今季ツアー第2戦・明治安田生命レディス最終日 女子ゴルフの今季2戦目・明治安田生命レディス最終日が13日、高知・土佐CC(6228ヤード、パー72)で行われ、5位から出た台湾出身のサイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)が、逆転でツアー初優勝…

今季ツアー第2戦・明治安田生命レディス最終日

 女子ゴルフの今季2戦目・明治安田生命レディス最終日が13日、高知・土佐CC(6228ヤード、パー72)で行われ、5位から出た台湾出身のサイ・ペイイン(京豊エンジニアリング)が、逆転でツアー初優勝を飾った。7バーディー、ボギーなしの65で通算13アンダー。2試合連続優勝を狙った西郷真央(島津製作所)ら4人を1打差で制した。2011年から日本でプレーする30歳は、若手が席けんするツアーの中で、「勢いが続くのは2、3年。ゴルフは徐々に良くなる方がいい」と胸を張った。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 先にホールアウトしてサイは、プレーオフに備えてパッティング練習に集中していた。「そんなに簡単には勝てないと思っていました」。そして、優勝決定を知らされると、「ホントですか」とリアクション。目に涙はなく、「興奮する方が大きいです。日本に来て12年。一番悪いところから上がってきたので、(努力は)無駄ではなかったと思います」と片言の日本語で喜びを口にした。

 台湾出身の30歳。日本では2011年からプレーしているが、苦労続きだった。13年はツアー出場を果たせず、15年は1試合出場で賞金0円。16年に賞金ランク44位でシードをつかむも、18年は64位、19年は131位と再び低迷した。しかし、20-21年統合シーズンで36位に。今季は5年ぶりにシード選手の立場になっていた。そして、2戦目で悲願を達成した。

「日本に来た最初の年は、一番しんどかったです。言葉も分からないし、プロアマのルールも分からなかった。そして、自分の技術が通じないことも知りました」

サイの支えになった島袋美幸の言葉「ゴルフは長く続ける方がいいよ」

 苦しい中で手を差し伸べたのは、ベテランプロでツアー5勝の島袋美幸だった。

「島袋さんは結果のことは言わなくて、ボギーを打った原因を徹底的に聞いてきました。そして、それを次の日まで残さない。結果よりも、ゴルフの内容を追求していくから、私も段々と楽しくなりました」

 一方でツアーでは、20歳前後の若手が上位を席けんするようになった。シード権を失う20代後半、30代のプロも多い中でも、サイは島袋からの言葉を胸に努力を重ねていた。

「『ゴルフは長く続ける方がいいよ』と言われてきました。若い人たちは、私がその年の頃よりも全然、上手だと思います。でも、ゴルフは奥が深い。(若手の)勢いは2、3年は持つかもしれないけれど、経験を重ねていくとミスの数も増えるし、いい状況は長く続かないかもしれない。良くなってすごく悪くなるのも、気持ちがしんどい。だから、私はちょっとずつ上がっていった方がいいと思います」

「勢い」ではなく、ゴルフの奥深さを知って勝利を手にしたことで、サイは「まだまだゴルフを磨いていきたくて、世界レベルになりたいです。賞金はそのために貯金します」と言った。伸びしろのある30歳。今後のツアーで目の離せない存在になりそうだ。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)