ビッグヒットを狙うだけの一発屋ではない。 好タックラーとの高評価を受け、5月6日におこなわれるアジア・ラグビーチャンピオンシップ第3戦、対香港(秩父宮ラグビー場)で先発する大学生CTBは、自身の考えをこう話した。「チームとしてのディフェン…

 ビッグヒットを狙うだけの一発屋ではない。
 好タックラーとの高評価を受け、5月6日におこなわれるアジア・ラグビーチャンピオンシップ第3戦、対香港(秩父宮ラグビー場)で先発する大学生CTBは、自身の考えをこう話した。
「チームとしてのディフェンスの中で精度高く守れる選手。そう言われたい」
 流れを変えるタックルが自分の武器。そう意識し、実際それでチャンスをつかんできたけれど、ミッドフィールドを任される上で大切なことを「コミュニケーション」と強く意識してプレーしている。

 今春東海大学の4年生となった鹿尾貫太(しかお・かんた)。日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、177センチ、88キロの21歳を「日本のいろんなカテゴリーの選手を見てきた中で、いちばんのタックラー」と評価し、期待をかける。
「特に防御面でチームにエナジーを与えてくれる存在だと期待しています。日本人のバックスの中で、いちばん固いディフェンスができる選手。東海大学でのプレーや、パシフィックチャレンジ(3月/ジュニア・ジャパンでサモア、フィジー、トンガのA代表と対戦)を通してそう評価しています。この(テストマッチ)レベルでも同じようにできるかどうか、それが彼にとってのチャレンジになると思いますが、できると思っています」
 今週末の香港戦では、ゲームキャプテンを務める立川理道をインサイドに起用し、鹿尾に13番を任す。左膝の怪我から復帰し、今季初登場となる経験豊富な男とフレッシュマン。このコンビが攻守でどう機能するか注目される。

 大里高校、福大、クラブチームでプレーをしていた父・正博さんの影響を受け、福岡の草ケ江ヤングラガーズでラグビーを始めた。妹・みなみさんもラグビー選手だ。
 東福岡高校でも防御で目立った。
「高校時代からタックルでアピールしていました。でも、大学に入ってからは外で振られるなど、相手の攻撃の幅に対応できないところもあったんです。でも、林大成さん(先輩/現キヤノン)に教わったりして、自信が持てるようになったのは大学3年の春ぐらいなんです」
 自身のタックルのコツを「ボールが浮いている間(パスを受けようと見ている間)に詰める」と話す。「必殺」の気持ちも強い。

 これまで戦ってきたステージよりワンランク上のインターナショナルマッチを戦うことに緊張感もあるが、楽しみも大きい。周囲に頼り甲斐のある選手が多いことが心強い。
「ジャパンの人たちはみんな一人ひとりスキルが高い。吸収したいことがたくさんあります。テストマッチは難しいレベルだとは思いますが、周りが対応してくれるでしょうから思い切ってやりたい」
 大舞台でも自分らしさを発揮するつもりだ。
 初めてのテストマッチには大学の同期、野口竜司もFBで出場する。
「嬉しいですね。僕のこともよく分かっているし、アタックでもディフェンスでも、いい指示を出してくれそう」
 タックルマンであり、チームマン。流れを変えるプレーも、勢いをさらに高めるプレーも見せたい。