プレミアリーグ第27節延期分、アーセナルvsリバプールが16日にエミレーツ・スタジアムで行われ、アウェイのリバプールが0…

プレミアリーグ第27節延期分、アーセナルvsリバプールが16日にエミレーツ・スタジアムで行われ、アウェイのリバプールが0-2で勝利した。なお、アーセナルのDF冨安健洋はベンチ外、リバプールのFW南野拓実はベンチ入りも出場機会はなかった。

前節、レスター・シティを2-0で破り、今季最長となる5連勝を達成した4位のアーセナル(勝ち点51)。その試合から中2日で臨んだ今節は今季3度の対戦で1度も勝利がない難敵をホームで迎え撃った。アルテタ監督は過密日程よりも、現状の完成度を重視して4試合連続で同じスタメンを採用した。

一方、首位のマンチェスター・シティ(勝ち点70)と熾烈な優勝争いを繰り広げる2位のリバプール(勝ち点66)は、アーセナルを上回るリーグ戦8連勝中。前節のブライトン戦できっちり2-0の勝利を収めたクロップ率いるチームは、前節でのシティの取りこぼしにより、この延期分で勝ち点3を積み上げることができれば、4月初旬に控える直接対決での逆転が可能となる。その大一番に向けてはブライトン戦から先発2人を変更。前節、負傷交代のサラーをベンチに置きジョタを代役に据えたほか、ナビ・ケイタに代えてチアゴを復帰させた。

今季のリーグ優勝争いとトップ4争いを左右するミッドウィーク開催のビッグマッチは、立ち上がりからハイプレスを仕掛け合うアグレッシブな入りに。開始2分にはリバプールがアレクサンダー=アーノルドの右CKからフリーのファン・ダイクがヘディングシュートを枠の右隅へ飛ばすが、ここはGKラムズデールの好守に阻まれる。

立ち上がりのピンチを凌いだアーセナルは積極的なプレス、トーマスを起点に要所で相手のプレスをいなして後ろ向きの守備を強いるなど、ホームで真っ向勝負を見せる。9分にはサカの右クロスをボックス左でフリーのマルティネッリがボレーで合わせると、15分には左サイドの深い位置まで運んだマルティネッリの高速クロスで相手守備を揺さぶる。

前半半ばを過ぎると、試合は徐々に膠着。ボール支配率ではリバプールにやや分があるものの、アーセナルの強度、連携申し分ない安定した守備を前になかなか狙いとする形の攻撃を出せず。ルイス・ディアスを右、マネを左とウイングの立ち位置を入れ替えるなど、流れを変えようと腐心するが、序盤以降決定機まで持ち込めない。

一方、アーセナルは決定機まで持ち込めないものの、相手両サイドバックの背後を効果的に突きながら幾度か押し込む形を作り出し、セドリックやジャカ、トーマスと3列目の選手がフィニッシュに絡むなど、十分に相手守備を脅かした。

ホームチームがペースを握るも、リバプールが枠内シュート1本、アーセナルが枠内シュート0とクローズな展開で終了した前半を経て試合は互いにメンバー変更なしで後半に突入。開始直後にはヘンダーソンのスルーパスに抜け出したマネがいきなりゴールネットを揺らすが、これはオフサイドの判定。

すると、直後にはアーセナルにこの試合最大の決定機か訪れる。51分、チアゴの不用意なバックパスをボックス内のラカゼットが回収。ラカゼットはGKアリソンに詰められて自分でシュートに持ち込めないが、冷静にサポートに入ったウーデゴールに繋ぐ。ここでウーデゴールはゴールカバーに入った2人のDF、ポジションを取り直したアリソンを相手にシュートを狙うが、リバプール守護神の圧巻のビッグセーブに阻まれた。

ピンチを凌いだものの、流れを変えたいリバプールベンチは直後にサラーとフィルミノをベンチサイドで準備させると、その空気を察したのか、この試合でのラストプレーとなるポルトガル代表FWが意地を見せた。

54分、先ほどチームを窮地に追い込んだチアゴが相手の中盤のラインを越え、且つサイドバックとセンターバックの間を抜く絶妙なグラウンダーの縦パスをジョタに通すと、そのままボックス左に持ち込んだポルトガル代表FWが角度のないところからニア下を射抜く見事な左足のシュートを突き刺した。

“アーセナルキラー”としてリーグ戦4試合連続ゴールを決めたジョタはこれでお役御免となり、ルイス・ディアスと共にベンチへ下がると、真打ちサラーとフィルミノが56分にピッチへ送り込まれる。すると、ドイツ人指揮官の早めの交代策がさらなるゴールをもたらす。

62分、相手陣内右サイドでのスローインの流れからカウンタープレスでDFガブリエウのボールロストを誘い、ここから波状攻撃を仕掛ける。サラー、ロバートソンのシュートは相手のブロックに遭うが、見事なプレーの連続性から左サイドのタッチライン際の攻防を制してぎりぎりボールを残したロバートソンがボックス左ゴールライン際を深くえぐってグラウンダーのクロスを供給。これをニアにポジションを取ったフィルミノがGKラムズデールの寸前で触ってコースを変えてゴールネットを揺らした。

リバプールの畳みかける攻撃を前にまさかの連続失点を喫したアーセナルは、この精神的なショックとスタメン変更なしで連戦を戦った疲労が徐々に出始める。67分にウーデゴールを下げてスミス・ロウ、70分を過ぎてサカ、ラカゼットを諦めてペペ、エンケティアとフレッシュな選手をピッチへ送り出す。だが、ゲームコントロールに舵を切ったアウェイチームを前にマルティネッリの個人技での打開以外に攻め手を見いだせない。

一方、直近3試合連続クリーンシート中のリバプールはリスクを冒して前に出ることなく最終ライン、ファビーニョを中心に相手の攻撃を撥ね返しながら冷静にゲームをコントロール。試合終盤のカウンターチャンスをモノにできず、トドメの3点目こそ奪えなかったものの、2-0のスコアのままきっちり試合をクローズした。

そして、前半こそ苦戦を強いられたものの、守護神アリソンを中心とするソリッドな守備、攻撃陣が期待通りの決定力を発揮した盤石のクロップ率いるチームがアーセナルとの連勝対決を制してリーグ9連勝を達成。首位シティとの勝ち点差をわずか1ポイントに縮めた。