現地時間2月26日、サウジアラビアの首都リヤド郊外にあるキングアブドゥラジズ競馬場で、サウジカップ開催が行なわれた。 …
現地時間2月26日、サウジアラビアの首都リヤド郊外にあるキングアブドゥラジズ競馬場で、サウジカップ開催が行なわれた。
今年は日本から計12頭が、GIサウジカップ(キングアブドゥラジズ・ダート1800m)を筆頭に6つのレースに参戦。GIIIネオムターフC(同・芝2100m)をオーソリティ(牡5歳)が、GIII 1351ターフスプリント(同・芝1351m)をソングライン(牝4歳)が、GIIIレッドシーターフハンデキャップ(同・芝3000m)をステイフーリッシュ(牡7歳)が、そしてGIIIリヤドダートスプリント(同・ダート1200m)をダンシングプリンス(牡6歳)が制した。

ルメール騎乗で、日本馬はサウジカップ開催で4勝を挙げた
さらにGIIIサウジダービー(同・ダート1600m)ではセキフウ(牡3歳)が2着、コンシリエーレ(牡3歳)が3着と好走した。現地のみならず世界各国で「サウジアラビアで日本デー」と大きく報じられた。
メインのサウジCは、ブリーダーズカップ勝ち馬の看板を背負ったマルシュロレーヌ(牝6歳)が6着、日本のダートチャンピオンであるテーオーケインズ(牡5歳)が8着。こちらは着順こそ残念な結果に終わったが、マルシュロレーヌは60万USドル(約7000万円)、テーオーケインズが40万USドル(約4680万円)と、日本で重賞を勝つのと同等かそれ以上の賞金を手にしており、大きな成果を得たと言えよう。
キングアブドゥラジズ競馬場は、もともと砂漠で何もなかった場所に造成・建設されたもので、芝コースも一昨年から運用が始まった。当然、ヨーロッパ各地で見られるような自然の地形・土壌で生育された芝ではなく、土壌から整地されたもので、おおざっぱに言えば日本やアメリカ、香港、ドバイなどと同じ部類に分類される。
「それだけ日本の馬が、こういう芝では強いということですよね」
多くの馬が次はドバイへレッドシーターフHをステイフーリッシュで勝った直後、同馬を管理する矢作芳人調教師がそう振り返った。このタイプの馬場における日本調教馬の強さは、昨年にブリーダーズCフィリーアンドメアターフ(デルマー・芝2200m)をラヴズオンリーユーが制したことに代表されるように、もはや世界の常識になりつつある。言い換えれば、日本では2番手以下に甘んじているような馬でも、日本の外に出れば、こうしたタイプの芝であれば勝ち負けになるということだ。
また、日本の競馬のアドバンテージは、ヨーロッパのようなシーズンオフがないこと。個々の差はあれども、季節を問わずに仕上げることができる環境が整っている。
日本では一線級の壁が厚い、あるいは芝1400mやダート短距離のレースなどに出走していて中央競馬のGIに出ていない馬にとっては、GIIIという格付けに拘らなければ、賞金はレッドシーターフHが1着150万USドル(約1億7300万円)、その他のGIIIも90万USドル(約1億400万円)と破格。ましてや、輸送費や出馬登録料などが主催者負担で金銭的リスクは皆無なのだから、狙わない理由はない。それが見事に結果につながった形だ。
今回勝利したうち、オーソリティとステイフーリッシュはドバイへと転戦し、前者はGIドバイシーマクラシック(メイダン・芝2410m)、後者はGIIドバイゴールドカップ(メイダン・芝3200m)を目指すことになる。ほかにもセキフウ、エントシャイデン、ラウダシオン、コパノキッキングらもドバイへと向かう。今回勝った2頭はもちろんのこと、他の馬も日本以外からの注目度は上がるはずだ。
また、勝利した4頭にすべて跨ったクリストフ・ルメール騎手にも触れねばならないだろう。4勝のうち3勝が逃げきり勝ち。ネオムターフCとレッドシーターフHの逃げきり勝ちは、あえてヨーロッパ型の流れにつき合わず、日本調教馬の持つスピードとその持続力を活かしてライバルを完全に手玉にとった。世界の競馬と、日本調教馬の特性を熟知しているからこその騎乗だったといえる。今年は中央競馬では重賞は未勝利だが、これを機に日本でも大暴れが期待できそうだ。

今後はルメールだけでなく、日本の馬も世界各国からの注目度が上がりそうだ
メインのサウジCはエンブレムロード(牡4歳)が、アメリカのカントリーグラマー(牡5歳)やミッドナイトバーボン(牡4歳)らを抑え、開催3回目で地元調教馬による勝利を果たした。4着にも地元調教のメイキングミラクルズ(牡7歳)が入り、場内は大熱狂のうちに幕を閉じた。
ただ、サウジCの直前まで、この日の主役は日本馬たちであったのは間違いない。ふだんは国外の競馬にそれほど詳しくない、「実は日本と中国の区別もついていない」という地元のカメラマンも「日本の馬はすごい」と目を白黒とさせていたのが印象的だった。
もちろん、これだけの活躍をしたことで、興行面としても日本調教馬の招待には積極的になるはず。ただ、欧米勢も黙って見ているだけではないだろう。この高額GIIIを抱えるサウジC開催が日本調教馬にとっての"ボーナスステージ"になるか、その真価は来年以降に問われる。