いよいよ牝馬クラシックが開幕する。 同舞台でしのぎを削る今年の3歳牝馬世代は当初、2歳時の牡馬混合重賞で奮闘したソネッ…

 いよいよ牝馬クラシックが開幕する。

 同舞台でしのぎを削る今年の3歳牝馬世代は当初、2歳時の牡馬混合重賞で奮闘したソネットフレーズ(牝3歳)やステルナティーア(牝3歳)、さらにデビュー3連勝でGIIIファンタジーS(11月6日/阪神・芝1400m)を制したウォーターナビレラ(牝3歳)、GIIIアルテミスS(10月30日/東京・芝1600m)を勝ったサークルオブライフ(牝3歳)、1勝クラスの赤松賞(11月21日/東京・芝1600m)を快勝したナミュールなど、有力馬がズラリとそろって激戦模様にあった。

 しかしその後、昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月12日/阪神・芝1600m)でサークルオブライフが勝利し、最重要トライアルと言えるGIIチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)をナミュールが完勝。クラシックの"主役"候補がだいぶ絞られてきた印象だ。



注目の前哨戦、チューリップ賞を制したのはナミュール(青帽)だった

 また、その他のステップレースでは、GIIIフェアリーS(1月10日/中山・芝1600m)をライラック(牝3歳)、GIIIクイーンC(2月12日/東京・芝1600m)をプレサージュリフト(牝3歳)、オープン特別のアネモネS(3月13日/中山・芝1600m)をクロスマジェスティ(牝3歳)、GIIフィリーズレビュー(3月13日/阪神・芝1400m)をサブライムアンセム(牝3歳)、そしてGIIIフラワーC(3月21日/中山・芝1800m)をスタニングローズ(牝3歳)が勝利。それぞれ、新たな勢力としてクラシックの舞台へと駒を進めてきた。

 今回はこれらの結果を踏まえて、GI桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)、GIオークス(5月22日/東京・芝2400m)という大舞台を前にしての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、クラシックに挑む3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。



 1位は、前回のランキング(2021年12月8日)でも5位にランクインしていたナミュール。阪神JFでも1番人気に支持されるなど早くから評判の高かった素質馬が、チューリップ賞で強さを見せてその評価を盤石なものとした。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「馬体重は430kg~440kg。ハービンジャー産駒らしく胴長+脚長でスカッとしたシルエット。つなぎは少し短めながらクッションはそれなりにあって、仕掛けてからトップギアに入るのが早いタイプです。

 阪神JF(4着)ではスタートで後手を踏んで苦しい立ち回りとなりましたが、横山武史騎手を鞍上に迎えたチューリップ賞ではスムーズにスタートをきりました。道中では中団の馬込みで窮屈なシーンもありましたが、そこをしっかりと我慢。直線でも詰まりながら、残り300mあたりで外に持ち出すと一気に加速して爆発力のある末脚を発揮しました。

 追い切りでも、レースでも、左手前ではクビを内に向けてフラフラして追いづらそうでしたが、それでも最後はきっちり加速できる点は評価できます。もう少し体重が増えてパワーがつけば、フォームも改善されるでしょうし、横山武史騎手の評価も高いですから、今年の3歳牝馬路線はこの馬が"主役"となるでしょう」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「赤松賞のレース後、陣営は次走については迷っていたようでした。それが、阪神JFでは嫌な形で出てしまったのかな、と。おかげで、桜花賞へ向けてのローテーションに狂いが生じて、チューリップ賞ではしっかりと(クラシックの)出走権利を獲得しなければいけないレースになってしまいました。そんな状況にあって、きっちり勝ちきったことを評価したいです」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「阪神JFを制したサークルオブライフとTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)は1位タイ。ただ、2頭の比較ではチューリップ賞を勝って指数を伸ばしてきたナミュールのほうが上と見ていいでしょう。

 もともと阪神JFは、ナミュールが1頭だけ大きく出遅れ。加えて、直線では伸びない最内に進路をとって、ほとんどレースになりませんでした。しかし、チューリップ賞では五分のスタートから中団待機。直線では外から楽々と抜け出してきました。本番でも人気になるでしょうが、この馬が最右翼と考えるのが定石でしょう」


 2位は、阪神JFを制覇して

「2歳女王」に輝いたサークルオブライフ。チューリップ賞では3着に終わったものの、この馬も前回4位からランキングを上げてきた。

土屋真光氏(フリーライター)
「阪神JFまでの3連勝はいずれも3番人気以下で、ある程度気楽な立場だったこともあって、差しに構えての競馬で結果を出してきました。それらのレースのなかでも、とりわけ坂を上りきってからのもうひと伸びには目を見張るものがありました。

 その後、チューリップ賞ではこれまでと一転して、前目の競馬を試して3着。大一番を前にして、課題を確認できたのはよかったと思います。厩舎の先輩である三冠牝馬のアパパネも前哨戦で負けて結果を出しているので、本番への期待が膨らみます」

市丸氏
「サークルオブライフの場合、すでに(クラシック出走の)権利を持っており、チューリップ賞は明らかにひと叩きだったと言えます。したがって、本番で巻き返す可能性は十分。ただ、3着という結果に終わって、阪神JFの時より指数を下げてしまったのは気になるところです」

 3位は、プレサージュリフト。クラシックとの関係性が深いクイーンCを豪快な末脚を繰り出して快勝し、圏外からランクインを果たした。

吉田氏
「新馬勝ちから約3カ月ぶりに臨んだクイーンCでは、12kg増と理想的な馬体増を遂げていました。1位のナミュールと同じく父はハービンジャーですが、こちらは筋肉量が多く、464kgと馬格もあります。つなぎはやや短めながらクッションがあって、回転の速いピッチ走法で一瞬の爆発力を秘めています。なおかつ、その末脚に持続性がある点は魅力です。

 ただ、まだトモがそろって走っているように、後肢に甘さがあり、発馬を含めて行き脚がひと息。キャリア2戦と引き出しが少ない点も上位2頭と比べて見劣り、3位という評価が妥当でしょう」

 4位は2頭。フェアリーSを勝ったライラックと、阪神JFで8番人気ながら2着に入ったラブリイユアアイズが、プレサージュリフトと同じく圏外から一気にランク入りした。

木南氏
「ライラックは、デビュー前から調教ですばらしい動きを見せて、陣営の評価もすこぶる高かった馬です。2戦目のGIII京都2歳S(11月27日/阪神・芝2000m)では8着に敗れましたが、ゲート入りを嫌がって、精神的に走れる状況ではなかったのかもしれません。

 フェアリーSでは、外からねじ伏せる強い競馬を披露。主戦のミルコ・デムーロ騎手がサークルオブライフに乗るので、鞍上がどうなるのか気になっていましたが、福永祐一騎手が騎乗依頼を受諾。本番も楽しみになりました」

市丸氏
「阪神JF2着のラブリイユアイアズ。そこからぶっつけで桜花賞に臨みますが、2月末から坂路とウッドコースを併用してビシビシと追われているので、きっちり仕上がるはずです。

 父ロゴタイプの初年度産駒は、これまでに中央競馬では32頭が出走。勝ったのは同馬だけですが(4月5日現在)、マイルがベストの配合で、再びアッと言わせるシーンがあっても不思議ではありません」

 クラシックを前にして、ランキングではナミュールとサークルオブライフが「2強」を形成。桜花賞でも下馬評では2頭の争いと見られている。しかし、いまだ底を見せていない伏兵もズラリ。オークスの前には今回同様、勢力図がガラッと変わっている可能性が十分に考えられる。