日本ラグビーのリーグワンに明るい話題が届いた。南アフリカ代表のスクラムハーフ、ファフ・デクラークが来シーズン、横浜キヤノンイーグルスでプレーすることが濃厚となっている。2019年のワールドカップ日本大会で大活躍したヒーローは、2023年シー…

日本ラグビーのリーグワンに明るい話題が届いた。

南アフリカ代表のスクラムハーフ、ファフ・デクラークが来シーズン、横浜キヤノンイーグルスでプレーすることが濃厚となっている。2019年のワールドカップ日本大会で大活躍したヒーローは、2023年シーズン最大の注目選手となるだろう。

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■南アフリカを牽引する名選手

デクラークは現在、30歳。2017年からイングランドのセール・シャークスでプレー、これまで69試合に出場し11トライを決めている。身長170センチ、体重88キロとスクラムハーフとしても小柄だが、積極的なプレースタイルで5試合に出場し南アフリカを牽引、自身も1トライを記録しワールドカップ・チャンピオンに導いた。金髪をなびかせて駆け回る姿は、ピッチでもよく目立った。

デクラークの特徴は、ラン。タイミング鋭く密集サイドを突破するシーンが目に焼き付いているファンも多いだろう。さらに、味方ボールであるにも関わらず、密集から離れてバックスラインの大外で待つという大胆なプレーもあった。私自身テレビの前で、「なんでここにスクラムハーフがいるんだ!」と叫んだのを覚えている。

一方で、大男たちに果敢に挑むタックルにも気の強さが表れる。創造力に長け、勇気あるデクラークのプレーが日本で見られるかと思うと、今からワクワクする。ボーデン・バレット、TJペレナラ、ダミアン・マッケンジーに並び人気を博すことに間違いない。

■紆余曲折があった横浜のデクラーク獲得

リーグワン初年度はコロナで多くの試合が中止になり、NTT系2チームの再編、ディビジョン3の宗像サニックスブルースの廃部決定と、暗い話題も多かった。デクラークのリーグワン参戦は、ファンにも勇気を与えてくれるニュースだ。

デクラーク入団に関しては、紆余曲折があった。今年2月にはNTTドコモレッドハリケーンズ大阪への入団が有力視され、複数のイギリス・メディアの報道もあった。しかし、3月16日に大阪とNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安のチーム再編成が発表されたことで事情が一変した。

事実上、大阪との交渉が白紙に戻ったことを受け、デクラーク獲得に乗り出したのが横浜だった。今季は勝ち点32と4位につけ、プレーオフ進出を射程圏に入れている。デクラークをスコッドに加えることによって、戦力アップとさらなる観客動員を目指して積極策に出た。

■プレーオフに向けていざ終盤戦へ

日本ラグビーのリーグワンは、カンファレンス1と2の交流戦を終え、9日から終盤戦がスタートする。最後に現在の上位チームの状況を見ておこう。

前述したように、5月14日から始まるプレーオフに進めるのは4チームだけ。現在、東京サントリーサンゴリアスが勝ち点46でトップをいくが、2位クボタスピアーズ船橋・東京ベイと3位埼玉パナソニックワイルドナイツが、それぞれ勝ち点44、40と肉薄している。また、4位、5位の横浜とトヨタヴェルブリッツは32で並ぶ混戦だ。

注目のカードは、9日の船橋・東京ベイvs横浜、23日の横浜vs埼玉、そして最終節5月7日のトヨタvs東京、埼玉vs船橋・東京ベイ。どのチームがリーグワン初代チャンピオンになるのか、注目していきたい。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。