4月4日(月)、男子日本代表のフィリップ・ブラン監督が今年度の日本代表35名の発表に伴い、リモート会見を行った。その模様を3回にわけてお届けする。最後の第3回は選手選考について。各ポジションの現状を分析しつつ、上昇意欲があれば、年齢にかかわ…

 

4月4日(月)、男子日本代表のフィリップ・ブラン監督が今年度の日本代表35名の発表に伴い、リモート会見を行った。その模様を3回にわけてお届けする。最後の第3回は選手選考について。各ポジションの現状を分析しつつ、上昇意欲があれば、年齢にかかわらずチャンスはあると強調した(記者会見のコメントを一部改変)

 

年齢が基準ではないと髙橋藍や大塚達宣が証明

 

 ライバルが最も多いポジションがアウトサイドヒッターです。昨年、また今シーズンのVリーグにおいても著しく成長した選手がたくさんいます。選抜基準は選手の補完性に基づきます。質の高いサーブレシーブとサーブは常に必要ですか、ブロックやトランジションアタック、ハイボール(二段トス)のスパイク技術といったその他の重要課題も考慮しなければなりません。

 

【写真】2022年度男子日本代表チーム登録メンバー35人

 

 オポジットは、この夏の課題です。西田有志選手(ビーボ・ヴァレンティア[イタリア])のバックアップ(後ろだて)としては、高い攻撃力とサーブ力、さらにブロック力を発揮する選手が必要となります。

 

 ミドルブロッカーについての目標は、オフェンスに優れた選手とディフェンスに秀でた選手を2人ずつ使って、ブロックの効果が高い体制を作ることです。

 

 リベロは以前から申し上げているとおり、日本には世界で最も優れた選手のうちの一人がいます。今リストに入っている選手たちを見ても、順調に進化していると思っています。

 

 続いてセッターについて。オフェンス部門をコントロールする強力なセッターがいないような強豪チームなどありません。昨シーズンは大きな収穫がありました。関田誠大選手(ルビン[ポーランド])はポーランドでの滞在を生かし、その資質を伸ばすことができました。ただ補完性の観点から、ゾーン2(前衛ライト)でブロック力のある大型セッターを育成する必要があります。

 

 セッターの話をしましたので、ここで藤井直伸選手の回復を祈りたいと思います。本人にはすでに伝えていますが、私は彼が戦う人であることを知っています。彼は病を治し、そしてこの試練を通して、以前よりも強くなることでしょう。またすぐに会えることを願っています。

 

 さて、次は新しい選手と若手選手についてです。すでに申し上げたとおり、年齢が代表チームの選抜基準であってはならないことを確認したいと思います。髙橋藍選手(日本体大3年、パドヴァ[イタリア])や大塚達宣選手(早稲田大4年、パナソニックパンサーズ)の例がそれを証明しています。選手自身に才能があって、全力を注ぐならば、たとえ若くてもすべてが可能なのです。

 

大塚達宣、髙橋藍ら若い選手が実績を作っている

 

 

 中長期的には、特に選手の体格的なサイズに注意を払う必要があります。日本はほかの強豪国との身体的なギャップ(隔たり)を減らす必要があります。とはいえ、身長だけが基準になるわけではありません。明白な精神的資質を示す選手たちには、彼らが最も高いレベルに到達できるように、時間とエネルギーを投資する価値があるのです。

 

 今年、有望な選手の何人かは4月から合宿に参加できないことを残念に思っています。もちろん新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、大きいのは大学のカリキュラムにおける問題です。4〜5月に代表チームで強度の高いトレーニングができなければ、世界選手権出場チームに入れる可能性はわずかしか残りません。

 

 フランスのことわざをご紹介します。

 

「ムダにした時間はもう取り戻せない」

 

 ありがとうございました。

 

(完)

 

【第1回を読む】男子日本代表 フィリップ・ブラン監督の決意①「パリオリンピックに出場する目標を達成したい」

【第2回を読む】男子日本代表 フィリップ・ブラン監督の決意②「課題はブロックとハイボールのアタック」

 

2022年度男子日本代表登録メンバー(35人)

<背番号/名前(所属)/身長/ポジション>

OP=オポジット、OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、S=セッター、L=リベロ

 

1 西田有志(ビーボ・バレンティア[イタリア])/187cm/OP

2 小野寺太志(JTサンダーズ広島)/200cm/MB

3 深津旭弘(堺ブレイザーズ)/183cm/S

4 大竹壱青(パナソニックパンサーズ)/202cm/OP

5 大塚達宣(早稲田大4年)/194cm/OH

6 山内晶大(パナソニックパンサーズ)/204cm/MB

7 高梨健太(ウルフドッグス名古屋)/190cm/OH

8 関田誠大(クプルム・ルビン[ポーランド])/175cm/S

9 大宅真樹(サントリーサンバーズ)/178cm/S

10 髙橋健太郎(東レアローズ)/202cm/MB

11 富田将馬(東レアローズ)/190cm/OH

12 髙橋 藍(日本体大3年)/188cm/OH

13 小川智大(ウルフドッグス名古屋)/176cm/L

14 石川祐希(パワーバレー・ミラノ[イタリア])/191cm/OH ※主将

15 李 博(東レアローズ)/195cm/MB

16 宮浦健人(ジェイテクトSTINGS)/190cm/OP

17 山崎彰都(ウルフドッグス名古屋)/190cm/OH(初)

18 仲本賢優(パナソニックパンサーズ)/187cm/OH(初)

19 新 貴裕(パナソニックパンサーズ)/181cm/S(初)

20 山本智大(堺ブレイザーズ)/171cm/L

21 永露元稀(ウルフドッグス名古屋)/192cm/S

22 樋口裕希(堺ブレイザーズ)/191cm/OH

23 佐藤駿一郎(東海大4年)/205cm/MB

24 高橋和幸(ジェイテクトSTINGS)/170cm/L(初)

25 中村駿介(パナソニックパンサーズ)/186cm/S(初)

26 村山 豪(ジェイテクトSTINGS)/192cm/MB(初)

27 古賀健太(大分三好ヴァイセアドラー)/188cm/OP(初)

28 伊藤洸貴(大分三好ヴァイセアドラー)/190cm/S(初)

29 藤中颯志(VC長野トライデンツ)/178cm/L(初)

30 エバデダン ラリー(筑波大4年)/195cm/MB(初)

31 垂水優芽(筑波大4年)/187cm/OH(初)

32 西川馨太郎(筑波大4年)/195cm/MB(初)

33 牧 大晃(筑波大1年)/210cm/OH(初)

34 甲斐優斗(専修大1年)/200cm/MB・OP(初)

35 麻野堅斗(東山高3年)/206cm/MB(初)

監督 フィリップ・ブラン(公益財団法人日本バレーボール協会)

 

※年齢・所属は2022年4月4日時点

 

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フィリップ・ブラン監督

大塚達宣(早稲田大)と髙橋藍(日本体大)

西田有志(ビーボ・バレンティア)


小野寺太志(JT)

深津旭弘(堺)

大竹壱青(パナソニック)


大塚達宣(早稲田大4年)

山内晶大(パナソニック)

高梨健太(WD名古屋)


関田誠大(ルビン)

大宅真樹(サントリー)

髙橋健太郎(東レ)


富田将馬(東レ)

髙橋藍(日本体大)

小川智大(WD名古屋)


石川祐希(ミラノ)

李 博(東レ)

宮浦健人(ジェイテクト)


山﨑彰都(WD名古屋)

仲本賢優(パナソニック)

新 貴裕(パナソニック)


山本智大(堺)

永露元稀(WD名古屋)

樋口裕希(堺)


佐藤駿一郎(東海大4年)

高橋和幸(ジェイテクト)

中村駿介(パナソニック)


村山 豪(ジェイテクト)

古賀健太(大分三好)

伊藤洸貴(大分三好)


藤中颯志(VC長野)

エバデダン・ラリー(筑波大4年)

垂水優芽(筑波大4年)


西川馨太郎(筑波大4年)

牧 大晃(筑波大1年)

甲斐優斗(専修大1年)


麻野堅斗(東山高3年)