5月20日に開幕するU-20W杯に挑む日本の守備の要は、福岡で活躍する18歳のDF冨安健洋。昨年、高校3年生ながらJ1デビュー果たすと、その後もレギュラーとして試合に出続けた。冨安を抜擢したのは福岡で監督を務める元日本代表DF井原正巳。冨…


 5月20日に開幕するU-20W杯に挑む日本の守備の要は、福岡で活躍する18歳のDF冨安健洋。昨年、高校3年生ながらJ1デビュー果たすと、その後もレギュラーとして試合に出続けた。冨安を抜擢したのは福岡で監督を務める元日本代表DF井原正巳。冨安が高校2年生のころからトップチームの練習に参加させ、守備の鉄則を叩き込んできた。冨安自身も井原監督から多大な影響を受けたと話している。(取材・島田 徹/サッカー新聞エル・ゴラッソ福岡担当)

井原監督に叩き込まれた守備の鉄則

―17歳でトップチームに昇格して以降、実際に試合でマッチアップして印象に残っている選手はいますか?

「昨季、ボランチとしてプレーしたときにすごいと感じたのは、神戸のニウトン選手です。本当にすごかった。ボール扱いがうまい上に体も強い。セカンドボールもほとんど拾われて、僕は何もできずにただ走っているという状況で終わってしまいました。
 CBとしては磐田のジェイ選手です。ボールが収まるし、空中戦も抜群に強かった。
 そして、浦和の興梠選手です。(昨年の)リオ五輪に(トレーニングパートナーとして)帯同させてもらって練習で対戦したのですが、あの動き出しの鋭さ、タイミングの質の高さには本当に驚きました」

 ―相手FWとのマッチアップの中で駆け引きの重要性を知ったということでしょうか。

「例えば、守備側からしかける駆け引きがあります。ラインを上げるときには『裏のケアを意識しているよ』と見せておいて、相手にボールが入ったときにすばやく寄せる。逆に空中戦のときやクサビのパスが入ったときなどは、一度、自分から体を当てに行って動きをけん制をしていく。そういう工夫に関しては、高校2年生のときからトップチームの練習に参加させてもらうようになって、井原監督からかなりのアドバイスをいただいています」

 ―それは、福岡U-18時代には意識していなかったことですか?

「そもそもユースのときはあまりCBでプレーしていなかったという前提はあるのですが、DFとして必要な細かいスキルはあまり意識していませんでした。空中戦で競り合う際、ジャンプする前に体をぶつけるとか、自分のプレースペースを確保するとか、ドリブルに対応する際の自分の体の入れ方や使い方とか、(井原監督に教わったことは)とても新鮮でした。
 また、『相手によって戦い方、対応の仕方は変えたほうが良いよ』と言われたことも印象に残っています。例えばウチのウェリントン選手のように体が大きくて強いタイプの選手だと、あまり僕が体をくっ付け過ぎると入れ替わられてしまうので、少し距離を置くほうがいいということですね」

U-20W杯では相手にチャンスを作らせない

―U-20日本代表ではどのような役割を果たそうと考えていますか?

「歳が二つ上の選手がいるチームなので、そこまで『自分が』という感じではありませんが、長くチームに呼んでもらっているのは事実なので、責任を感じながらチームをけん引する働きはしたいと思っています」

―目標として、本大会でも無失点にはこだわりを持っていたいですか?

「無失点にこだわるというよりも、(相手には)チャンスさえ作らせたくない。1回のチャンスを決めてくる能力を持つ選手がたくさんいると思うので、それくらいの気持ちでプレーしたいと思っています」

冨安 健洋(とみやす・たけひろ)

1998年11月5日生まれ、18歳。福岡県出身。185cm/70kg。福岡U-15から福岡U-18を経て、高校3年時の2016年にプロ契約を結びJ1デビューを果たした。