「免疫力を高めて病気を防ぎましょう」「免疫力を高める食材〇〇を積極的に摂りましょう」免疫や免疫力という言葉を、頻繁に耳にするようになりました。しかし、「免疫とは?」と聞かれたら…説明できない方も多いのではないでしょうか。病気予防や健康な体づ…
「免疫力を高めて病気を防ぎましょう」
「免疫力を高める食材〇〇を積極的に摂りましょう」
免疫や免疫力という言葉を、頻繁に耳にするようになりました。しかし、「免疫とは?」と聞かれたら…説明できない方も多いのではないでしょうか。
病気予防や健康な体づくりにも欠かせない免疫力について、薬剤師であり、予防医学マイスター、予防医学士の坂田武士氏に聞きました。
体を守る免疫細胞「白血球」
<Q:免疫細胞とは?>
人の体は約37兆個の細胞でできていて、その中に免疫細胞が存在します。免疫細胞は白血球のことで、血液中の約1%しかないとても貴重な細胞です。外から侵入したウイルスなどから体を守るだけでなく、体内で生まれるがん細胞をやっつける役割も持っています。
免疫細胞は骨髄で作られ、血管を通って全身を巡ります。免疫細胞を強くする訓練所が腸にあるため、免疫や免疫力には腸を整えようと言われるようになりました。
<Q:訓練所「腸」では何が起きている?>
腸内には「パイエル板」と言われる免疫器官があります。腸内環境が良い人は、体内に侵入してきた異物や有害物質をパイエル板が少しずつ取り込んで、免疫細胞と戦わせ、訓練により強くなった免疫細胞が全身に配備されます。しかし、腸内環境が悪い人は、正しく訓練されないまま全身に排出されてしまうのです。
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腸内環境の改善に必要な3つのアプローチ
<Q:3つのアプローチとは?>
①プロバイオティクス
乳酸菌、ビフィズス菌、発酵食品など体に良い働きをする腸内細菌で、食品から摂取することができ、善玉菌とも言われています。
(ヨーグルト、納豆、キムチなど)
②プレバイオティクス
水溶性の食物繊維やオリゴ糖のことで腸内細菌の餌です。①のプロバイオティクスは生き物なので、ごはんを食べさせる必要があります。
(穀類、海藻類など)
③バイオジェニックス
善玉菌が水溶性の食物繊維やオリゴ糖などを食べると作られるのが、短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸、酢酸など)です。
短鎖脂肪酸は血液にのって全身に配備され、交感神経に作用して代謝を上げたり、脂肪蓄積を抑制したり、免疫力を活性化させたりします。
<Q:3つ全部が必要?>
短鎖脂肪酸は良い腸内環境でないと作られません。そのため①と②を両方摂取して、まずは腸内環境を整える必要があります。
断ち切ろう!不健康の負の連鎖
「体は、食べ物からつくられています。食生活の乱れが体に悪影響を及ぼしているのです。まさに負の連鎖。断ち切るためにはプレバイオティクス、プロバイオティクスを積極的に摂取して腸内環境を改善し、バイオジェニックスが作れる体をつくりましょう。そうすれば、免疫力がアップし、さまざまな不調も改善するはずです。」と坂田氏。
風邪をひきやすくなったり、花粉症や食物アレルギーなど症状が出たり。その他、気になる不調は免疫力が関係しているかもしれません。まずは食生活を見直し、腸内環境を整えることから始めましょう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
坂田 武士
一般社団法人日本予防医学マイスター協会 代表理事
株式会社サムライフ 代表取締役
昭和大学薬学部薬学科を卒業後、薬剤師免許を取得。大手製薬会社勤務や特別養護老人ホームの施設長などを経て、予防医学やエイジングケアの重要性を感じ、2009年株式会社サムライフを設立。2019年一般社団法人日本予防医学マイスター協会を設立し、全国で予防医学の資格認定を発行している。薬をすすめない薬剤師として、これまでに1万人以上の独自のオーダーメイド予防医学カウンセリングを行う。筋肉を維持して脂肪だけを落とす「オプティマムファスティング(R)」は、健康・美容業界のプロの間で広がり、便秘外来や整形外科のクリニックやエステサロン、プロスポーツ選手などにも取り入れられている。この方法を記した著者「4日間で脂肪だけをキレイに落とす本」(学研プラス)が好評を博す。
<保持資格>
薬剤師、予防医学マイスター(R)、予防医学士(R)、オプティマムファスティングコーディネーター(R)、スポーツファーマシスト