コロナによる試合中止が相次ぎ、1か月ぶりとなった公式戦で宇都宮に快勝 バスケットボールB1リーグの昨季王者である千葉ジェ…
コロナによる試合中止が相次ぎ、1か月ぶりとなった公式戦で宇都宮に快勝
バスケットボールB1リーグの昨季王者である千葉ジェッツは、3月12日に川崎ブレイブサンダースとの天皇杯決勝を控えている。その大一番を前に、9日のB1第23節で宇都宮ブレックスと対戦。昨季のチャンピオンシップファイナルで対峙した難敵であり、しかも千葉は“試合勘”に不安を抱えていた。
まず千葉は2022年に入って、まだ実戦を4試合しか戦っていない。1月29日・30日の横浜ビー・コルセアーズ戦、2月2日の川崎戦、2月5日・6日のアルバルク東京戦、3月5日・6日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦がすべてコロナ絡みで中止となったからだ。9日の宇都宮戦は、2月9日の天皇杯から丸1か月ぶりの公式戦だった。
また千葉は宇都宮に、10月27日の今季初顔合わせで75-100と大敗している。フィジカルな相手の守備に苦しみ、持ち味を全く出せない展開だった。
しかし千葉は今回の試合でフィジカルなバトルでやり返し、93-66と快勝している。中2日の12日に組まれた天皇杯決勝に向けて、弾みのつく内容だった。
大野篤史ヘッドコーチは試合後、こう述べている。
「バイウィーク(リーグ戦がない週)にディフェンスの細かいところや、自分たちが今、取り組まなければいけないところを、選手たちがハードワークしてくれた。コロナで試合がキャンセルになるなかでも、ポジティブなモチベーションを持って練習に取り組んでくれた。それがいい結果につながったと思っている。フィジカル差で前回負けたので、フィジカル差で負けないでおこう……というところを、しっかり体現してくれた」
中断期間中、富樫勇樹と佐藤卓磨は日本代表合宿に参加していたが、他の選手もそれぞれにステップアップを果たし、それが宇都宮戦の快勝に寄与した。
原修太は大野HCから「エース封じ」を任されて遂行。フィジカルな守備で比江島慎を苦しめていた。原はこう口にする。
「昨日の時点で大野さんから『比江島を任せた』と言ってもらえたので、自分の仕事はできたのではないかと思います。ポジティブに考えるのであればこの2か月で4試合しかなかった分、チームのディフェンスやコミュニケーションを突き詰められた。久々の試合ですから、本当に出だしが大事になります。宇都宮はすごくインテンシティの高いチームなので、なおさら出だしを抑えるのが大事だと考えていました」
12日の天皇杯決勝へ万全の準備、川崎にも「勝てる」
試合中止は観戦を予定していたファン、収入を期待していたクラブにとって残念な結果だ。またコロナ禍では間隔が極端に空いたり、逆に代替試合が入って過密日程になったり、リーグ戦が不安定な進行を強いられている。しかし千葉の選手たちは、不運な中でも与えられた時間を生かした。
千葉は代表戦による中断、試合の中止で空いたスケジュールを生かして、じっくり追い込んだ練習に取り組めた。フィジカル強化、細かい守備戦術といったベース作りは、時間をかけてじっくり取り組むメニューだ。千葉は長い中断期間に鍛え直して9日の宇都宮戦をクリアし、12日の天皇杯決勝を万全の準備で迎えようとしている。
原は振り返る。
「Bリーグはこうやって試合が増えて、過密日程になってきています。水土日と試合をやっている時には、正直そこまで長い時間のチーム練習ができません。でもこの1、2か月は時間があったので、みんながしっかり身体作りをできた。正直、練習がきつかったので……。本当にオフシーズンみたいな感じでしたね」
9日の宇都宮戦は内容的にも、天皇杯ファイナルに向けて収穫のある展開だった。
「(天皇杯決勝は川崎の)強力な3ビッグ(ニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラール)の時間帯をどう崩すかが鍵になってきます。宇都宮も頻繁にスイッチをディフェンスで使ってくるチームだけど、そこの崩し方をやれた。今日のように序盤からプレッシャーをかけて、相手にプレーをさせないことができれば(川崎にも)勝てると思います」(大島 和人 / Kazuto Oshima)