【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆先週の血統ピックアップ ・3/21フラワーC(GIII・中山・芝1800m)  好位を追走したスタニングローズがニシノラブウインクを半馬身とらえて快勝しました。父キングカメハ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・3/21フラワーC(GIII・中山・芝1800m)

 好位を追走したスタニングローズがニシノラブウインクを半馬身とらえて快勝しました。父キングカメハメハはこの世代がラストクロップ。2006年生まれの初年度産駒から14世代すべてで重賞勝ち馬を出したことになります。

 フランス産のローザネイを始祖とするファミリーは「薔薇一族」との愛称で親しまれ、3代母ロゼカラーはデイリー杯3歳Sを、2代母ローズバドはフィリーズレビューとマーメイドSを勝っています。ただしここ数年、その愛称を耳にする機会が減っていたのも事実です。

 あれだけ華やかだったファミリーが少しずつ活躍の機会を減らし、重賞勝ち馬は2011年の京都大賞典(勝ち馬ローズキングダム)を最後に途絶えていました。スタニングローズは11年ぶりの重賞勝ち馬となります。このファミリーはキングカメハメハ系との相性に優れ、ローズキングダム(最優秀2歳牡馬)とスタニングローズは父が同じで母同士が親子という4分の3同血です。

 スタニングローズの姉ロサグラウカ(オープン)は父がルーラーシップで、その父はキングカメハメハです。ローズキングダムがジャパンCを勝っているように、スタニングローズも2400mは問題ないでしょう。

◆今週の血統Tips
 先週終了時点で現3歳世代のJRA重賞勝ち馬は17頭を数えます。そのうち5頭は父が新種牡馬です。

 ジオグリフ(父ドレフォン)、ウォーターナビレラ(父シルバーステート)、イクイノックス(父キタサンブラック)、プルパレイ(父イスラボニータ)、ビーアストニッシド(父アメリカンペイトリオット)。17頭中5頭はかなりのハイアベレージです。デビュー直前の昨年春時点では、正直なところそれ以前の2世代と比べて、新種牡馬のラインナップが強力とは思えなかったのですが、蓋を開けてみれば大健闘しています。

 上記の5頭だけでなく、ラブリイユアアイズ(父ロゴタイプ)、リメイク(父ラニ)、デシエルト(父ドレフォン)、ジャスティンスカイ(父キタサンブラック)といった有望株も控えています。現2歳世代からディープインパクト産駒がほとんどいなくなり(この世代がラストクロップで血統登録頭数は6頭)、種牡馬界はますます混沌としています。軸となる種牡馬が見えづらい状況なので、有能な繁殖牝馬がいろいろな種牡馬に分散していることも、混戦にますます拍車を掛けています。

 POGはきわめて難解なものになるでしょう。

(文=栗山求)