プロ野球2022開幕特集中日・ファーム監督片岡篤史インタビュー 春のキャンプ、春季教育リーグを経て、3月18日からウエス…
プロ野球2022開幕特集
中日・ファーム監督
片岡篤史インタビュー
春のキャンプ、春季教育リーグを経て、3月18日からウエスタン・リーグを戦う中日の片岡篤史ファーム監督。キャンプ前には、自身2度目の新型コロナウイルス感染が判明。入れ替わるように立浪和義一軍監督が感染し、キャンプ序盤は代理として一軍を指導した。
想定外の船出となったが、3月20日の広島戦では指揮官として嬉しい公式戦初勝利。27日には一軍の立浪和義監督も初勝利を飾った。今後、ファームで育った選手たちが一軍で活躍する機会も訪れるだろう。ウエスタン・リーグ開幕前に、片岡監督が今季にかける意気込みや、それまでの手応えなどを語った。

根尾昂(右)に指導する中日の片岡ファーム監督
――キャンプでは新型コロナウイルスに翻弄されましたが、当時はどんな心境でしたか?
片岡篤史(以下:片岡) まず、自分にコロナの陽性反応が出た時は、「またか......」という気持ちでしたね。立浪監督になって新しいスタートをきるという時に足並みが揃えられず、迷惑をかけてしまって申し訳ないという気持ちでした。
――復帰されるタイミングで、今度は立浪監督が感染しました。一軍の指揮から始まりましたが、その時に苦労したことは?
片岡 ファームの首脳陣で手分けするなどして一軍を見ていましたが、今は動画を活用できますし、スマートフォンを持ちながら立浪監督やコーチから指示を受けたりしていたので、不便さは感じなかったです。グラウンドに来られなくてもまったく選手のことを見られないわけじゃない時代ですからね。
バッティング練習が終わったあとに動画を見ながら選手と話すこともできます。もちろんグラウンドで見たほうがいいでしょうけど、直接ではなく動画で見るからこそわかることもあります。
――教育リーグでは、本塁打を打った平田良介選手を一軍に即昇格させるなど、若手・中堅・ベテランに関わらず、多くの選手にチャンスを与えている印象があります。
片岡 多くの若い選手が一軍のキャンプに帯同したので、どうしてもファームには中堅の選手が多くなったんです。今年の沖縄は雨の日が多くて、なかなか晴れた日が少なかったんですけど、中堅の選手たちはしっかりと練習してくれたと思います。
平田にしても、昨年はコンディションが悪くて思うようなシーズンが送れなかったと思いますが、彼は長くレギュラーをはっていた選手。そういう選手は、「本当にラストチャンスだ」という気持ちで春のキャンプに臨んでいるのを感じました。
プロ野球ですから、モチベーションが高くても動きや結果が悪ければ立場は苦しくなります。でも、平田もまだまだ動けています。立浪監督も平田の動きをチェックしていますし、「これならいける」という判断をしてもらったんだと思います。
ドラ1・ブライト健太など若手に教えるべきこと
――立浪監督とは課題の共有もうまくできている?
片岡 そうですね。現役時代は同じ野手でしたから、野手を見る感覚も近いです。選手の状態、立浪監督の目指す野球の方向性などもよく話しています。
――キャンプから取り組んできたことの成果が出ている選手は?
片岡 先ほど話した平田にしてもそうですし、捕手の大野奨太、外野手の加藤翔平といった中堅の選手たちもそう。大野は、昨年はチャンスがなかったんですが、「もう一度なんとかやるんだ」という意気込みで、キャンプでは若手と一緒くらいの練習量をこなしていました。
加藤もそうですけど、一軍に多くの若手が昇格していることを刺激にしてほしいです。本人たちも「まだまだやれる」という気持ちがあると思うので。ここまで、そういう選手を立浪監督が一軍に呼んで、チャンスを与えてくれています。一軍に呼ばれることは、やはり選手たちにとって一番大事なこと。選手たちは緊張感を持ってやってくれていると思います。
――注目されるドラフト1位の外野手・ブライト健太選手も、教育リーグの試合で結果を残しました。長打力や足をアピールできていましたね。
片岡 ブライトの場合は、キャンプを一軍スタートにするのか二軍スタートにするのか、立浪監督やコーチといろいろ考えて一軍スタートにしました。最終クールでファームに来ましたが、タイミング的によかったと思います。ブライトは高い身体能力に頼りすぎている面もありますから。ただ、ひとつずつ課題に取り組んで、打つ、投げる、走る、すべての面で一歩ずつ成長していますよ。
ブライトの場合は、もちろん打つに越したことはないんですが、守備と走塁を含めた三拍子揃ったところが彼の持ち味。ブライトに限らず、ファームにいる若い選手は「"できない"じゃなくて"知らない"」ことも多いです。だから、自分たち首脳陣がそういうことを教えていかなければいけないと思っています。
「育成」と「勝負」のバランス
――結果はもちろん大事だけれども、「何よりも"取り組む姿勢"を立浪監督は見ている」と、以前片岡監督からお聞きしました。
片岡 そうですね。やはり立浪監督が重視するのは取り組む姿勢です。自分も、"教育"ということで「練習に対する取り組み方を教えてあげてほしい」とファームの監督を任されましたから。
ファームには、数年後にチームの中軸を担っていくだろう選手、すぐにでも戦力にならなきゃいけないベテランや中堅の選手など、さまざまなタイプの選手がいます。でも、どの選手にも「小さいことをおろそかにしない」ということをキャンプから徹底してやってきているので、少しずつ選手に浸透してきているという実感はあります。
――小さなこととは、たとえばどんなことですか?
片岡 例えばファーストまで全力疾走するといった、声を出すこと等、できることをしっかりやるということですね。盗塁に関する意識もそうですし、徐々にそれらが選手たちに浸透してきて、実戦の中のプレーでもそれが垣間見えます。
――以前の取材では、初めてファームの監督を務めるにあたって「自分自身も日々勉強」とおっしゃっていました。ここまで、新しい発見はありましたか?
片岡 すべてですね。今まで打撃コーチやヘッドコーチの経験はありますが、監督となれば各部門を見るというよりも全体を見なければいけません。ピッチャー、バッテリー、内野、外野といった部門ごとに「こんな練習方法があるんだ」と、新たに気づくことばかりです。教育リーグでは、ケガ人が出てピッチャーが打席に入ることもありました。そういうことも、ファームの監督を務めさせていただいているからこそ経験できることですね。
――ウエスタン・リーグを戦う上でのチームの目標やテーマなどはありますか?
片岡 若い選手を積極的に起用するなど育成も大切ではありますけど、ある程度は勝負にこだわっていかないといけない。特に試合の終盤で勝てそうな展開になれば、選手たちにより勝つことを意識させるために、勝負にこだわった采配をしなければならないと思います。
あとは、選手個々のレベルアップです。打つ、投げる、走るといった走攻守のレベルアップもそうですし、作戦面で一軍に適応するための能力の向上も必要です。バントやエンドランといったケースバッティングをこなせれば、一軍に行った時に「こういう選手がいてくれて助かった」となりますからね。ひとつのアウトにしても、「有意義なアウトにしよう」といったことも話しています。それを選手たちは実戦でやってくれていますから、今後も楽しみですね。