吉田優利インタビュー(後編)2022年シーズンでのさらなる飛躍が期待される吉田優利――2勝を挙げたデビューシーズンの経験を、今季にどう生かしていこうと考えていますか。「(ゴルフでは)調子がいい時も、悪い時もある。悪い時にどう対処したらいいか…
吉田優利インタビュー(後編)
2022年シーズンでのさらなる飛躍が期待される吉田優利
――2勝を挙げたデビューシーズンの経験を、今季にどう生かしていこうと考えていますか。
「(ゴルフでは)調子がいい時も、悪い時もある。悪い時にどう対処したらいいか。その点、最初の1年半で悪い時のデータを集めることができたので、同じような状況に陥った時にデータを確認して、すぐに復調できるようになれればいいなと思っています」
――データというのは、技術的な部分での数字ですか。
「もちろん、それもありますし、調子が悪かった時に、自分の身体のどこが硬かったのか。どこの筋肉が使えていなかったのか。フィジカルのデータもあります」
――同い年の西村優菜プロは長いシーズンを終えて、体重がかなり減ってしまったということで、その辺りを今季の課題に挙げていました。吉田プロもそういった苦労はありましたか。
「私はその点で苦労することはありませんでした。ナショナルチームで活動していた頃から継続して、毎朝、体重と体脂肪率を測って、自分の体重の変化、筋量の変化をグラフにして管理するようにしています。
体重が減るというのは、脂肪が減っているのではなくて、筋肉の量が減っているからだと思うんですね。筋量が落ちてしまうと、パフォーマンスが低下してしまいます。高校生の時に一度、そうしたことを経験していて、それからは少しでも変化があれば、すぐに調整するようにしています」
――夏場に食欲がなくなることはありませんでしたか。
「そういう時は少ない量で高カロリー、高タンパク質をとれるように、食事を工夫していますね」
――以前、ご自身は体重制限があるから、そこはYouTubeなどで大食い動画を見て解消しているといった話をされていました。
「ハハハ(笑)。今も見ていますよ」
――そうした動画を見ていたら、余計に食欲が増大しませんか。
「食べたい時に食べられるように、普段は食事制限をしているという感じですから。ず~っと、食事制限しているわけではないので、問題ありません。食べることによって、血糖値に揺さぶりをかけて、代謝を上げることもできますから。そういうことも、息抜きとして必要かなと思います」
――そういった"食トレ"はいつ頃から実践しているのでしょうか。
「高校生の時に自分に合う食事、合わない食事があることに気づいて、そこから勉強するようになりました。どんな食材を組み合わせたら、栄養吸収の効率が上がるのかとか......もっともっと勉強したいです」
――"勝負メシ"的なものはありますか。
「これというのはないですけど、私にとってハチミツは少ない量でカロリーも摂取できるし、肌の調子もよくなると感じています。体調が悪い時とか、夏場の食べられない時とかでも、効率よく栄養を吸収できるのがハチミツなのかなと。ヨーグルトにハチミツをかけて食べるのが好きです」
――試合翌日の月曜日はオフに充てているのでしょうか。
「普通に朝から練習していますね。オフはあっても半日くらい。基本的に練習とトレーニングをしようとすると、ほぼ一日が埋まってしまいます。私は何もしない完全オフの日はいらないと思うタイプ。そういう時間を今年は作ろうとか、そういうことも考えていません」
――吉田プロは「ゴルフは仕事」と捉えているタイプでしょうか。
「プロゴルファーである以上、ゴルフをする、というのは当たり前のこと。ただ、その他の部分の自分の人生も大切にしたい。練習は効率よくやって、自分の好きなネイルや美容、エステ......そういう自分に費やす時間も同時に大事にしています。ゴルフの時間と自分の時間を大事にすることで、毎日、ゴルフに集中できるし、気持ちもすごくラクに過ごせることができますね」
――このオフに取り組んできたことを教えてください。
「パーオン率を上げるために、ビジネスゾーン(スイング時における腰から腰までの範囲のこと)の再現性を高める練習をしました。特に、アイアンを打ち込むような時間が多かったですね。ミスの幅を減らすのが目的でした。もちろん、ドライバーの飛距離は求めつつ、アイアンの精度を重要視しながら練習してきました」
――トレーニングもこなしてきたのでしょうか。
「特別にどこかを重点的に鍛えたとかはなく、全体的なパワーアップを意識してとり組んできましたね」
――今季の目標を教えていただけますか。
「シーズン3勝。できることなら、そのなかにメジャータイトルが含まれていたら最高です。昨年2勝できたので、3勝できたら昨年を上回るいいシーズンになると思います。
メジャータイトルは年に4大会しかないですし、プロゴルファーとして憧れのタイトル。難しい分だけ、チャンスも少ないと思うんですけど、プロである以上、きっと毎年、メジャー優勝を目標に掲げるんだろうなと思っています」
――賞金女王は視線の先にありますか。
「大きな目標と小さな目標、長期的な目標と短期的な目標があって、賞金女王というのは、大きな、長期的な目標のひとつです。そのタイトルをいつか手にするために、小さな目標、短期的な目標があって、まずはそれらを一つずつクリアしていきたい。そうして、いずれ(賞金女王に)たどり着ければいいなと思っています」
――海外メジャーへの挑戦や、将来的な米ツアー参戦の夢はありますか。
「アメリカに憧れもあるんですけど、(2020年末に)一度、全米女子オープンを経験し、どれだけ自分がうまくなれば戦えるのか、(自分なりに)見当はついています。そのレベルに達してから考えようと思います」
――どういう状況になれば、「そのレベルに達した」と思えるのでしょうか。
「きっと、勝利数とかではないですね。具体的に言うのは難しいんですけど、どうなったらアメリカで戦えるのか、現段階ではまだぼんやりとしていて、明確なビジョンには入っていないです。今の自分では通用しないことがわかっているので、ぼんやりしているんだと思います」
――充実したツアーが国内にあるなかで、それでも海外へと気持ちが駆られるのはレベルの高さへのチャレンジ精神が働くのでしょうか。
「レベルも違うし、世界中を移動するなかであらゆるコースを経験しますよね。そこで戦うためには、日本では必要ないスキルも必要になってくる。充実したゴルフを続けることで、さらにゴルフが上達し、また充実したゴルフができる。とにかくゴルファーである自分をぶつけたくなるツアーじゃないかなと思います」
(おわり)
吉田優利(よしだ・ゆうり)
2000年4月17日生まれ。千葉県出身。2019年、プロテストに合格。2020-2021シーズンにツアー本格参戦を果たし、いきなり2勝をマーク。賞金ランキングも22位とルーキーシーズンに堂々たる結果を残す。「黄金世代」に続いて、女子ツアーで話題を振りまく「ミレニアム世代」のひとり。身長158㎝。血液型O。