スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア マドリッド・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/5月6~13日/賞金総額592万4318ユーロ/クレーコート)の女子シングルス3回戦。 ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したマリア・…

 スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア マドリッド・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/5月6~13日/賞金総額592万4318ユーロ/クレーコート)の女子シングルス3回戦。

 ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したマリア・シャラポワ(ロシア)を2回戦で下したユージェニー・ブシャール(カナダ)の快進撃は、いまだ続いている。3回戦で第1シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と対戦したブシャールは、6-3で第1セットを先取。第2セット5-0リードとなったところでケルバーが棄権した。

 とはいえ、ケルバーがケガを抱えてプレーし、このような結果になったというのではなく、最初は普通にプレーしており、ただ最後のゲームでハムストリングに異常を感じたのだという。

 ブシャールは2回戦のあと、薬物使用により出場停止処分を受けていたシャラポワが、予選を戦わずにワイルドカードで大会に出場することはおかしい、と発言したことをメディアに大きく取り沙汰され、憎み合う美女対決のような図式をつくられたことで追加的な精神的重圧を受けていた、と明かしていた。

 コート上ではそのようなそぶりは見せなかったものの、シャラポワを7-5 2-6 6-4で破ったあとに、ブシャールは「テニスや肉体的にだけでなく、感情面、メンタル面で厳しい試合だった」と告白している。

「間違いなく、この試合(対シャラポワ)に臨むにあたり、追加的モティベーションを感じていた。彼女に勝ったことは一度もなかったし、またこの(薬物使用に関わる)状況ゆえに。実際、この試合前に、これまであまり話したこともなかった選手たちからも、(シャラポワとの)対戦での幸運を祈ると激励され、応援してくれるテニス関係者からテキスト・メッセージを受け取った。だから私は自分のためだけでなく、これらの人々のためにもやってのけたかった。本当に多くのサポートを感じたわ」

 実際、不正で罰せられたシャラポワにワイルドカードを与えるのはおかしい、と感じている選手は、皆がブシャールほどはっきりと公言してはいないものの多いとみられ、ブシャールはその世論の代弁者とされた。

 一方、この日の試合のブシャールは、ストロークでケルバーを圧倒した。「全体的に見て、自分のプレーをうれしく思う。寒く、風も強かったので、最初はリズムがつかめず、ミスも出たが、それから体勢を整えてリズムに乗ることができた」と話した。

 ブシャールは準々決勝で第8シードのスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)と対戦する。クズネツォワはワン・チャン(中国)を6-4 7-5で下して勝ち上がった。

 また第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)は第16シードのサマンサ・ストーサー(オーストラリア)を6-4 4-6 6-4で破り、ココ・バンダウェイ(アメリカ)はカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)を5-7 6-4 7-5で退けた。

 第14シードのクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)は、同胞のオセアン・ドダン(フランス)を6-2 6-1で退け、準々決勝で土居美咲(ミキハウス)を7-5 3-6 6-1で下したソラナ・シルステア(ルーマニア)と対戦する。

 そのほか、キキ・バーテンズ(オランダ)がイリナ カメリア・ベグ(ルーマニア)を6-1 7-5で下し、アナスタシア・セバストワ(ラトビア)はララ・アロア バレーナ(スペイン)を7-5 6-2で退けた。

 準々決勝の顔合わせは(ドローの上から)、ブシャール対クズネツォワ、ムラデノビッチ対シルステア、バンダウェイ対ハレプ、バーテンズ対セバストワとなった。(テニスマガジン/Tennis Magazine)

※写真は「ムトゥア マドリッド・オープン」で8強入りしたユージェニー・ブシャール(カナダ)

Photo: MADRID, SPAIN - MAY 10: Eugenie Bouchard of Canada celebrates a point during her match against Angelique Kerber of Germany on day five of the Mutua Madrid Open tennis at La Caja Magica on May 10, 2017 in Madrid, Spain. (Photo by Clive Rose/Getty Images)