ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝第2戦バルセロナ対フランクフルト。フランクフルトにとって、1-1で終えたホームでの第1…

 ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝第2戦バルセロナ対フランクフルト。フランクフルトにとって、1-1で終えたホームでの第1戦の戦いぶりは決して悪いものではなかった。もしかしたら......と、サポーターに期待させる試合内容だった。それでもバルセロナは格も実力も何枚も上の相手。しかも第2戦はカンプ・ノウだ――。

 勝利の瞬間、選手たちはまるで優勝でもしたかのように、ピッチ上で喜びを爆発させた。カンプ・ノウのバックスタンド最上段はフランクフルトからのサポーターで埋まっていた。彼らの喜びの歌を、選手たちはピッチに座って聞き、踊り、喜びをわかちあうという"儀式"を行なった。

 ひと段落して、ベンチに引き上げるそぶりをみせながら、またサポーターの元に戻る。そんな子どものようなことを何度も繰り返し、なかなかピッチを立ち去らない。サポーターよりも選手のほうが喜んでいるように見えた。オリバー・グラスナー監督は「今夜ここにいることのできた誰もが、この出来事を忘れることはないだろう。こんなに感動的なハイライトは、世界中のどんなお金でだって買うことはできない」と、歴史的勝利を喜んだ。



バルセロナ戦後、サポーターの声援に応える鎌田大地、長谷部誠らフランクフルトの選手たち

 アウェーでの挑戦者らしい戦いだった。5-4-1の守備的な布陣を採用し、統率の取れた守備で相手の攻撃を受け止めた。

 試合は開始早々の3分、イェスパー・リンドストロームが倒されて得たPKをフィリップ・コスティッチが冷静に決めるところから始まった。早すぎる先制点は相手の猛攻を呼ことにはなったが、守備が冴えていた。高い集中力を見せ、球際の一歩目のスピード感、フィジカルでバルセロナを圧倒した。

 耐え続けて、36分。カウンターでコスティッチからのラストパスをサントス・ボレが豪快に決め0-2に。相手の士気を奪った。

 後半、メンバーを替えて立て直しを図り、再び攻勢を強めるバルサの望みを絶ったのは67分。右サイドのスローインから、鎌田大地が巧みにワンタッチで左サイドに展開すると、コスティッチが強烈なミドルシュート決め、0-3とした。

長谷部が見せた現役の選手としての自負

 鎌田はフル出場。77分には相手をかわし、自らも強烈な右足シュートを放ったが、枠を捉えることはできなかった。それでもこの日の鎌田は、チャンスメイクだけでなく、相手のパスカットなど守備でも貢献度は高かった。ピッチのいたるところで、なくてはならない存在だった。

 90分に差しかかったところで、ベンチスタートだった長谷部誠とティモシー・チャンドラーに声がかかった。ここでバルセロナに1点を返され、いったんは保留になったが、9分間という長いアディショナルタイムのラスト1分のところで、再び声がかかった。「一度も立ったことがないので、立ちたい」と話していたカンプ・ノウの舞台に長谷部はわずかながら立つことができた。その後、さらにPKで1点を返されて2-3になったが、直後に試合は終了した。
 
 長谷部は今年2月、フランクフルトとの5年間の契約延長を発表している。38歳という年齢を考えれば異例の契約だが、引退後は同クラブで指導者としての道を歩き出すところまでが盛り込まれている。だが長谷部は、「おそらく来季いっぱいで引退だろうと」しつつも、現役選手としての意地を口にしている。

「あまり試合に出なかったりするなかで、リズムが掴みづらい時はやはりあるかなというのは感じていますが、試合に出たらしっかりとやるということはできていると思います。じゃなかったら、契約延長はなかったと思います」

「ここ数年、最後の1年だと思ってずっとサッカーして、1年ずつ契約を更新している。こんなに長くサッカーをやるとは思ってなかったし、その引き際をどういうタイミングで決めるのかはわからないけれど、契約をもらえなかったら辞めるだろう」

 契約があるということは現役の選手として認められているということ。そんな自負が言葉の端々に滲んだ。

 フランクフルトにとってEL準決勝は2018-19シーズン以来となる。アディ・ヒュッター前監督の1シーズン目で、ドイツ杯1回戦敗退などシーズン序盤は苦戦しながら、ブンデスリーガでは尻上がりに調子を上げていったシーズンだった。それでもEL準決勝進出は予想以上の快挙。その準決勝ではチェルシーを相手に2戦合計で2-2、PK戦の末に敗れている。

 ロンドンでの第2戦が終わり、長谷部は当時こう話していた。

「いい戦いをしたと思うけれど、最終的な結果がこういう形(準決勝敗退)なので、サッカーはあらためて残酷だなという思いもある。自分たちのチームに対して、誇りのようなものも感じているし、チームメイトだけではなくて、ファンを含めたこのアイントラハト・フランクフルトというチームがここまで来れたということは、僕らはヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグの常連ではないので、そういう意味でクラブを誇りに思います」

 この時はチェルシーに敗れはしたものの、胸を張ることのできる内容と結果だった。だが、今回は少し違う。優勝候補の大本命バルセロナを倒したフランクフルトの準決勝の相手はウェストハムだ。選手もファンも、求めるのは勝利だろう。

 準決勝第1戦は2週間後、場所は3年前と同じロンドンだ。フランクフルトがどんな試合を見せてくれるか、楽しみにしたい。