ロコ・ソラーレ鈴木夕湖インタビュー(後編)カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが平昌五輪銅メダルに続いて、北京五輪でも銀メダルを獲得した。その快挙を記念して、かつてのインタビュー(取材は2020年7月。掲載は2021年1月~2月)を改めて…

ロコ・ソラーレ
鈴木夕湖インタビュー(後編)



カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが平昌五輪銅メダルに続いて、北京五輪でも銀メダルを獲得した。その快挙を記念して、かつてのインタビュー(取材は2020年7月。掲載は2021年1月~2月)を改めて紹介。ここでは鈴木夕湖が自らのカーリング人生を語っている――。

――今季(2020-2021シーズン)は、ロコ・ソラーレが結成して10年。アニバーサリーのシーズンとなりました。おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――10年という節目のシーズンを迎えて、自身の変化や成長などについてはどう見ていますか。

「18歳でチームに入った頃は本当にクソガキで、自分では何も考えられなくて、(本橋)麻里ちゃんが言ったことをこなしていただけでしたけれど、今はさすがに『自分にはこれが足りないんだな』とか、『ここを伸ばさなければいけないな』とか、考えられるようになったと思います。みんなに比べると、まだまだですけれど」

――鈴木選手と吉田夕梨花選手は、チーム結成当初からのオリジナルメンバー。改めて、吉田夕選手の"すごさ"について教えてください。

「いちばん『すげぇな』と思うのは、単純にうまいところ。投げがうまい。そのために地道な練習をずっと続けられる力もすごいですね。夕梨花を見ていると『継続は力なり』という言葉の意味を痛感させられます」

――世界的にもトップクラスのリードになりましたね。

「私は本当に(世界で)いちばんうまいリードだと思っています。リードって目立つポジションではないですし、わりと簡単って思われがちなんです。でも逆に、ミスが出たらすごく目立ってしまうような、損をする役回りだったりもします。

 そういったポジションにあって、夕梨花はしっかりとモチベーションとポジションへの誇りを持っている。完璧なリードを自分自身に求めて、やり切る。リードというポジションへの見方を変えてくれた選手でもあります」

――その吉田夕選手をはじめ、オリジナルメンバーで言えば、馬渕恵さんや江田茜さんも個性的なキャラクターでしたね。

「確かにそうですね。クセが強い(笑)」

――本橋選手もそうですが、馬渕さんも結婚されて、10年でみなさんの人生にも変化が見られました。鈴木選手は、そうした自らの人生設計というものをいろいろと考えていますか。

「ない! まったくないんです」

――結婚願望とかもないのでしょうか。

「願望がないわけではないんですけどね......。(出会いの)機会がないんです。何年か前、26歳くらいの時だったかな。『あれ?(このままだと)ヤバいのかな』って思った時期はあったんですけれど、どこかのタイミングで『これ私、完全に乗り遅れたんだ』と悟って、いいのか悪いのかわからないですけれど、(結婚に対する)"焦り"みたいなものはなくなりました。決して諦めている感じでもないけれど、強く憧れてもいない。そんな感じですかね」

――好みの男性のタイプとかはありますか。

「面白くて、話が合う人だったら、どんな方でも幸せになれそうな気がするんですけれど......。でも私と話が合う人は、変わっている人かもしれません」

――確かに鈴木選手は独特の雰囲気があって、数々の"天然"的な逸話を残していますよね。

「あんまり自分では天然とは思わないけれど、他人から見たら『おかしいんだろうな』とは思います。みんなが恥ずかしいと思うところで、自分は恥ずかしいって思わなかったりして、ちょっと変わっているのかな?」

――あまり感情的になったりしませんし、表裏のない素直な方、という印象があります。

「あっ、裏表はないですね。表だけでやっております(笑)」

――プライベートで仲のいい小野寺佳歩選手(北海道銀行フォルティウス)や石垣真央選手(富士急)らも独身ですが、彼女たちが結婚されたら、再び"焦り"の感情が芽生えたりしますかね。

「それは、超あるかもしれない。佳歩と真央だけでなく、高校の時から仲のいい友だちはみんな、まだ独身なんですよね。それぞれが結婚し出したら、ちょっと焦るかも。でも、たぶんないから大丈夫(笑)。とりあえず、今は全力でカーリングのことだけを考えています。相手もいないですし」

――吉田夕選手にも話を聞くので、鈴木選手にはどんなタイプの男性が合うのか、うかがっておきます。

「あっ、それはすごくいい。夕梨花は私のことを私よりもわかっているので、ぜひ相談しておいてください」

――逆に、吉田夕選手にはどんなタイプの男性が合うのでしょうか。

「"社長"です」

――社長? ですか。

「大森(達也)トレーナーともよく話をしているんですけれど、夕梨花って、何事においてもすごく能力が高いんですよ。私みたいに主張が強くなくて、控え目ですけど、仕事を完璧にこなす。そういう人なので、社長の奥様として、うまく生きていける――そんな姿が目に浮かぶんです。ぜひ、どこかの社長を見つけて、玉の輿に乗ってほしいです」

――最後になりますが、2月7日から稚内で日本選手権が開幕します。チームとしての見どころを教えてください。

「今年から(石崎)琴美ちゃんが入ったので、そこはうれしいというか、ワクワクしています。いつも試合前に、(小野寺)亮二コーチと琴美ちゃんからひと言、チームの状態などについて客観的な意見をもらうんですけれど、それがいつも『なるほどな』という内容なので、(私たちは)すごく納得しつつ、助かっています。もし運よく、テレビ中継の音声がその声を拾っていたら、ぜひ聞いてみてください」

――鈴木選手ご自身の抱負も聞かせてください。

「今季は大会がなくて、ファンの方からも『ゲームを見たい』という声をいただいているので、テレビで見てくれた方が『ああ、やっぱりカーリングって面白いな』と思ってくれるような試合をしたいです。自分たちのベストなショットをして、相手チームもそれを上回るショットを返して......。特に最近の日本選手権はレベルが高いので、お互いがいい状態で、ベストな試合がたくさんできると思っています」

(おわり)



鈴木夕湖(すずき・ゆうみ)
1991年12月2日北海道北見市生まれ。小学校2年生時にカーリングをはじめ、2010年のロコ・ソラーレ結成時からオリジナルメンバーとしてプレーする。145㎝という身長ながら、世界トップレベルのスイープ力を発揮。相棒の吉田夕梨花とともに

「クレイジースイーパーズ」と呼ばれ、2016年世界選手権の銀メダル、2018年平昌五輪の銅メダル獲得などに大きく貢献した。最近、ハマっているものは漫画。好きな作品は『キングダム』『ゴールデンカムイ』『アカギ』。