国内女子ゴルフツアー今季第3戦・Tポイント×ENEOS最終日が20日、鹿児島高牧CC(6419ヤード、パー72)で行われ、混戦を制して堀琴音(ダイセル)がツアー2勝目を飾った。1打差の単独首位で出て一時は2位に陥落も、勝負所のパットを決め…

 国内女子ゴルフツアー今季第3戦・Tポイント×ENEOS最終日が20日、鹿児島高牧CC(6419ヤード、パー72)で行われ、混戦を制して堀琴音(ダイセル)がツアー2勝目を飾った。1打差の単独首位で出て一時は2位に陥落も、勝負所のパットを決めて3バーディー、1ボギーの70でまとめて通算9アンダー。2位で通算8アンダーの西村優菜、葭葉ルミに競り勝った。昨年7月のニッポンハムレディスクラシック以来、約8か月ぶりのV。姉の堀奈津佳も通算2勝、国内女子ツアー初の「姉妹で複数回優勝」も達成した。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 最終18番パー4。タップインで優勝パットを決めた堀は、両手を挙げて歓声に応えた。目はみるみる潤み、「ありがとうございました」と感謝の会釈を繰り返した。その姿を姉の奈津佳も見つめ、笑顔で拍手を送った。

 昨年7月のニッポンハムレディスクラシックでは、2位から出て若林舞衣子とのプレーオフを制してツアー初優勝を飾った。約3年に及ぶスランプを乗り越え、「必死でつかんだ1勝」だった。そして、それは福嶋晃子、浩子姉妹に続くツアー史上2組目の「姉妹優勝」となった。だが、今回の2勝目で、姉妹そろって史上初の複数回優勝を達成。堀は誇らしげに言った。

「正直、そこを一番思っていました。姉が2勝しているので、1勝しても、まだモヤモヤしたものがありました。1勝と2勝では響きも違いますし、2勝以上している人はそんなに多くないですから。なので、今季3戦目で優勝して、やっと姉と並べてホッとしました」

 初優勝後、トップ10入りは昨季だけで3度あったが、調子が落ちた時期もあった。「葛藤があって、本当に2勝目はできるのだろうか」と不安にもなったというが、指導を受ける森守洋コーチから「ツアーのフル参戦が久しぶりだから、調子が上がらないのは体力的な問題。ショットは全く問題ない」と励まされたという。

強くなった気持ち「16番を決めていなければ17番も入っていなかった」

 そして、オフの間は体幹トレーニングを積み、昨年から持ち球にしたパワーフェードの質を高めた。結果、それが「風に負けないショット」になり、今季は開幕戦のダイキンオーキッドから全て優勝争いに参戦。2戦目の明治安田生命レディスで2位、この3戦目で遂に頂点をつかんだ。

「もう、幸せいっぱいです。結婚会見みたいですが(笑)。でも、先週も(ボギーなしで)自分でも誇れるゴルフでしたし、今週もショットに助けられました」

 気持ちの強さも発揮。一時リードされたことを知りながら、慌てず、西村、葭葉と首位で並んでいた16番パー5では、「取れるのはここしかない。しっかり打とう」と自分に言い聞かせ、3メートルのバーディーパットを決めた。さらに17番パー3では2メートルのパットを入れてパーセーブ。右拳を上下させて、気持ちを表現した。

「16番を決めていなければ、17番も入っていなかったと思います。自分の言うのもあれですが、(気持ちが)強くなれました。1勝目は必死になって(プレーオフで)勝ちましたが、今日は最終日を首位で出ての優勝。1勝しているので心の余裕もありましたし、2回目の優勝が全然違う形なので、それはすごく自信になりました。でも、ハラハラドキドキはしていましたけど」

 文字通り、絶好調の26歳。次戦のアクサレディス(25~27日、宮崎・UMKカントリークラブ)は、13年に姉がツアー初優勝を飾った大会。その縁も含めて、堀は「勝ちたい思いはあります。今年の目標は複数回優勝なので」と言い、しっかりと前を向いた。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)