プロ野球2022開幕特集高木豊 パ・リーグ順位予想 3月25日、いよいよプロ野球が開幕する。昨年、パ・リーグでは25年ぶ…
プロ野球2022開幕特集
高木豊 パ・リーグ順位予想
3月25日、いよいよプロ野球が開幕する。昨年、パ・リーグでは25年ぶりにオリックスがリーグ優勝を果たし、常勝軍団ソフトバンクが8年ぶりにBクラスに転落。今年はそのソフトバンクが新監督を迎え、日本ハムに未知数の新庄監督が就任するなど、例年にも増して混戦の様相を呈しているパ・リーグ。
かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊氏に、パ・リーグの順位予想とともに展望を聞いた。
リーグ優勝のバーチャルパレードで手を振るオリックスの吉田正尚(右)と中嶋聡監督
【1位予想:西武】
――順位予想では、昨年最下位に沈んだ西武を1位とされました。1位予想の理由は?
高木豊(以下:高木) 投手陣の不安定さが解消されつつあります。髙橋光成、今井達也、松本航が経験を積んできて、ドラフトで隅田知一郎と、リリーバーとして起用されるであろう佐藤隼輔という即戦力の左腕が加入するなど、徐々に戦力が整ってきました。クローザーは平良海馬がいて、あとは増田達至が復活するかどうかですね。打線が強力なので、隅田はふたケタ勝つ可能性も十分あると思います。
打線では山川穂高が復活すると見ています。昨年はずっと調子が悪かったのですが、シーズンの終わりかけによくなったんですよね。ポンポンとホームランが出ていい形で終われたので、4番をしっかり務められたら上位を狙える。優勝できるかどうかのキーマンは山川だと思います。
――昨年、ケガをする前の44試合で20盗塁をマークした若林楽人選手の復帰も待たれます。
高木 今年は復帰すると思いますが、左膝前十字靱帯の損傷だったので、ケガする前のようなパフォーマンスが出せるのか。僕は現役時代に大きな足のケガはしなかったのではっきりとは言えませんが、前十字靱帯の損傷が多いサッカー選手の復帰後のパフォーマンスを見ると、足の速さとかはケガ前とあまり変わらないですよね。若林もまだ若いので、それほど心配はないかなと。
あと、中村剛也や栗山巧は年齢的に全試合出場が難しいです。その一方で昨年、レギュラーにケガ人が続出したこともあり、岸潤一郎や愛斗といった若手の選手たちが経験を積みました。ケガの功名で培ったものをパフォーマンスとして出せるかどうかもチームの浮沈のポイントになりそうです。
【2位予想:楽天】
――昨年は田中将大投手の復帰もあって優勝候補に挙げられながら、3位に終わった楽天。今年は2位と予想しましたが、チームの状態をどう見ていますか?
高木 田中はしっかり投げられていますし、昨年よりも勝つと思っています。本人もこのままでは終われないはず。岸孝之や早川隆久の状態もよさそうですし、瀧中瞭太は昨年10勝を挙げて自信をつけたこともあって安定しています。則本昂大はあまりいい状態には見えませんが、それでも試合を作る力がありますし、打線の援護があれば勝てる投手です。クローザーの松井裕樹までどうつなげていくかもポイントになりそうです。
昨年は、実績がある先発投手陣が十分な活躍を見せられませんでしたが、野球は投手力ですし、投手の経験値が他チームよりも抜けているという意味で上位争いに食い込みそうです。
――打線はどうでしょうか?
高木 左打者が多すぎてバランスが悪いです。例えば、佐々木朗希なんかは左打者に投げるのがめちゃくちゃうまい。だから、「ロッテ戦で佐々木が投げたら楽天は嫌だろうな」と思いますね。バランスが悪いと、勝てる時と勝てない時の差が激しくなります。浅村栄斗のほか、新外国人のクリス・ギッテンスも右打者のようですが、スタメンに4人ぐらいは右打者を並べるのが理想です。
――日本ハムから獲得した西川遙輝選手についてはいかがですか?
高木 彼は足が使えますし、獲った判断は悪くないと思います。悪くはないんですけど、また左打者。相手チームは、勝負どころで左投手を投入できます。左打者が続くことで、ワンポイントではなく1イニング投げられるのも大きい。そうなると楽天打線に対して作戦を立てるのはラクですし、戦いやすくなります。そこを対応できたら勝ちが増えていくでしょう。
【3位予想:ロッテ】
――昨年2位のロッテは3位と予想。覚醒が期待される佐々木朗希投手が注目されているほか、マーティン選手やレアード選手ら得点源の助っ人が健在です。
高木 昨年は荻野貴司とマーティン、レアードで勝った試合が多かったですね。荻野が出てマーティンが返すとか、中村奨吾がたまに絡むとか。だから荻野がポイントを握っている部分があります。ただ、いつまでもベテランの荻野に頼るわけにもいきません。
荻野が担っている役割を誰が引き継いでいくべきかといえば、藤原恭大なんですよね。ただ、藤原を見ていると現状はあまりよくないです。昨年、藤原が7・8月に月間MVPを獲る活躍でロッテは好調でしたが、藤原が打てない、さらには安田尚憲も打てないとなり、優勝を目前にしながら掴み取れませんでした。そういうところから、昨年よりも少し厳しいのかなと僕は見ています。
――打つほうでは藤原選手や安田選手以外にも、山口航輝選手や髙部瑛斗選手ら期待の若手がいますが、あまり底上げはできていない印象ですか?
高木 少しはできていると思いますが、僕は松川虎生が育ちきった時に優勝があると思いますね。活躍することはそんなに簡単ではないでしょうが、「(優勝は)松川が育ってからだな」と感じさせるくらい魅力がある選手です。オリックスとのオープン戦で、山﨑福也の内角低めの難しい球をレフト前に打ちましたけど、なかなかあんなふうには打てません。"センスの塊"という感じで、惚れ惚れしました。あれを見たら、「しばらく我慢して起用しようかな」と思わせられますよ。
近年は何人かの捕手を起用していますが、正捕手と呼べる捕手はいません。田村龍弘から加藤匠馬に"浮気"し、今度は松川にという流れですよね。「こいつを鍛えるんだ」と使い続けて育てきったら、10年以上は固定できるでしょうし、チームが落ち着いてくると思います。ここまで見ていると、井口資仁監督は「開幕は松川でいってみようか」という気持ちになってるんじゃないかと。逆に、正捕手を育てることを重視すると、今年の優勝は難しいでしょうね。
――投手陣はどうでしょうか?
高木 佐々木朗希はコンディションをキープできれば期待できますね。ただ、昨年10勝した小島和哉が今年も安定した投球ができるかは疑問ですし、今のところ美馬学があまりよくありません。昨年からちょっと崩れてきていますよね。しぶといチームですけど、今年は3位と予想しました。
【4位予想:ソフトバンク】
――昨年、8年ぶりにBクラスに沈んだソフトバンクは、今年も浮上が難しそうですか?
高木 投手陣はある程度計算できると思いますが、やはり得点力不足に悩まされそうです。グラシアルが残ったのは好材料ですが、例えば今宮健太がショートを全試合守れないとか、いろいろ配置転換をしながらやらなきゃいけないと思うんです。レギュラーは柳田悠岐、栗原陵矢、甲斐拓也くらいですし、そのほかでは三森大貴がセカンドで落ち着くかなというぐらいで、残りのポジションはけっこう空いてるんですよね。
――ソフトバンクはずっと「選手層が厚い」と言われていましたが......。
高木 ここにきて薄くなりつつあります。だから、藤本(博史)監督になったというのは、レギュラーの確立を求めているのかなと思っています。もちろん勝負にいくのは間違いないですが、"我慢の年"になる可能性もあるでしょうね。
【5位予想:オリックス】
――昨年リーグ優勝したオリックスは5位と予想しましたが、どこかに不安があるのでしょうか。
高木 オリックスは今のところ、若手を中心に使っていますよね。来田涼斗や池田陵真、昨年経験を積んだ紅林弘太郎も順調だし、将来性豊かな若手がいます。昨年も宮城大弥や紅林らを使いながら優勝しましたが、若手が活躍するとチームの雰囲気がよくなるんですよ。今年も若手を積極的に起用すると思いますが、逆にうまくいかなかった時のリスクもあります。
――オリックスのチーム力が高かったことはもちろん、昨年は、近年リーグ優勝をしていたソフトバンクや西武に故障者などが多く、シーズン序盤はなかなか戦力が揃いませんでした。
高木 そうですね。オリックスが優勝できた要因のひとつが、交流戦の貯金です。交流戦で優勝し、その貯金を食いつぶしながらでも最後は逃げ切りました。優勝への目標が明確になったことでモチベーションも高く維持できたと思いますが、パ・リーグの中での対戦成績はトントンでしたよね。それが懸念材料です。
昨年の交流戦ではセ・リーグの各チームもほぼノーマークだったと思いますが、今年はオリックス戦にエース級を当ててくることも考えられます。昨年のように交流戦で多くの貯金をすることは難しくなるでしょう。
――山岡泰輔投手が右肘手術からの復活を目指しています。
高木 オープン戦の感じでは、今のところあまり状態はよくないかなと。投げ方も変わっていますし、ケガ前と同じパフォーマンスということにはならないような気がするんです。ただ、山岡が本来の力を出せない場合でも先発投手陣には厚みがありますし、軸がしっかりしているチーム。山本由伸という絶対的なエースがいますし、野手では吉田正尚は安定して力を発揮するはずです。
懸念されるのは、やはり昨年リーグ優勝をしたことで得た"達成感"です。リーグ優勝は、長いペナントレースで最終的に首位に立つという、ある意味で日本一よりも難しいですし、オリックスの場合は何年も待ち焦がれていたわけですから。そういう意味で、どうしても気の緩みというのはどこかに生じるんじゃないかと思います。
【6位予想:日本ハム】
――新庄(剛志)監督の改革が随所に見られる日本ハム。6位と予想したのは、西川選手や大田泰示選手らが抜けたことも大きいでしょうか。
高木 確かに戦力的には足りませんが、見ていて楽しいです。ゼロから何かを引き出して、作り上げていくというかね。キャンプの時に外野からのカットプレーをしていて、それを走者がいなくても、練習やオープン戦で続けています。「まずは守りから」という意識づけが非常にいいと思います。
――新庄監督が現役時代、外野手が守備位置につく際には全力でダッシュをしていました。その光景が戻ってきている印象でしょうか?
高木 そうですね。それを選手たちがみんなでやろうとしていますし、非常にチームとしてのまとまりがあります。これが今年の順位に反映されるかというと、そう簡単ではありません。それでも今の取り組みを続ければ、着実に強くはなっていくと思います。
「見てみたい」と思わせられるチームですよ。それはプロ野球のチームとしてあるべき魅力じゃないですか。何よりも選手たちが楽しそうですし、仕事が楽しいというのは成果を生むことにつながりますから。
――日本ハムで注目している選手は?
高木 渡邉諒と野村佑希です。近藤健介ももちろんですが、彼らがしっかり働かないと打線がつながっていきません。同世代の村上宗隆があれだけ活躍していることもあって、清宮幸太郎には結果が求められるでしょうし、五十幡亮汰もどこで使うのかも注目しています。まだ不安材料のほうが多い印象ではあるので今年はこの予想になりましたが、覆してくれると面白いですね。
(高木豊の順位予想)
1位 西武
2位 楽天
3位 ロッテ
4位 ソフトバンク
5位 オリックス
6位 日本ハム