国際大会の会場に入るにあたって、誰もが等しく通らねばならない関門がある。どの国の記者でも、元選手であっても関係ない。た…

 国際大会の会場に入るにあたって、誰もが等しく通らねばならない関門がある。どの国の記者でも、元選手であっても関係ない。ただし、一人だけ別次元の男がいた。偉大なるペレとの邂逅を、蹴球放浪家・後藤健生が振り返る。

■誰もが通る最初の難関

 ワールドカップでも、EUROでもいろいろな国際大会の取材に行った時、最初に済ませなければならないのがADカードを手に入れることです。ADカードがなければ、スタジアムにもメディアセンターにも入れませんし、メディア用のシャトルバスにも乗れません。逆に、ADカードを見せれば乗り物がタダになったり、博物館にタダで入れたりすることもあります。

 ADカードが必要なのはジャーナリストだけではありません。選手も監督もこれが必要です。選手交代の時には、第4審判がこのカードで選手をチェックしています。FIFA会長でも、警備の警官でも、売店の店員でも、清掃係でも、全員ADカードを首からぶら下げていないと会場に入れません。

 事前に申請受理されているわけですから、ADカードは必ず手には入るんですが、それが、結構、大変なこともあるんです。

 まず最初の難関はADカードを発行してもらう「アクレディテーション・センター」を探し出すことです。すべてのスタジアムのそばにあるんですが、それがなかなか見つからないこともあります。

■警察官に救われた韓国での思い出

 たとえば、2017年に韓国で開かれたU-20ワールドカップの時です。日本の試合は水原(スウォン)のワールドカップ競技場で行われましたから、僕は水原のアクレディテーション・センターでADカードを取得することにしていました。スタジアム北西側にあることは事前の案内で知っていました。

 ところが、行ってみても、それらしい建物が見当たらないのです。たいてい、スタジアムそばの体育館や事務所がアクレディテーション・センターに使われていたり、あるいは仮設のテントが設置されていたりするのですが……。

 グルグル回って、ボランティアに聞いても誰も知りません。そこで、警備の警官に聞いてみたんですが、やはり彼も知りませんでした。

 ところが、この若い警官がとても親切な人で一緒に歩き回って探してくれました。で、ようやく見つかったんですが、要するにちょっとした林のような木立ちがあってその陰に建物が完全に隠れていたというわけです。

■現地到着直後の「落とし穴」

 こうして、無事にアクレディテーション・センターを探し出したら、まず受付です。FIFAなどから送られてきたレターを見せたりして、登録番号や名前などを伝えるとボランティアがPCで確認してくれます。そして、パスポートを見せて本人確認をします。

 昔は、それから顔写真を撮影するのが普通でした。

 自分で用意してきた紙焼きの顔写真を貼り付ける方式もありましたが、たいていその場で撮影した写真を使いました。

 顔写真というのは、なかなか良い表情にはなりません。とくに現地到着直後などだと、疲れ切った哀れな顔になってしまうことがよくありました。その写真を、1か月も首からぶら下げて歩くのですから、気分の良いものではありませんでした。

 最近では撮影した写真のデータを取り込んでそのままADカードをプリントアウトすることもありますし、事前に登録した写真データをそのまま使うことも多くなりました。それなら、出来の良いお気に入りの写真データを送っておけばいいのです。

 こうしてプリントアウトされたADカードはプラスティックでパウチしてから、ケースに入れて、そして大会名やスポンサー名が入ったカラフルな紐を取り付けて出来上がりです。

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