前回大会から約4カ月。3月21日に都内某所で行なわれた「SHARE JEWEL presents BreakingDown 4」は、過去3大会をはるかに凌駕する盛り上がりを見せた。これまでも視聴者の声を積極的に取り入れてバージョンアップし…

 前回大会から約4カ月。3月21日に都内某所で行なわれた「SHARE JEWEL presents BreakingDown 4」は、過去3大会をはるかに凌駕する盛り上がりを見せた。これまでも視聴者の声を積極的に取り入れてバージョンアップしてきたが、今大会は大幅にレベルアップ。何より、選手のキャラクターやストーリーが明確になった。

 その役割を果たしたのは、オーディションの様子を収めた3本のYouTube動画(朝倉未来YouTubeチャンネルで公開中)だろう。"イキった"参加者同士が取っ組み合い、用意されたケージで対戦するという怒涛の展開で、総再生回数は大会前に1000万回を超えた。

 新たなステージへと突入した「BreakingDown」。大会のアドバイザーを務め、大会当日は解説も務めた朝倉未来に、今大会の総括と今後の展望を聞いた。

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(左から)BreakingDown代表のYUGO、アドバイザーの朝倉未来、朝倉海

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【BreakingDown 4での主な変更点】
*事前オーディションを実施し、その様子をYouTubeで配信
*大会当日、計量を生配信
*煽りVTRの導入
*膠着を避けるため、キックルールの試合数を増加
*初の有観客での実施
*ゲスト解説(第5代RISEライト級王者・白鳥大珠、 "論破王"ひろゆき など)

大会の格が上がった

――前回大会後、朝倉さんが「改善したい」と話していたことがすべて反映された大会だったと思います。

「そうですね。明らかに第3回大会と比べて格が上がったと思います。PPV販売数(過去最多)やYouTubeの再生回数を見ても、この大会を楽しんでくれた人が多いと思うし、BreakingDownの未来に期待する人も増えたんじゃないかと。ただ、今回初めての試みもあって修正点も多かったので、次回はもっといい大会にしたいですね」

――具体的な修正点とは?

「例えば、公開計量の配信の時に画質が悪かったり、選手が乗る体重計が見にくかったり。あと、大会の雰囲気を知ってもらうために、当日の第1、第2試合くらいまでをYouTubeで、無料で中継してもいいのかなと思いました」

――試合をYouTubeチャンネルで見せるという点でいうと、今回のオーディションでは、参加者同士が急遽ケージで戦う展開もありました。

「勝敗も加味しますけど、それだけが本戦に出られる基準ではありません。あくまで"試合が見たい人かどうか"ということが大事です」

――以前は「もっと選手のバックボーンや人生を見せたい」と話していましたが、『朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円』(ABEMA)の出場者など、初めてBreakingDownに参加する人たちのオーディションの様子を公開するなどして、彼らのバックボーンをうまく見せた印象でした。

「物語を点と点で終わらせずに、線としてつなげていくことが大事だと思っていて、それができた感じです。出場した選手たちについては、後日談や後追いが自然発生的に出てくると思います。今、日本でこれだけ注目される大会はないし、たった1分で人生を変えられる場は少ないはず。次回大会は、もっと多くの人が応募してくると思います。僕らは大会をどんどん修正してよりバージョンアップして、待つだけですね」

女性の試合や、海外大会への意識

――バージョンアップという意味では、今回VIP席で観戦していたタレントでYouTuberの「てんちむ」さんに出場の話を振った場面もありました。自身のYouTubeでは木下優樹菜さんにも声をかけていましたね。今後、女性の試合も考えていますか?

「はい、考えてます。次回大会くらいから、オーディションに女性を入れていこうかと。木下さんに話を振ったのはシンプルに話題作りもあるんですけど、女性バージョンがあったら、その試合を見て勇気や希望をもらえる女性も出てくるはず。現時点でBreakingDownは男性の視聴者が多いと思いますが、女性にも輪が広がっていくと思います」

―― 「1分1ラウンド」の戦いであるBreakingDownは、汎用性が高いですね。

「女性はこれからですけど、若者、中年、どんな人でもチャンスを掴めますからね。海外からも 『BreakingDownをやりたい』という話をチラホラいただいています。海外での大会実施もいいですね」

――今回はYouTuberの「へずまりゅう」さん、"ゴマキの弟" 後藤祐樹さんといった知名度が高い出場者も多かったですが、実力とのバランスをどう考えていますか?

「先ほども言いましたけど、重要なのは試合が見たいかどうか。ただ強い人同士の試合だけを組んでも視聴数は増えないと考えています。だからエンターテインメント寄りの試合もあっていいし、今回のオーディションで出てきたような、無名だけど人生を全部ベットしちゃうような人同士の試合も面白い。バランスを考えて試合を組みたいと思っています」

 実力者同士の試合という意味では、他の試合と一線を画していたのが第5試合の丸田喬仁vs.安井飛馬。公開計量で顔を合わせた両者は相手を煽ることなく、安井は「ここは会見の場所で戦う場所ではない、ちゃんとリングで戦ってみんなの印象に残る試合をしたい」と誓った。

 その言葉どおり、試合は打撃を得意とする丸田に対し、柔道家の安井が鮮やかな腕ひしぎ十字を決めて一本勝ち。安井には、朝倉未来からプロ格闘家として支援する話も舞い込んだ。 "第二の朝倉未来を発掘する"がBreakingDownのコンセプトだが、新たな才能も見つかっている。


第5試合、腕ひしぎ十字で勝利した青い道着の安井

 

「どれだけのモノを懸けられるか」

――朝倉さんは今大会で印象に残った選手に、第一試合の井原涼選手を挙げていました。オーディションで「UFCの(イズラエル・)アデサニヤと戦いたい」と息巻きながら判定で敗れ、リング上で号泣していましたが、評価すべき点は勝ち負け以外の部分が大きい?

「僕が評価しているのは、選手がどれだけのモノを懸けて、勝った時にどれだけのモノを得て、敗けた時にどれだけのモノを失うか。視聴者はそこを一番楽しみにしていると思うし、もっともこだわっている部分です。

 第一試合の井原くんは、失ったモノはとんでもなく大きいと思うんですよ。オーディション動画でアレだけ大きいことを言って、負けて試合で大号泣したから、多くの人にバカにされるでしょう。注目は、この後、どういう立ち回りを見せるのかですね」



インタビューに答える朝倉未来

――試合にどれだけのモノを懸けて、どう回収するか。朝倉さんの1000万円企画もそうですが、関わった人たちは、その後の人生に大きなプラスになっているのでは?

「僕と直接関わった人たちはそうなってますけど、BreakingDownは僕と試合をするわけじゃないから少し違いますけどね。ただ、大会に出ることでプラスにつながる何かを手にしている。それを活かしてまた戻ってくるのもいいし、勝ったままで別の道に行くのもいい。第一試合の井原くんも、諦めずに続けるのはもちろんだけど、負けて何かを失ったまま終わるのも、それはそれで面白い。

("青汁王子"こと)三崎優太さんなんて、完璧主義者の経営者なのに、鼻血を出しながら『絶対負けたくない』と打ち合った。そういったもの全部含めて、自分の人生をどこまで追い求めるか。それをより見せられるように、大会を進化させていきたいです」

 格闘技の技術も才能も、今の自分に何も無くても、1分間戦う気持ちさえあれば人生は大きく変わる。BreakingDownは、その可能性を大いに秘めている。