櫻坂46 小池美波インタビュー後編「テニス部経験で学んだこと」櫻坂46の1期生メンバーで、「みいちゃん」の愛称で親しまれている小池美波さん。兵庫県出身のはんなりとした関西弁や柔らかな雰囲気で人気を博し、バラエティーやラジオ番組で活躍を続けて…

櫻坂46 小池美波インタビュー後編
「テニス部経験で学んだこと」

櫻坂46の1期生メンバーで、「みいちゃん」の愛称で親しまれている小池美波さん。兵庫県出身のはんなりとした関西弁や柔らかな雰囲気で人気を博し、バラエティーやラジオ番組で活躍を続けている。"かわいらしさ"が印象的な彼女だが、自身の公式ブログではたびたび、個人の目標やグループへの想いをつづるなど志高く、内面は熱い。それは、自らの体験や反省を反面教師にしている中学1年のソフトテニス時代の影響が大きかったからだという。一体、どんな経験をしたのか。同じく中学で精力的に取り組んでいた美術部時代も併せて話を聞いた。(阪神愛を語った前編から読む>>)



ソフトテニス部時代の思い出を語った櫻坂46の小池美波さん

プレッシャーを感じやすかった

ーーテニスはもともと好きだったんですか?

小池美波(以下、小池) いえ、正直まったく興味はなかったんですけど、1週間あった仮入部期間中にいろいろ体験したなかで、ソフトテニス部が一番楽しいなと思ったので入部を決めました。自分のキャラクターには絶対に合わないと思う競技だったんですけど、頑張ってやってみようと考えました。

ーー実際にソフトテニス部に入ってみていかがでしたか?

小池 めちゃくちゃハードでした。入部当初はほとんどボール拾いで、なかなかラケットで打たせてもらえなかったですし、外周を走るのも本当にしんどくて。最初の頃が一番キツかったです。

ーー準備や片付けは、新入りの1年生中心で行なうことが多いですよね。大会に出ることはできましたか?

小池 大会には、出場できました。でも試合となると、いつも自分のことで精一杯になっちゃって、周りが見えなくなることが多かったんです。私はダブルスの前衛だったんですけど、このポジションは得点を取ることが当たり前、みたいなところがあって。その役割を果たせないと、どんどんプレッシャーを感じてきて、余裕がなくなってくるんです。「点取らなきゃ、点取らなきゃ」って。いつもそのことで頭のなかがいっぱいでした。

 さらに負けそうになると、監督の声もまったく聞こえないくらいに焦っちゃう。それくらいプレッシャーを感じやすいタイプだったので、「なんでこんなに自分のことで一杯一杯になっちゃうんだろう......」ってすごく悩んでいました。

ーーその重圧を乗り越えて、試合に勝つことはできましたか?

小池 勝てた試合もありました。けど、あまり"勝った感"が自分のなかにはなかったです。点数のことを考えすぎると、それがプレッシャーになってしまうので、試合中はなるべく点数を見ないようにはしていて。あまり試合の状況を把握していないことが多かったんです。それで、大会だと学校の先輩や同級生が応援しに来てくれるので、試合に勝つと「わぁー!」って歓声が上がるんです。その瞬間に、「あ、勝ったんだな」とようやく気づく感じでした。なので、「やったー!」というような喜びはなかったです。

「目標」がなければ「成長」はない

ーーでは、あまり気持ちの面での達成感を得られた試合はなかったのでしょうか?

小池 そうですね。何か目標を持って取り組んでいたわけではなかったので、そもそも達成感を得られるような気持ちの状況をつくれていなかったのかもしれません。がむしゃらに目の前のことをやっていた感じだったので。当時はそれでよかったのかもしれませんし、あの1年間は学ぶことも多かったです。けど、自分のなかの成長はなかったように思います。

ーー成長はなかったと思う?

小池 はい。やはり目標設定をして、そこに向かって練習を頑張り、課題をクリアしていくことではじめて達成感や自分の成長を感じることができると思うので。ソフトテニス部時代のように、目標がないまま物事に取り組んでもうまくいくわけがないなって、今はすごく感じているんです。



テニス部時代の学びが今に生きているという

ーーということは、ソフトテニス部時代の経験は、いまの自分の成長にはつながっている。

小池 本当にそう思います。「あの時と同じことを繰り返してはいけない」「あの時みたいにくよくよしてちゃだめだ」と、自分に言い聞かせています。

ーー確かに自身の公式ブログでも、一つひとつのことに対して目標を立てていますよね。ズバリ、いまの目標を教えてください。

小池 櫻坂46としては今年で2年目になるんですけど、まだまだ私たちの曲が(たくさんの人に??)届いていないのかな、と感じていて。というのも、たまに「(前身の)欅坂46の曲を歌ってほしい」という声を聞くんです。それはつまり、櫻坂の曲が欅坂の曲を超えることができていないということ。私としては、「櫻坂のあの曲が聞きたくてライブに来てるんだよ」「櫻坂のこの曲を聞いて一日頑張れてるよ」っていう人をひとりでも増やしていきたい。グループのことは知らなくても、「あ、この曲知ってる!」となるくらい私たちの曲を広めていきたい。そのために頑張ることが、今の最大の目標です。

チームのために個人の目標に全力を尽くす

ーー中学2年からは美術部に転部したんですよね。

小池 ソフトテニスは1年間でだいぶ心が削れていってしまったので、2年の途中から美術部に。友達から「廃部危機で、何もしなくていいから入ってほしい」と言われたので(笑)。

 でも、もともと絵を描くことは好きだったので、自分から積極的に描いていました。ずっと美術準備室にこもって、大好きな絵の具や油絵の匂いを感じながら、何も考えずに黙々と筆を動かしていました。スケッチブックは毎日必ず持っていましたから、普通に10冊以上は使いきっていたと思います。

ーー本当に夢中になって描いていたんですね。どんな題材でスケッチを?

小池 静物だったり、風景だったり、その時に目についたものを描いていました。それで描くときは、ちょっと変かもしれないんですけど、必ず制限時間を決めて描くようにしていたんです。たとえば、30分と決めたらタイマーをセットして、その時間内に集中して描ききる、という感じでやっていました。

ーー長時間だと集中力が散漫になってしまう。

小池 そうです。あまりダラダラやっていても自分にとってよくないかなと。なので30分間はちゃんと集中して、描き終えたあとは窓の外をぼんやりと眺めながら一回心を落ち着かせていました。いろんな部活の人たちが外周を走っている姿を見て、「あぁ、私もよく走ってたな」と思ったりしながら。

ーー窓辺に見えるのが、クラスメイトだった阪神タイガースの佐藤輝明選手、というのも絵になりますね(笑)。

小池 確かに(笑)。野球部は他の部と比べて掛け声が大きかったので、すぐにわかりました。あ、今野球部走ってるなって。きっと、佐藤君も頑張って走っていたんだと思います。



阪神・佐藤輝明選手とは中学時代のクラスメイト。小池さんは阪神ファンでもある

ーーちなみに、小池さんが野球以外に好きで見ているスポーツってありますか?

小池 バレーボールはけっこう好きで、高校バレーや、日本代表の試合も見たりします。全員で粘り強くボールを拾って次につないでいく、"拾うバレー"をスローガンにしているチームが多いんですけど、本当にカッコいいなって思うんです。選手一人ひとりが、お互いのために、チームのためにと全力でボールを追いかけていく。あぁ、これがチームスポーツなんだなって。

 私はソフトテニス部時代、自分のことで精一杯で、チームメイトのことまで考えることができず、大事なことに気づけなかった。けどいまは、櫻坂46というチームのなかで、「グループのために、メンバーのために何ができるだろう」と考え、目標を設定して行動に移すことができるようになりました。

 スポーツもアイドルも、ジャンルは違えど、戦う世界にいるという意味では通ずる部分が多いと思います。ソフトテニス部時代の経験を含めスポーツにたくさんのことを学ばせてもらったと感じています。

(終わり)

【profile】
小池 美波 こいけ・みなみ 
1998年11月14日、兵庫県生まれ。父親の影響で、物心ついた頃から阪神タイガースファン。中学時代はソフトテニス部に入部、その後は美術部へと転部し副部長も務める。2015年に欅坂46第1期生オーディションに合格し、翌2016年4月に1stシングル『サイレントマジョリティー』でCDデビュー。2019年にはソロ写真集『青春の瓶詰め』(幻冬舎)を発売。翌2020年10月に欅坂46が櫻坂46に改名、再出発後、全シングルで表題曲歌唱メンバー入りを果たしている。