明治安田生命レディス3日間で印象に残ったコメント 国内女子ゴルフ今季第2戦・明治安田生命レディスは、サイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)のツアー初優勝で終えた。3日間を通し、さまざまな選手の思いを聞いたが、最も印象に残ったのは、2位の堀琴…

明治安田生命レディス3日間で印象に残ったコメント

 国内女子ゴルフ今季第2戦・明治安田生命レディスは、サイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)のツアー初優勝で終えた。3日間を通し、さまざまな選手の思いを聞いたが、最も印象に残ったのは、2位の堀琴音(ダイセル)が、第2日のホールアウト後に発したこのコメントだった。

「私が苦しかった時よりも姉の方が今、苦しいと思います。あまり気軽にコメントはできないけれど、実の姉ですし、心の底から『もう一度、優勝してほしい』と思っています」

 姉の29歳堀奈津佳は、20歳だった13年に2勝。両試合の計7ラウンドで全て60台をマークし、ツアーをけん引する新星と期待されていた。だが、15年にシード権を喪失した。16年、17年、19年は賞金0円で、昨年の明治安田生命レディスで3年ぶりに予選通過。その後は9戦連続予選落ちで、今大会の初日は12番パー4で10打をたたくなどし、84だった。

 琴音もプロ2年目の15年にシードを獲得し、16年の日本女子オープンで2位。注目の存在だったが、18年からは約3年間低迷した。そして、21年のダイキンオーキッドレディスで約2年ぶりに予選通過、同第2戦の明治安田生命レディスは8位で約3年半ぶりのトップ10入りを果たした。その後、8月のニッポンハムレディスクラシックでツアー初優勝。完全に低迷期を脱し、好調時を上回る成績を残している。

 だからこそ、長く苦しむ姉が気がかりで、今大会の初日を終えた後には「気持ちを切り替えていこう」と声をかけている。そして、第2日に奈津佳は69をマークしている。前日の84から一転して、4バーディー、1ボギー。ツアーでの60台ラウンドは15年のTポイントレディス初日以来、約7年ぶりだった。

18日からの「Tポイント×ENEOSゴルフ」にも姉妹で出場

 ゴルフは楽しいが、苦しい。一般ゴルファーも不調が続いて、クラブを置く人がいる。

 かつて取材した川岸良兼は「米ツアーの試合でダウンスイングの仕方が分からなくなり、固まってしまった」と明かした。プロテストを目指すある女子選手は「2次予選の最終ホールでティーショットを右側の池に入れ、1打足りずに不通過でした。それから大事な場面では、同じプッシュのミスが出ます」と話していた。闇に入ったまま、第一線を退いたプロもいる。

 だが、琴音がそうであるように、苦しみの中で得た「自信」の積み重ねで、復活したプロも少なくない。

 会見で琴音はこうも言った。「姉は来週(Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント)も出場するし、楽しみにしています」。指導を受けるコーチ、ゴルフスタイルは違い、姉の状況を「気軽にコメントできない」ことも理解できる。ただ、自身の姿を見せながら、姉の復活を待っていることは分かった。7年ぶりの60台は大きなプラス材料。これを機に奈津佳の未来が明るくなり、姉妹で喜びあえる日が来ることを期待する。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)