Jリーグでは、J1のみならずJ2でも熱い試合が繰り広げられている。22チームによる争いで、無敗にて首位に立っているのが…

 Jリーグでは、J1のみならずJ2でも熱い試合が繰り広げられている。22チームによる争いで、無敗にて首位に立っているのが横浜FCだ。1年でのJ1復帰を目指し、好調なスタートを切った横浜FCの戦いぶりを、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■注目したい小川の存在

 いずれにしても、前からのプレッシャーをかけるスタイルをさらに進化させ、相手の戦術的な変化にも対応できるようにすること。そして、GKを含めた最終ラインのコンビネーションを改善することによって、横浜FCはJ2優勝=J1復帰の目標に近づいていくことだろう。

 4月の後半には第8節終了時点で4位に付けているベガルタ仙台や3位のFC町田ゼルビアとの上位対決も控えているので注目したい。

 ところで、もう一つ注目したいのが8戦で7ゴールを叩き出した小川航基の存在である。

 小川は高校時代(神奈川・桐光学園)からシュート技術の高さには定評のある選手だった。とくに、約20メートルほどの距離から、美しい軌道のシュートは最大の魅力だった。

 当然、将来の日本代表のエースとしての期待も大きかった。実際、2017年に韓国で開催されたU-20ワールドカップではエース格の存在で、初戦の南アフリカ戦でも得点を決めたものの、2戦目のウルグアイ戦前半に前十字靭帯損傷という大怪我を負ってチームを離脱してしまう。

 その後も、2020年の東京オリンピックを目指すチームにも招集されたし、2019年のE-1選手権(東アジア選手権)では国内組だけのA代表に招集され、代表デビューとなる香港戦でハットトリックを決めてみせた。

 だが、クラブで結果を出せなかった小川は代表からは遠ざかってしまった。

 高校を出てから加入したジュビロ磐田ではなかなか結果を出せず、出場機会も十分に与えられず、2019年には水戸ホーリーホックに期限付き移籍してJ2で7ゴールを決めて磐田に復帰。2020年には9得点して、いよいよ完全復活間近かと思われたが、2021年にはFWの座をルキアンに奪われて再び出場機会を減らして、J2リーグでわずか1得点に終わってしまっていた。

■小川の適正に合うポジション

 その小川が、今シーズンから横浜FCに完全移籍。出身地、横浜のクラブでその才能をようやく開花させたのだ。

 横浜FCではワントップだけでなく、シャドーの位置でプレーすることも多くなったが、小川の最大の魅力は山形戦で見せたように距離のあるところからの美しいミドルシュートなので、シャドーというポジションも小川の適性に合っているのかもしれない。

「得点力のあるFW」は、日本代表にとっても必要とされるポジションである。いわゆる“最後のピース”なのかもしれない。

 アジア最終予選のオーストラリア戦でもベトナム戦でもあれだけ多くの得点機会を作りながら、シュートを決められずに苦しんだのは記憶に新しい。ワールドカップ本大会では、ドイツやスペインを相手にそれほど多くの得点機は作れないはず。少ないチャンスに確実に決めきるには、やはりシュート技術のあるFWが必要となる。

■サプライズ選出なるか?

 もちろん、これから11月までの間には大迫勇也が完全復活してくれるかもしれないし、上田綺世が才能を発揮するかもしれない。さらに、点取り屋候補としては前田大然古橋亨梧もいる。だが、今の好調ぶりを維持できれば、小川にだって代表入りのチャンスはある。

 小川はまだ今年の夏で25歳。韓国でのU-20ワールドカップでは冨安健洋堂安律久保建英とともにプレーした年代だ。しかも、森保一監督の体制になってからもオリンピック代表やE-1選手権で招集された経験もあり、すでにいわゆる「ラージグループ」の一員ではあるのだ。プレーの舞台がJ2リーグだとはいえ、これからも素晴らしいゴールを決め続けていけば、ワールドカップ本大会でのサプライズ選出の可能性はゼロではない。

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