現在、J2得点ランキング1位タイの横浜FC・小川航基 J2、横浜FCの小川航基が好調を維持している。 6試合を終え、4ゴ…

現在、J2得点ランキング1位タイの横浜FC・小川航基
J2、横浜FCの小川航基が好調を維持している。
6試合を終え、4ゴール、得点ランキング1位タイ。横浜FCは5勝1分で首位をキープしている。今季、ジュビロ磐田から完全移籍を決め、退路を断って横浜FCに加入。開幕戦の大宮アルディージャ戦にスタメンで出場すると、四方田修平監督の期待に応え、ゴールを決めて勝利に貢献した。
「このゴールは大きいですね。FWとして、どんな形であれ、開幕戦でゴールを決めることができたのは、気持ち的にプラスに働きます」
小川は笑顔で、そう語った。
ただ、喜んでばかりもいられない気持ちもある。
「2年前、ジュビロで開幕戦で2ゴールを挙げたんです。その後、コロナで2カ月、中断してしまいましたけど、開幕戦でゴールを決めた流れに乗っていけなかったという経験がある。今回の開幕戦のゴールはもう忘れて、次の試合に集中したいと思っています」
その言葉どおり、小川は1試合、1試合に集中し、水戸ホーリーホック戦では決勝ゴールを含め2ゴールを挙げている。好調の理由は、複数あるだろうが、ひとつはゴールを奪うパターンが確立化されてきているからだろう。それは小川のシュート数の多さから見てとれる。6試合で25本、1試合平均4.1本はキャリアハイの9ゴールを記録した2020年の磐田での1試合平均2.1本の約2倍だ。気持ちよくプレーできているようで、小川も流れに乗っているのを実感している。
「点がとれると、自然と他のプレーもよくなるし、気持ちもリズムも乗ってプレーできます。よく外国人選手が点をとったあと、相手に猛烈な勢いでプレスをかけにいくじゃないですか。気持ちが盛り上がって普段しないようなことをするけど、あの気持ちはよくわかりますね」
もうひとつは、サッカー選手として生活のリズムが正確に刻めていることが大きい。これは水戸に期限つき移籍をして、コンスタントに試合に出場した時に経験したことだ。
「毎週末、試合をして、リカバリーして、体を休めて、週末の試合に向けて最高のコンディションにもっていく。こういうサイクルというかリズムは選手にとってすごく大事なので、そのリズムを1年間、保って試合に出て点をとり続けないといけないと思っています」
小川は、ゴールに対する強い欲を隠さない。FWというポジションに対する理想とこだわりがそこにある。
「FWは、サッカーの醍醐味を一番感じられるポジションですし、点をとる仕事じゃなければサッカーをやっていなかったと思います。ゴールを決めた時の喜び、あの瞬間は中毒性みたいなものがあるんですよ」
その中毒性というのは、いったいどんなものなのだろうか。
「ゴールそのものを決めた時の単純な喜びも大きいですが、僕が好きなのはゴールを決めた時、大きな歓声が沸く前に一瞬、間があくんですよ。それからゼロコンマ数秒でわーってなるんですけど、その間が好きで、何度もそれを味わいたいと思うんです」
小川らしい独特の表現だが、長いシーズン、いい時ばかりではなく、点をとればマークが厳しくなり、なかなか得点できない時も出てくる。小川は、常にゴールへの道筋をイメージしていくことが大事だと考えている。
「僕は、ジョギングしている時、こういうクロスがあがってきて、こんな感じで足を合わせて決めて、こっち側に走って行ってパフォーマンスをするとかイメージしています。そうやってジョギングしていると足の動きが変になって、となりの選手に『お前、あの動き、何?』と言われることもあるんですが、そういうイメトレは大事ですね」
小川のゴールパターンは、磐田の時から比較的、バリエーションが豊富だ。それは、日常のジョギングのイメトレから生まれてきているのかもしれない。
同世代選手の海外移籍に「悔しい」
小川がゴールへの執念と渇望を隠さないのは、チームの勝利のためにという強い想いからだが、一方で個人として悔しい経験をしてきたからでもある。昨年、東京五輪が開催され、U―24日本代表チームがメダルを目指して戦ったが、小川はその22名の枠に入れなかった。代表チーム結成時は、エースとして期待され、小川自身も「東京五輪から世界へ」と思い描いていたが、その目標を実現できなかったのだ。
「東京五輪のメンバーに入れなかった時は、もっと何かできたんじゃないかと思いました。本当の悔しさを感じたのは、大会が始まって選手がプレーしているのを見た時です。自分が出たいと望んでいた舞台に立てなかった悔しさ、哀しさ、もどかしさを感じました」
東京五輪でチームはメダル獲得までには至らなかったが、それでも個々の評価を高めた選手が海外へとプレーする場を移していった。
「同世代の選手がステップアップしていくなかで、自分がそうなっていないのは悔しいです。ただ、Jリーグで活躍して、海外に出ていくのはずっと持ち続けてきた目標なので、それは今も諦めていません。サッカーは何が起こるかわからないので、まだこれからだと思っています」
東京五輪が終わり、小川が代表でプレーする場は、もうA代表しかない。11月にはカタールW杯が開催される。小川にとって、W杯とはどういうものなのだろうか。
「小さい頃から憧れの舞台でしたし、その場に立ちたいと思ってやってきました。そのためにも力をつけて、結果を出して代表に食い込んでいけるようにしたい」
小川は、どうすれば森保一監督の視線を自らに向けられると思っているのだろうか。
「もう得点しかないと思います。爆発的なゴール数とあいつは調子いいなっていうのを見せていくしかない。9月までゴール数で頭ひとつ、ふたつ抜けていないと僕みたいな立場の選手は難しいと思うので、とにかくゴールをたくさん決めてアピールしていくしかないですね」
W杯前の日本代表において滑り込みのチャンスが一番大きいのはFWだろう。森保監督はこれまでの実績、貢献度を重視しているが、FWは旬なモノでもあり、結果を出している選手の勢いがチームにもたらす影響は大きい。ドイツW杯時の巻誠一郎のようにサプライズで選出される可能性はFWに限っては十分にある。
目標は得点王
そのためには、横浜FCで結果を積み重ねていく必要がある。横浜FCは、3-4-2-1で、小川は2列目のシャドー、第3節の大分トリニータ戦からは1トップに入ってプレーしている。
「シャドーでは、中間ポジションで受けるよりもクロスボールに対して中に入っていくストライカー的なことが求められていると思います。2列目から飛び出していくのもありですし、1トップのマークよりもシャドーはそれほど(マークが)きつくないので、よりチャンスに絡めていけそうです。1トップは何をすればいいのか明確ですし、体を使ってキープすることはできている。クロスに対してもいい感じで中に入れているので、今のところどちらでも問題ないです」
やり慣れているのは1トップだろう。また、代表に挑戦するのではあれば同じ1トップで結果を出していくのが理想だ。試合を見ていると小川のところにボールが集まる感じになっており、また、お互いに要求しあうシーンがよく見られ、これからもゴールが増えていきそうだ。
「若い選手が多いので、みんな、アグレッシブに動けるし、コミュニケーションも取りやすいですね。そういうなかに俊さん(中村俊輔)のような経験のある選手もいます。俊さんは試合の流れを変えられる選手ですし、水戸戦のゴールも入っていきなりのクロスで点がとれた。淡々とサッカーをしていますけど、やっていることは簡単じゃないので、すごいですよね。いいFWは、視界に入ってくるという話をよくしているので、そういう選手になれるように意識してプレーしています」
チーム目標は、J1昇格になる。そこに小川がどれだけ貢献していけるか。
「長いシーズン、失点してしまうこともあるけど、それ以上に僕らFWが点をとればいい。個人的には、数字を残して得点王になりたい。J1に昇格するチームにはトップスコアラーが必要だと思うので、それが僕であるようにやるだけです」
昨年末に結婚し、私生活は充実しており、出足もいい。最後まで得点王を争う小川であれば、J1昇格、得点王、そしてW杯出場の3兎を得られるかもしれない。