滋賀に2連勝、B1連勝記録を「19」に更新 琉球ゴールデンキングスの勢いが止まらない。3月5日、6日に行われたバスケット…

滋賀に2連勝、B1連勝記録を「19」に更新

 琉球ゴールデンキングスの勢いが止まらない。3月5日、6日に行われたバスケットボールB1リーグ第22節の滋賀レイクスターズとの第1戦に98-84、第2戦にも82-73と勝利し、連勝記録を「19」に伸ばしている。これでシーホース三河が2017-18シーズンに記録した17連勝を凌ぐ、B1史上最長記録となり、昨年11月14日の群馬クレインサンダーズ戦を皮切りに、計11クラブから勝利を積み上げてきた。

 もっとも6日の滋賀戦は、相手がオヴィ・ソコの負傷、ノヴァー・ガドソンのファウルトラブルによってインサイドが手薄となりながら、攻めあぐねていた。最終的に82-73と勝利したものの、第3クォーターの途中までは完全に五分の展開だった。

 試合後の記者会見に登場した琉球の桶谷大ヘッドコーチ(HC)の言葉にも、反省の含みが多かった。

「自分たちはフォースショット(強引なシュート)を打ったり、ペイントのフォース(無理なプレー)をしてしまったりしていた。今日はみんなのしたいことを“これ”とまとめ切れていないところがあった。それぞれのスペースを潰して、タイミングも違って、チームとしてケミストリーのあるバスケットをできなかったことが反省点です」

 琉球は5日から13日までの8日間に、アウェイ戦が5つ組まれている。それもあって今週末の琉球はタイムシェアを徹底。ただし6日の試合は、それが混乱にもつながっていた。指揮官はこう振り返る。

「今日の試合も、出た選手からしたら『俺のところにアドバンテージがあるからボールを寄越せ』となっていたんですよね。人を変えれば変えるほどぐちゃぐちゃになって、セイムページで(同じ判断を共有して)プレーできていないというのもありました」

 滋賀の日本人選手が想定以上の抵抗を見せたこともあり、琉球のインサイドは空回り気味の攻めを繰り返してしまっていた。ただし、そんな苦戦は琉球の収穫にもなっている。

 かりゆしウェアの指揮官はこう述べる。

「滋賀さんは特に日本人ビッグマンが、簡単に侵入させてくれなかった。あそこのファイトで、僕たちが無理にこじ開けようとしすぎた。しっかりボールを動かしながら、ギャップを作ってアドバンテージをしっかり作る点数の取り方をやらないといけない」

桶谷HCが語るB1リーグ制覇への課題

 さらに桶谷HCは「他のチームから3-2(のゾーンディフェンス)をあまりされてなかったし、されていても今日みたいにハードにやってくるチームがなかった。その中でこういう経験ができたことは良かった。実戦の中で『この組み合わせでこれを使えるよね』というのを引っ張り出せたところは、すごく勉強になりました」と続け、リーグ記録を更新する19連勝を達成したことについては、次のように振り返る。

「怪我があったり、シュートタッチが悪かったり、インサイドを攻められなかったり、今日みたいなゲームを何個もしてきました。逆に(昨年11月10日の)三河戦みたいにビッグマンがハミルトンとダーラムと満原の3人しかいない状況で勝てたゲームもあった。一概に『この試合がしんどかった』というのはないんですけど、それぞれきつかったと思います。ただビッグゲームが何度かあったのを乗り越えられたのが大きくて、宇都宮さんとのゲームを2つ取れたのも大きかったです」

 6日の滋賀戦でチーム最長の29分20秒プレーし、10得点を決めた今村佳太も、チームが達成した連勝記録についてこう述べている。

「正直、自分たちが連勝街道を進んでいる実感はありません。1戦1戦、自分たちのバスケットボールだけを意識して、その中で勝ちながら成長していきたいという目標を追った結果が素晴らしい結果を生んでいます。(19連勝は)意味のあることですけど、そこを重く受け止めていないことが今の結果につながっていると思います」

 選手が揃わない、狙い通りにいかないという展開を乗り越えつつ学ぶ“過程”が、結果と同様に大切だった。経験を通して得た学びこそが、初のB1制覇に向けた糧になる。

 桶谷HCは言う。

「相手のゲームプランがあって、オフェンスを用意するんですけど、それがハマる時とハマらない時があります。1試合が終わると相手チームはディフェンスの仕方を変えてきたりもします。だからゲームごとに、自分たちの道を探していかないといけない。僕はチームルールにプラスして状況判断のできるチームが、大一番で勝てると思っています。それこそ千葉さんなんかは、状況判断に長けていて、だからこそ一発勝負に強い。僕らもそこのレベルに行かないと、プレーオフで千葉に勝てません」

 昨季王者の千葉ジェッツは主力選手が3シーズン、4シーズンとプレーをともにしている。相手の出方を見て次の手を打つ、選手全員が狙いを共有するといったチーム全体の状況判断が備わっている。千葉に限らず、チャンピオン経験を持つ東地区の強豪は、そこにアドバンテージがある。

個人技に優れた琉球のオフェンス力はB1随一

 琉球も人材は豊富だ。特にクリエイトできる、個人技でズレを作れるタイプが多い。さらにジャック・クーリー、小寺ハミルトンゲイリーの両インサイドはパワフルで、しかもクレバー。オフェンスの切り札は、B1でも図抜けて強力だ。

 今村もそんな切り札の1人で、2月末のワールドカップ予選では日本代表として沖縄アリーナのコートにも立った。彼はこう口にする。

「去年のチームに引き続きディフェンスのインテンシティと堅さが長所ですけど、今シーズンはコー・フリッピンやアレン・ダーラムの加入で誰が出ても、活躍する選手が変わったとしても、同じようなバスケットボールを展開できます。チャンスをクリエイトする選手が本当に増えたことが、去年と違う結果を生んでいる一つの要因かなと思います」

 そして続く連戦に向けて、こう意気込みを語る。

「広島戦や島根戦に向けて何かを変える必要はないと思っていて。これまで築き上げたものが確実に自分たちの力にはなっています。ただ今日の試合の反省点もそうですけど、力でねじ伏せてしまおう、個人で打開しようとしすぎてしまうのが今のチームの少し悪いところとしてある。ボールをシェアして、どこからでもクリエイトできる、どこからでもスコアできるのが自分たちの本当の強さです。そこにフォーカスすることが大事だと思います」

 琉球は当然ながらチャンピオンの資格を備えているクラブの一つだ。東西のレベル差が消えた2021-22シーズンに、これだけの勝ち星を挙げているのだから“リーグ戦で強いチーム”でもある。しかし彼らは4シーズン連続で西地区を制しつつ、3年連続でセミファイナル敗退にとどまっていて、B1制覇をまだ一度も経験していない。

 今季の琉球にはさらに上を目指す勢い、気配がある。B1最強のベースを持つチームが、状況判断を身につけて「大一番で勝てるチーム」へと脱皮しつつある。彼らは19連勝の中でもプロセスを追求し、学び続けている。(大島 和人 / Kazuto Oshima)