まだ2試合を終えたばかりだが、首位に立つというのは気分が良いものだろう。2連勝の柏レイソルが、久々のトップに立っている…
まだ2試合を終えたばかりだが、首位に立つというのは気分が良いものだろう。2連勝の柏レイソルが、久々のトップに立っている。昨季に続いて今季も苦戦を予想する声が多かったが、鮮やかに意趣返しした格好だ。カップ戦も含めて「今季無敗」を継続する柏の好調の要因を、昨季2位の横浜F・マリノスを撃破した試合を通じて、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■横浜FMのミスを誘発したアグレッシブな姿勢
2人の退場者を出し、GKとDFのミスで2点を献上した横浜F・マリノス。ミッドウィークに川崎フロンターレと戦い、次の水曜日にもヴィッセル神戸戦を控える中での格下との対戦。いわゆる「谷間の日程」である。そのうえ、試合開始から5分で先制。これで、明らかに気が緩んだようで攻守ともにプレー強度が落ちたのである。
先制した後も手を休めずに2点目さえ奪っていれば、楽に勝てた試合だったはずだが、ある意味で「よくある負けパターン」ではある。
しかし、結果的には今後にも悪影響を及ぼしかねない拙い試合運びとなってしまった。少なくとも、3月2日の神戸戦では2人のDFが出場停止となり、さらに前半終了間際に交代したマルコス・ジュニオールの状態も心配だ。
この試合が横浜FMの“自滅”だったのは明らかだった。
ただ、横浜FMがいくつものミスを起こしたのは柏レイソルの前に向かうアグレッシブな姿勢のおかげだった。
序盤戦で不幸な出来事が続き、早々に失点してしまった柏だったが、そこで気持ちが折れることはなかった。たしかに守備の時間は長かったが、腰が引けた守備ではなく、横浜FMが入れてくるくさびのパスを受ける相手FWに対してCBの3人がチャレンジを続けるアグレッシブな守備ができていたし、ボールを奪ったら早く前線にボールを運ぼうという意思も感じられた(もちろん、パスミスも多かったが)。また、前線では相手のDFやGKに対して積極的にプレッシャーもかけにいった。
そんな前を向くモメンタムがあったからこそ、相手のGKやDFのミスを誘発して、それがゴールにつながったのだ。また、相手にプレッシャーをかけ続けからこそ結果として警告のカードを引き出したのだ。
■「外国人選手頼み」の後遺症から脱却
実は、昨シーズンの柏にはそういう積極性が欠けていた。
2019年にはJ2で戦っていた柏。このシーズンはケニア代表のマイケル・オルンガの並外れた得点力を生かして優勝して1シーズンでJ1復帰を果たした。だが、昨シーズンはオルンガがアルドゥハイル(カタール)に引き抜かれて、結局その穴を埋めきれなかった。
攻撃面ではオルンガ頼みであり、クリスティアーノ頼みだった柏。その後遺症が大きかった。ボールを奪ったら、とりあえずオルンガなりクリスティアーノに預けておけばいい……。オルンガが不在となっても、クリスティアーノのパフォーマンスが落ちても、そういった意識がなかなか抜けなかったのだ。
さらに、シーズン中に戦術変更が繰り返されたこともあって、昨シーズンの柏は与えられた戦術をこなすのに汲々としていた印象だったし、シーズン途中で江坂任が浦和レッズに引き抜かれてしまった影響も大きかった。そして、態勢を立て直すことができないまま1シーズンが終了してしまった。
かつては試合中の積極的な戦術変更でゲームの流れを変えることができたネルシーニョ監督もどこか存在感を失っていた。
ところが、まるで「戦力ダウン」が囁かれ、順位予想でも下位に位置づけられたことに対する反発であるかのように、今シーズンの柏はチーム全体が積極的なのだ。
■湘南戦との奇妙な一致
柏はJ1リーグ開幕戦では湘南ベルマーレと対戦して2対0で勝利しているが、この試合でも対戦相手の湘南は前半34分にDFの大岩一貴が退場となっていた。それまで劣勢だった柏は、相手の人数が少なくなったことによって後半2ゴールを奪って勝利した。
湘南の大岩にレッドカードが提示されたのは前半34分。そして、横浜FMの畠中が退場となったのは前半35分。つまり、柏は2試合(180分間)戦ったうち、じつに110分以上にわたって数的優位に立って試合を進めているのである。
もちろん、これは偶然の一致ではあるし、柏にとっては幸運だった。だが、いずれにしても「ボールを奪ったらすぐに前に向かって仕掛ける」というチームのコンセプトが相手のDFに脅威を与えて、それが相手の退場という結果に結びついたのだ。
今後、柏と対戦するチームはカードには十分に注意しなければいけない。
2月11日の「ちばぎんカップ」でジェフ市原を破った柏はリーグ戦で2連勝。さらに、YBCルヴァンカップでは第1節で京都サンガF.C.と引き分けており、今シーズンは4試合を戦って依然として無敗。そして、リーグ戦では2戦2勝で首位に立つことにも成功した。勝利は選手たちに自信を与え、活力をもたらす。これからしばらくは、柏の試合にも注目していきたい。
そして、もう一つ注目したいのが、超ベテラン監督のネルシーニョだ。
先ほども書いたように、昨シーズンのネルシーニョ監督はどこか精彩を欠いた印象だった。だが、今年は表情にも精悍さが戻り、生き生きとしていた印象を受ける。