「2歳王者」のドウデュースが2着に敗れた弥生賞。大混戦の3歳牡馬戦線を象徴する一戦だった 今年の3歳牡馬世代は、依然とし…



「2歳王者」のドウデュースが2着に敗れた弥生賞。大混戦の3歳牡馬戦線を象徴する一戦だった

 今年の3歳牡馬世代は、依然として混戦模様が続いている。それは、昨年末のGI朝日杯フューチュリティS(12月19日/阪神・芝1600m)から3月末のGIII毎日杯(3月26日/阪神・芝1800m)までの、牡馬混合重賞の10レースすべてで1番人気が敗れていることからしても明らかだ。

 また、昨年末や年明けの重賞を勝っている有力どころが、牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)へ直行。そういった馬たちの実力比較が難しいうえ、今年は皐月賞の登録メンバーのなかに複数の重賞を勝っている馬が1頭もいないため、混戦に一層の拍車をかけている。

 おかげで、牡馬クラシックを前にして断然の支持を得ている馬が不在。どの馬が戴冠を遂げるのか、まったくわからない状況にある。

 ともあれ、トラックマンなど識者の面々はどの馬を評価しているのか。目前に迫った皐月賞、続くGI日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)を目指す3歳牡馬の、現時点での『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、クラシックに挑む3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。



 1位になったのは、昨年末の第1回ランキング(12月15日時点)と同じくイクイノックス(牡3歳/父キタサンブラック)。ただし、前回は24ポイントを獲得したものの、今回は18ポイントにとどまった。それだけ目下の3歳牡馬戦線が混戦、ということなのだろう。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「皐月賞には、GII東京スポーツ杯2歳S(11月20日/東京・芝1800m)からのぶっつけという挑戦的なローテで参戦。加えて、その東スポ杯2歳Sで下した面々はその後、それなりに走っているものの、特筆すべき相手ではなかったという可能性もあり、同馬の評価が難しくなりました。

 そうは言っても、2年前に三冠馬となったコントレイルがその前年に完勝した東スポ杯2歳Sも(レースレベルは)同じような感じでした。それを思えば、コントレイルと同様、勝ち馬であるイクイノックスのパフォーマンス自体は本物と見ていいのではないでしょうか。

 1週前にクリストフ・ルメール騎手が騎乗して、感触も確かめています。皐月賞では、舞台となる中山コースでごちゃついた時にどうなるかが課題となりますが、実力的には世代上位と踏んでいます」

本誌競馬班
「これまでの2戦とも、他馬を圧倒するレースぶりには目を見張るものがありました。スケールの大きさは世代屈指の存在と見ています。東スポ杯2歳Sから直行という異例のローテも苦にしないのではないでしょうか」



 2位は、ダノンベルーガ(牡3歳/父ハーツクライ)。ステップレースのなかでも注目度の高いGIII共同通信杯(2月13日/東京・芝1800m)を快勝し、前回圏外から一気にランク入りを果たした。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「ストライドはそれほど伸びるタイプではないのですが、追わせると味があって、新馬戦ではブレないフォームで迫力満点の伸び脚を見せました。まだトモに緩さはあるものの、素質の高さは明白です。

 新馬戦から約3カ月ぶりに挑んだ共同通信杯でも、キャリア2戦目ながら堂々としたレースぶりを披露。強じんな末脚を繰り出して、外を回るロスや展開の不利をモノともせずに勝ちきったあたりは評価していいでしょう。

 多少かき込む走法で道悪もこなせますし、回転が速く、軽さもある走法ゆえ、時計勝負にも対応できそう。今後の成長次第では、一流馬になれる逸材です」

土屋真光氏(フリーライター)
「デビュー2連勝。いずれも、追い出してからのエンジンがケタ違いでした。また、2戦とも少し時計がかかる馬場で後半勝負型のレースとなって、胸を張った走法にぴったりでした。とはいえ、高速馬場や序盤からガンガン流れるような展開になっても、回転数と推進力を備えた爆発力が鈍ることはなく、むしろ逆に威力が増すのではないでしょうか」

 3位は、デビュー前から評判の高かった素質馬キラーアビリティ(牡3歳/父ディープインパクト)。GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)制覇という実績も残して、大きくランキングを上げてきた。

吉田氏
「3戦目のオープン特別・萩S(10月30日/阪神・芝1800m)はやや若さを見せて、取りこぼしてしまった印象があります。しかし、続くホープフルSでは好位で折り合って、正攻法の競馬から抜け出す芸当で快勝しました。

 ややかき込みの利いたピッチ走法で、器用さと機動力を備えており、小回りコースで自ら動く形がベターでしょう。つまり、東京・芝2400mよりは中山・芝2000m向き。気性的にぶっつけも問題ないため、皐月賞での期待が高まります」

木南氏
「ホープフルSからの直行ローテ。結果的に今年は桜花賞も皐月賞も1勝馬が抽選で出られることになりましたが、早くに賞金を加算してクラシックに備えることができたのは、やはりアドバンテージになると思います」

 4位には、GII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)で「2歳王者」のドウデュースを下したアスクビクターモア(牡3歳/父ディープインパクト)が入った。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「弥生賞は前半からかかりどおしでしたが、逃げ馬のうしろにはいたかったようで、結局は外目2番手につける我慢の競馬となりました。それでも、残り800mすぎに外からロジハービンが迫ってきたため、これに抜かせまいと仕掛けたことによって、ペースが上がって折り合いがついた格好。あとは、ドウデュースの猛追をなんとかしのいで粘り込んだ印象です。

 あれだけかかりながら押しきるのだから、強いのは間違いありません。瞬発力も十分に備えていますが、オープン特別のアイビーS(3着。10月23日/東京・芝1800m)でドウデュースに軽くひねられたのは、少し気になるところです」

 5位は、ドウデュース(牡3歳/父ハーツクライ)。朝日杯FSを制した2歳王者は、弥生賞(2着)を叩いて万全の態勢でクラシック本番へ向かう。

市丸氏
「弥生賞は、勝ったアスクビクターモアとはクビ差の2着で同タイム。能力的にはほぼ同じと見ています。レースとしては、とりたいポジションを他馬にとられてしまい、直線でも外に出そうとした時にボーンディスウェイと接触。そういう意味では"負けて強し"の内容でした。

 ただ、過去10年の皐月賞馬を見ると、朝日杯FSを使っていたのは2013年の覇者ロゴタイプだけ、というのが気になります。2着馬には一昨年のサリオスが、3着馬には昨年のステラヴェローチェがいるため、そこまで不安視することではないかもしれませんが、ドウデュースにとっては嫌なデータであることは間違いありません」

 激戦の2歳牡馬戦線。皐月賞である程度の勢力図が見えてくるのか、はたまた、混戦のままダービーに向かうことになるのか。有力馬同士が初めて相まみえるクラシック初戦にまずは注目したい。