プロ野球2022開幕特集 スラッガーは育成に時間がかかる。そんな球界の定説に逆らうかのように、昨年はルーキーだった佐藤輝…

プロ野球2022開幕特集

 スラッガーは育成に時間がかかる。そんな球界の定説に逆らうかのように、昨年はルーキーだった佐藤輝明(阪神)が春先から本塁打を量産して度肝を抜いた。そして今年も、春先からオープン戦で期待を込めて起用されている新人スラッガーがいる。

 そこで、鈴木誠也(カブス)や岡本和真(巨人)ら数多くの強打者育成にかかわってきた名打撃コーチ・内田順三氏に、注目のルーキー3打者について分析してもらった。



長打力が魅力の中日ドラフト2位ルーキー・鵜飼航丞

中日・鵜飼が一軍で活躍するカギは?

── 中日のドラフト2位ルーキーの鵜飼航丞(駒澤大)は、キャンプ時から長打力をアピールしてきた大型打者です。内田さんにとっては駒澤大の後輩にもなります。

「先日も駒澤大の大倉孝一監督に聞いたら、大学グラウンドの高いフェンスを彼の打球が越えるそうで、『あそこまで飛ばせるのは彼くらいしかいない』と言っていましたよ。身体能力も高いようです」

── 実際に打撃フォームを見て、どう感じますか?

「まずはやはり、いいパワーを持っているなと感じます。トップの位置がしっかりつくれた上で振れているから、よく飛びますね。イチローが振り子打法をしていた頃のような独特の足の上げ方で、目線がブレない。足を高く上げる打者は目線が上下にブレる傾向がありますからね。腰がしっかり回転できているのもいいですね。

── 球団もファンも相当に期待している和製大砲です。

「中日は2019年ドラフト1位の石川昂弥もいますが、パワーヒッターがほしいのだなと感じますね。あとは経験を積んでいけば楽しみです」

── 技術的に修正したいポイントはありますか?

「スイングする際に後ろ足(右足)が止まって打つ時があるので、ここでしっかり回転できるようになるといいですね。あとは前足(左足)でステップする時に、つま先が少し開くのが気になるかな。つま先が開けば左ヒザも開いて、変化球に泳ぎやすくなるので。つま先は大事ですよ」

── 一軍で活躍するためのカギはどこでしょうか?

「インサイドの強いツーシーム系と、外に逃げる変化球にどう対応できるか。そのために練習から広角に飛距離を伸ばせるようなスイングをしないと。中日打撃コーチの中村紀洋もそうですが、プロで成功している右打者はほとんど逆方向にしっかり打てています。無理にライトを意識して打つ必要はありませんが、センターバックスクリーンへ放り込むイメージで打てるといいでしょう。左中間から右中間への45度の角度に打球が飛ぶ打撃を目指してもらいたいです」



開幕スタメンを果たした楽天のルーキー・安田悠馬

楽天・安田のイメージは森友哉

── 続いて、楽天ドラフト2位の安田悠馬(愛知大)についてお願いします。「ゴジラ」の愛称でオープン戦でも積極的に起用されています。

「スイングのイメージは森友哉(西武)に近いです。とにかく強くバットを振り切れるのが印象的ですね」

── 豪快なスイングの持ち主ですが、技術的に気になる点はありますか?

「力感のあるスイングではあるのですが、その分、余分な動きも多いのかなと感じます。左ヒジが深く入って、バットがスムーズに出にくくなっている。もちろん、それが自分のリズムならいいのですが、トップの位置から素直にバットが出せる形をつくれるともっとよくなりそうです」

── 愛知大学2部リーグで密かに腕を磨いていたスラッガーです。これからの伸びしろにも期待できそうですね。

「すごくいいものを持っています。プロでは投手のキレから変化球まで、驚くことも多いでしょう。ひとつひとつできることを増やしていって、スケールの大きな打者になってもらいたいですね」

── 内田さんの古巣である広島では、大阪ガスから入団したドラフト6位・末包昇大(すえかね・しょうた)がオープン戦で辛抱強く起用されていました。

「鈴木誠也がポスティングでMLBへ移籍するというので、右の強打者を補強したのでしょうね。大卒3年でのプロ入りなので年齢的にも即戦力になることが求められますし、なかなか結果が出ないなかでも4番として使われて期待の高さを感じます」



DeNAとの開幕戦で3安打を放った広島の末包昇大

── スイングを見て、どんな印象を受けましたか?

「巨人とのオープン戦でインコース低めの難しいストレートをレフトへホームランにしたシーンを見ましたが、うまく回転して打てていました。さすが社会人を代表するパワーヒッターだなと。とはいえ、戦力として計算できるかはフォームどうこうではなく、長い1シーズンをとおしてやってみて対応できるかどうか。だからこそ、シーズン前から一軍のレベルを体感できるのは貴重な体験でしょうね」

── やはり一軍で活躍するには、一筋縄ではいかないですね。

「末包に限らず、今年ダメだったとしても、彼らはまだ1年目ですから。プロに入った以上、力はあるのですから、この先で生き残れるように自分の道を見つけてほしいです」