今季開幕戦ダイキンオーキッドレディス第3日 女子ゴルフの国内ツアー開幕戦・ダイキンオーキッドレディスは5日、沖縄・琉球GC(6590ヤード、パー72)で第3日が行われた。2位で出た渡邉彩香(大東建託)は1イーグル、2バーディー、1ボギーの6…

今季開幕戦ダイキンオーキッドレディス第3日

 女子ゴルフの国内ツアー開幕戦・ダイキンオーキッドレディスは5日、沖縄・琉球GC(6590ヤード、パー72)で第3日が行われた。2位で出た渡邉彩香(大東建託)は1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り、通算10アンダーで黄アルム(韓国)と並んで首位に立った。17番パー4では第2打を直接カップインさせ、18番パー5ではバンカー内の第3打でパターでの左打ち。パーセーブという驚愕のプレーも見せた。

 最終18番パー5。渡邉が観客をどよめかせた。グリーン左のバンカー内で、左打ちのスタンスに入ったからだ。しかも、手にしたのはパターだった。

「キャディーさんから言われて、『じゃあ、それで打ちます』という感じでした」

“曲芸”をするに至ったのは、ボールがグリーン側の壁についていたからだ。右打ちにするにもスタンスが取りにくく、左打ちでもバックスイングが「20~30センチしか取れない」と説明。困惑するしかなかったが、キャディーが即座に「左打ちのパターで」と提案した。

 納得してピン型パターを持った渡邉は、左打ちで構えてヘッド裏側の下部に当てて5ヤードほど転がした。バンカー中央からの第4打をピン3メートルにつけ、パーパットは真ん中からカップイン。渡邉は右拳を上下させて、会心の笑顔を見せた。

「バンカー内の左打ちは初めてです。うまくできました。ロングホールでバーディーを狙っていましたが、『悔しい』と思わずにすぐに切り替えられました。明日に繋がる大きなパーセーブになりました。今日の一番いいプレーでした」

 オフにメンタルコーチから「自分を認めて」と言われ、全てに前向きなれているという。「後悔よりも、いいところを探していく」。その繰り返しが、ここでも生きた。

17番でもスーパーショット

 渡邉は17番でも、違う形のスーパープレーを見せていた。残り102ヤードからの第2打を直接入れてイーグル。黄をとらえた。

「フォローだったんで58度(ウェッジ)で95ヤードを打って、5ヤードぐらいを転がすイメージ。その通りに打てました。前半、黄さんが5連続バーディーを獲って『すごいな』と見ていましたが、自分のショットは悪くてそれどころではありませんでした。でも、後半になって球の位置や体重配分を微調整したら、いいショットが打てるようになりました」

 最終日は首位タイでスタート。渡邉は2020-21年統合シーズンの開幕戦となったアース・モンダミンカップで4年ぶり半の優勝を4打差逆転で飾っているが、心境は大きく違うという。

「あの時は調子が悪い中で自分に期待していませんでした。ただ、今回は優勝を意識する位置です。そこは大きく違っているのですが、ガツガツしない。勝ちたい気持ちの中でいかに冷静にやるかを考えたいと思います」

 夫で柔道家の小林悠輔さんは自身の試合で応援には来られないが、毎日、連絡は取り合っているという。敢えて優勝を意識させることは言わないという夫の優しさも力に、渡邉がツアー通算5勝目を狙う。(THE ANSWER編集部)