今季信州に加入、4日の強豪・川崎戦では勝利の立役者に バスケットボールBリーグの信州ブレイブウォリアーズは、B1に昇格し…

今季信州に加入、4日の強豪・川崎戦では勝利の立役者に

 バスケットボールBリーグの信州ブレイブウォリアーズは、B1に昇格して2年目のクラブ。勝久マイケルヘッドコーチ(HC)の下で、B2から積み上げてきたチームだ。3月5日に川崎ブレイブサンダースとの連戦を終えた段階で、18勝19敗の戦績を残している。

 4日には昨季の天皇杯王者・川崎を84-77で下している。信州が千葉ジェッツ、宇都宮ブレックス、アルバルク東京、そして川崎といった東地区の上位を“食う”ことは、もはやそこまでの驚きではない。試合後の記者会見も、喜びでなく反省のニュアンスが強かった。

 勝久HCはこう述べていた。

「試合を通してラン(連続得点)のゲームでした。久しぶりの試合ということもあるのか、オフェンスでもディフェンスでも一個ミスをしてしまうと呆然としてしまい、セカンドチャンスを簡単にあげたり、ミスが続いていた」

 また東地区上位チームからの今季初勝利となったが、そのことについて問われた熊谷航も次のように答えている。

「ヒース選手がいないのは、川崎さんにとってはかなり影響が大きいこと。自信というよりは気を引き締めて、(ヒースが出場停止から戻ってくる)明日の対策をやりたい」

 4日の試合での信州は、第1クォーターに10点のリードを奪ったものの、そこから“追いつかれて突き放す”ような波を繰り返す展開だった。中断明けで試合間隔の空いた事情があったにせよ、確かにチーム戦術の遂行はかなり乱れた試合だった。

 とはいえ第4クォーターに逆転され、突き放されかかる悪い流れを断ち切った終盤の試合運びは、信州の成長の証でもあるだろう。

 近年の信州は良い意味で人材の出入りが少ない。長野県出身の三ツ井利也は在籍6シーズン目で、アンソニー・マクヘンリーが5シーズン目だ。そして勝久HC、ウェイン・マーシャル、栗原ルイス、大崎裕太は今季が4シーズン目。ポイントガード(PG)の西山達哉(3季目)も含めて、B2時代からのメンバーがB1でも引き続きチームに貢献している。

 一方で今季は熊谷、岡田侑大、前田怜緒ら新加入組がステップアップを見せている。熊谷は25歳で、173センチ・70キロのPGだ。大東文化大を経て加入したシーホース三河では一度掴んだレギュラーの座を失う悔しい経験もした。しかし信州では1試合平均26.5分の出場時間を得て9.2得点、4.4アシストを記録している。

 熊谷は言う。

「かなり試合に出させていただいて、大事な場面でも使われているので、本当に感謝しています。チームとしても(前田)怜緒だったり、オカ(岡田侑大)だったり、移籍してきた選手が新しいことを覚えながらやっています」

勝負どころで光った冷静さと守備面の貢献

 熊谷は4日の第4クォーター、残り6分11秒でコートに戻された。信州が65-68とビハインドを負っていた時間帯で、まさに“勝負どころ”だ。流れを掴みかけていた川崎は篠山竜青、藤井祐眞が熊谷に激しくプレッシャーをかけ、ビッグプレーを狙おうとしていた。しかし熊谷は1つターンオーバーがあったものの、総じて冷静にボールをさばき、展開を落ち着かせた。それが流れを引き戻し、84-77と勝利する遠因になった。

 熊谷は試合終盤のプレーをこう説明する。

「本当はもう少しファウルをもらいたかったんですけど、相手が上手くてなかなかそこをもらえませんでした。中へ切れ込んでビッグマンに合わせたり、そういうシンプルなことをしようと考えていました」

 一方、1試合を通して大きかったのが守備面での貢献だ。スタッツを見ると熊谷は1試合で6スチールを記録している。207センチを誇る川崎のニック・ファジーカスがドリブルを突き始める直前のカットなど、スカウティングを生かした読みの光る守備を披露。攻守ともに自信を感じるプレーを見せていた。

 熊谷は2月中旬に行われた、今年9月開催の第19回アジア競技大会(中国・杭州)に向けた若手中心の日本代表強化合宿にも招集されている。

「シュートの部分ですごい自信をつけました。トム(・ホーバス)さんからは『ピック&ロールで(相手守備が)アンダー(スクリーナーの背後)を回った瞬間は、いいシュートフォームをしているから絶対もっと入る』という言葉を頂いた。バイウィークの練習でもシュートが入っていたので、そこは自信になりました」

 4日の川崎戦で熊谷は3ポイントシュートを4本中2本成功させて、12点を記録している。バスケットLIVEのヒーローインタビューに呼ばれたのも彼だった。

 5日に行われた再戦に熊谷はコンディション不良で欠場し、チームも75-99と敗れて連勝を逃した。それでも間違いなく信州と熊谷の成長を強く感じた週末だった。(大島 和人 / Kazuto Oshima)