を持った方は、ぜひ訪れてみてほしい。
text by Satoshi Kataoka
photo by TEAM A