村田諒太VSゴロフキンが9日ゴング ボクシングのWBAスーパー・IBF世界ミドル級(72.5キロ以下)王座統一戦は、9日にさいたまスーパーアリーナで開催される。8日は都内のホテルで前日計量が行われ、WBAスーパー王者・村田諒太(帝拳)、IB…

村田諒太VSゴロフキンが9日ゴング

 ボクシングのWBAスーパー・IBF世界ミドル級(72.5キロ以下)王座統一戦は、9日にさいたまスーパーアリーナで開催される。8日は都内のホテルで前日計量が行われ、WBAスーパー王者・村田諒太(帝拳)、IBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)はともにリミット72.5キロでクリア。新型コロナウイルスの最終検査も陰性となり、日本ボクシング史上最大の興行成立が確実となった。戦績は36歳の村田が16勝(13KO)2敗、この日40歳の誕生日を迎えたゴロフキンが41勝(36KO)1敗1分け。

 最大の懸念事項を乗り越えた。村田、ゴロフキンともに最後のコロナ検査を終え、ともにクリア。もちろん、計量もパスし、リングに上がる資格を得た。報道陣は抗原検査が義務付けられるなど感染対策を徹底。実現に向けて奔走した帝拳ジムの本田明彦会長は「(感染者は)いくら気をつけても出てしまう時は出るんです。最後の検査が終わりました。(興行成立は)奇跡です」と2年間の歩みを振り返った。

 村田が最後に試合をしたのは、2019年12月の初防衛戦。20年上旬からコロナ禍に見舞われ、試合が決まりかけては流れた。その度に多くのビッグネーム、海外プロモーターと交渉を続けてきた同会長。「2年間、本当に大変でした」。他の選手たちは村田と練習時間をずらし、ジムでの練習も一日置きにさせるなど密にならないよう努めた。

 対戦相手の陣営だけではなく、国など関係各所との連携を続けてたどり着いた。総額20億円を超える日本史上最大の興行。最高額22万円のチケットから完売し、3月中旬には「金額的に採算も取れました」と明かした。「ただ、途中からビジネスのことは考えず、試合を成立させることだけを考えてきました」と尽力。ホテルのワンフロアを貸切ったゴロフキン陣営の滞在費は4500万円にもなるなど、手間も費用もかかった。

 昨年末の開催予定からオミクロン株感染拡大の余波で延期された一戦。世界的に人気のあるミドル級は破格の金額が動く階級だ。陣営の苦労を知る村田は、3月3日の再発表会見で感謝の想いを語っていた。

村田諒太が語った陣営の苦労「どうしても経済規模が違う階級」

「かなりの条件が揃わないと、ミドル級のタイトルマッチなんかできない。どうしても経済規模が違う階級。なぜ、日本でライト級から上の世界チャンピオンがなかなか出なかったのか。(金銭面では)日本主導で動かせない。ミドル級で世界戦をやることは、もの凄いリスクを背負いながらいろんな方が動いてくれている。それでやっとタイトルマッチにたどり着く。(数を重ねると)当たり前のことのようになってしまうんですけど、実はもの凄い勘違い。

 だから、2年間試合ができないという状況で気づくのは『自分がいかにやってもらっていたか』ということ。『何でできないんだ』という感じじゃないわけですよ。『もの凄い大変なことをしてくれていたんだな』と、この2年間で改めて思いましたし、コロナ禍が改めて自分の置かれている環境のありがたさを教えてくれました。帝拳ジムの皆さんがこうやって試合を組んでくれたおかげ。そこに対しての感謝は大きくなる。ここまで待ってくれたゴロフキンへの感謝も大きい」

 興行を無事に開催することがプロモーターの仕事。約50年にわたって日本のボクシング界を見てきた本田会長は、2年間耐え続けた村田への労いと期待を口にした。

「村田は本当によく頑張りました。精神的に凄いです。自分を律するところは天性の物。(ゴロフキン相手に)同じ動きをしてはいけません。すぐに読まれます。ゴロフキンは相手に打たせることを本当に嫌う選手。ジャブは本当にうまい。ジャブでコントロールされたら終わり。村田のボクシング脳は私なんかより上です。考えに考えに考えている。それに期待しています。接近してプレッシャー(圧力)を掛けられるかどうかです」

 世紀の一戦まで1日。本田会長は「待った甲斐があります」と日本人王者を送り出す。あとは村田が勝つだけだ。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)