女子ゴルフ双子姉妹、岩井明愛&千怜の父・雄士さんに聞く 国内女子ゴルフ今季第2戦・明治安田生命レディスは、サイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)のツアー初優勝で終えた。注目された双子の岩井姉妹は姉の明愛(あきえ=Honda)が予選落ちで、妹…

女子ゴルフ双子姉妹、岩井明愛&千怜の父・雄士さんに聞く

 国内女子ゴルフ今季第2戦・明治安田生命レディスは、サイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)のツアー初優勝で終えた。注目された双子の岩井姉妹は姉の明愛(あきえ=Honda)が予選落ちで、妹の千怜(ちさと=Honda)が32位だった。2人にとっては今季初戦。千怜のキャディーを務めた父・雄士さんの思いを電話で聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 岩井姉妹と雄士さんは13日の夜、埼玉県内の自宅に着いた。大会最終日を終え、数時間後には航空機に搭乗。雄士さんは、疲れを感じさせずに言った。

「2人ともよく頑張りました。ショットでは、いい数値も出ましたし、自信にはなったと思います」

 言葉通り、予選2日間で明愛はフェアウェーキープ率82.14%(全体2位)、千怜は大会を通したパーオン率83.33%(全体8位)。ともにアプローチ、パットには課題が残ったが、そのポテンシャルを見せた。

 千怜と共に戦った自身のことを聞くと、雄士さんは「私はキャディーができて楽しかったです」と即答した。姉妹のアマチュア時代、ツアーで明愛のバッグを担いだことはあったが、千怜について機会がなかった。今季は2人とも「プロキャディーにお願いしていく」方針だが、前半戦は主催者推薦を待つ立場で、出場が急に決まるケースが多くなる。今大会もそうだったといい、明愛はプロキャディーを探し、千怜は雄士さんが立候補して担当することになった。

「仕事の休みが取れていたので、『お父さんに担がせて』と言いました(笑)。オフの間、タイミングが合えば2人のどちらかキャディーバッグを担いで練習ラウンドに付き合っていました。体作りもしてきて良かったです」

「お金をかけずに強くなる」を実践してきた教育

 49歳の雄士さんは仕事がオフになると、娘たち、長男の光太さん(埼玉栄高2年)と一緒にトレーニングをしている。それは3人が幼少期からのことで、ダッシュ、持久走で下半身を強化、小学校の校庭にある上り棒、鉄棒、自宅に設置した懸垂器具で上半身を鍛えてきた。「お金をかけずに強くなっていく」をテーマに子供たちに課したメニューを可能な限り、自身でもこなしている。

 そうした日々があり、起伏の激しい土佐CCをものともせず、重いキャディーバッグを担ぐ姿があった。肌寒い朝から半袖、短パン。引き締まった体は同世代として、うらやましくもあった。初日、68の4アンダー、6位で会見した千怜は、雄士さんのキャディーについて、少し照れながら言った。

「なかなか良かったです(笑)。『自信を持って』『直感を信じろ』と、背中を押す言葉も掛けてくれました。水も飲みたい時に渡してくれました」

 雄士さんにそれを伝えると、娘たちがプロになったことを実感して言った。「私は幸せ者です。素直にうれしいです」。ライン読み、やり取りなどで、「もう少しこうすれば良かった」との思いはあるというが、雄士さんと千怜が醸し出す「いい空気感」は、観客にも伝わっていた。そして、最終日は17番、18番で連続バーディー締め。大きな拍手を受けた。「もう、千怜のおかげで最高に気持ち良かったです」。父子で笑い、明愛もロープ外で微笑んだ。

 まだ始まったばかりの岩井家物語「プロゴルファー編」。父はトレーニングを継続し、機を見てバッグを担ぐつもりだ。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)