以前、メンタル・トレーナーとして取り上げていただいた『箱根駅伝 絆の物語』いくつかのランナーに伝えたことが番組で取り上げられておりましたが、実際には、コーチングを受けてくれた学生には、セッション終了後に、5つのことを提案という形でお願いして…

以前、メンタル・トレーナーとして取り上げていただいた『箱根駅伝 絆の物語』いくつかのランナーに伝えたことが番組で取り上げられておりましたが、実際には、コーチングを受けてくれた学生には、セッション終了後に、5つのことを提案という形でお願いしています。

提案なので、学生に選ぶ権利があります。

回答は、YES・NO・逆提案(それはできないけど、これならできるという提案)の3つです。

学生にお願いしている5つのこと、とは。

よいイメージで過ごす。

夢・目標を毎日、練習日誌に書く。

1日の終わりに、練習日誌に「今日のよかったこと」「今日の感謝」「今日自分ががんばったこと」を毎日書き出す。

肯定的な言葉の自己暗示を唱える。

呼吸法

上記5つです。これから一つずつ説明をしていきます。

よいイメージで過ごす。

コーチングでは、自分がより力の出るイメージを引き出していきます。

たとえば、緊張に押しつぶされそうになっているのであれば、「緊張せずにリラックスして、自然体で楽しめているのはどんなときか?」「夢中になって楽しんでいるときってどんなとき?」などと問いかけ、その世界観を味わうことで、ガラッと感情を変えていきます。

そして、その世界観をたっぷりと体を使って味わったら、日々、その感覚を、朝晩、味わってもらうようにしています。

感情が変わると、体も心も変わります。

穏やかな感情で日々過ごそうとイメージの世界を味わうからこそ、いざ、緊張するような場面がやってきたときでも、穏やかな世界をイメージすることで、緊張に負けない自分として、スタートラインに立つことができるのだと思っています。

夢・目標を毎日練習日誌に書く

学生には、「将来の夢・目標」もセッションで確認します。

それを、大目標・中目標・直近の目標、という形に分けて、それぞれ、練習日誌に、毎日、書いてもらうようにお願いしています。

朝、目標を紙に書き出すことで、「今日も、この目標に向かってがんばる大切な1日」と腹が決まります。

そして、「今日のテーマ」も決めることができます。

結果、1日を充実して過ごせるようになります。

1日の終わりに、練習日誌に「今日のよかったこと」「今日の感謝」「今日自分ががんばったこと」を毎日書き出す。

特にメンタルが弱い学生は、反省ばかりを日誌に書きがち。

そうすると、「今日もこれがダメだった」「もっとこうしなきゃ」と今の足りないところは明確になるのですが、自分に◯が付いていきません。

どんな状態にあっても、「今日よかったことは何だろう?」「今日自分ががんばったことは何だろう?」と問いかけ、自分に◯を付けていく作業が非常に大事だと思っています。

特に、夜寝る直前に、「今日のよかったこと」や「今日がんばったこと」を紙に書き出す習慣を持つことで、「今日もいい1日だった」と心から思えるようになり、幸せ感で満ち足りた状態になります。それが結果、睡眠の質も高めますし、回復力も高め、より質の高い練習へとつながっていきます。どんな状態にあっても、「よかったこと」や「がんばったこと」はあると思っています。「今日も無事に生きられた」でもいい。「具合が悪かったので、体の声に正直に1日しっかり休めた」でもいい。何かを見つけ、それを認めていくことが、次につながっていくと思っています。

肯定的な言葉の自己暗示をかける

感情が変わると、体も心も変わる、とは先ほど書きましたが、言葉が変わると、体も心も変わります。

たとえば、「自分はダメなやつだ」「なんて情けないんだろう」と心の中で思うだけで、体には力が入らなくなり、ふにゃふにゃの状態になります。反対に、「自分は素晴らしい」「絶対大丈夫」と心の中で思い浮かべると、体には自然と力が入り、安定した状態になっていきます。これは、本当に、一瞬で変わります。だからこそ、ネガティブな言葉が出てこないように、いかにポジティブな言葉を唱え続けるかが非常に大事です。もちろん、ネガティブな言葉が出てきたときには、まずその事実は認めます。

「あ~、今、そんな風に思ってる自分がいるなぁ」と。でも、ある程度それを認めたら、そんな自分からは離れていきます。また、そういうネガティブ・セルフトークが出てこないように、常日頃から自分にポジティブな言葉をかけることを意識的に習慣化していきます。たとえば、朝起きてすぐ、あるいは、夜寝る直前に、鏡を見て、「俺は強い」「絶対大丈夫」「自分は素晴らしい」などの言葉をかけていきます。結果、自分の心は整い、本当に、強い自分として、素晴らしい自分として、日々、過ごせるようになっていきます。

呼吸法

最後は呼吸法です。

学生に、「呼吸法って何か意識してる?」と聞くと、大抵の学生が、「してません」と答えます。呼吸は、常日頃、当たり前のようにしていますが、自律神経に唯一働きかけができるとっても重要なものです。いろんな瞑想法や呼吸法がありますが、簡単な呼吸法を伝えて、実際に毎日やるようにお願いしています。

10~15秒かけてゆっくり吐き出す。全身の手先・足先からも汚い空気を吐き切るイメージで。

3~5秒かけて、鼻から一気に吸う。

2~3秒、止める。

この(1)~(3)を、3分~15分、本人のスケジュールによって、繰り返してもらいます。

呼吸法は、本当に簡単なメンタルトレーニングの手法ですが、たとえ3分であっても、心は落ち着きますし、集中力も増していきます。読書や勉強の前、あるいは、お昼ご飯を食べた後などにやるのも非常に効果的です。こんな5つの方法も、コーチングと合わせて提案しているので、学生は、日々の練習の質も高まり、日々、自分でできるメンタル・トレーニングを実際にやることで、自信もついて、スタートラインに立つことができるようになっているのかもしれませんね。本番でも120%の力出せるように応援をしてまいります。

プロコーチ 西畑良俊=文)