三ヶ島かなインタビュー(後編)前編はこちら>>2020-2021シーズン最終戦、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでツアー初優勝を飾った三ヶ島かな。悲願達成までの道のりを振り返ってもらいつつ、まもなく始まる2022シーズンへの意…

三ヶ島かなインタビュー(後編)

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2020-2021シーズン最終戦、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでツアー初優勝を飾った三ヶ島かな。悲願達成までの道のりを振り返ってもらいつつ、まもなく始まる2022シーズンへの意気込みも語ってもらった――。



――ツアー初優勝までの道のりは長かったと思うのですが、これまでのツアー生活を少し遡(さかのぼ)って話を聞かせてください。まずは、2019年の富士通レディース。後続に1打差をつけて単独首位で迎えた最終日、最終的には当時アマチュアだった古江彩佳選手に逆転負けを喫しました。あの敗戦のショックは大きかったのではないでしょうか。

「キツかったです。あの試合はアマチュアの古江さんに対して、プロとして唯一の壁になっていたのが私だったわけじゃないですか。

 でも、結果的に自分がその壁になれなかったことがすごく悔しくて、試合後もいろんなことを無茶苦茶考えてしまいました。アマチュア選手に負けて調子を崩した選手とかも見てきましたし、(多くのゴルフファンが)試合を見て三ヶ島かなという存在を覚えてもらうのはうれしいんですけど、"アマチュアに負けたプロ"という形で覚えてもらうのはどうなんだろう、とか......」

――18歳のアマチュア選手が最終日に5つスコアを伸ばして優勝。間近でそのプレー見ていて、どんな思いだったのでしょうか。

「シンプルに『上手だな』って思いました。強いというより上手。ゴルフを知っているな、と思いましたね。

 私もベストを尽くしているんですけど、気持ちのほうが空回りして手がうまく動いてくれなかった。それでも、手が動かないなかで、攻めるところは攻めきれたし、ノーボギーで上がれたことは、自分のなかでは『すごい収穫だったな』と思いました。だから、悪くはないんだけど、"何か"が足りないと思って、結構悩みましたね」

――そうしたなかで、メンタル面の強化などを考えたりしましたか。

「その時は特に......。ただ一度、2020年の夏に気持ちがすごく落ち込んで、何をしていいかわからなくなって......。

 それでもその際は、人からいただいた宮里藍さんの著書を読んだら、ゴルフの深いところまで掘ってみようかなという気持ちになってきて。そこからまた、ゴルフが少しずつ楽しくなってきたというか、『やってみよう』という気持ちになりましたね」

――宮里藍さんという存在は、三ヶ島選手にとっても大きな存在ですか。

「はい、憧れの存在です。初めてお会いした時にも、いろいろとアドバイスをしていただきました。それは、何年か前のサントリーレディスの練習ラウンドの時だったのですが、(主催者側が)藍さんへの質問会といった場を設けてくれたので。その際、若手女子プロ10人くらい選ばれて、そこに私も入れてもらえたんです。

 最初はみんな、緊張して何も話せなかったんですけど、私は思いきって『勝てる条件』みたいなことをうかがったんです。そうしたら、藍さんの経験談からさまざまなお話をしてくださいました。今でもよく覚えているのは、(勝つためには)自分を知ること、自分に自信を持つこと、といった話です」

――ところで、2020-2021シーズンは青木翔コーチとスイング改造にも取り組んだと聞いています。

「おおかまに言うと、体を痛めるようなスイングの悪い癖をなくす、ということをやってきました」

――持ち球をドローからフェードに変えていました。

「悪い動きを治した結果ですね。数年前に手首を痛めたのですが、それは手首をこねてドローを打っていたことが原因でした。それで、手首ではなく、体で打てるようにスイングを変えていった結果、(持ち球が)ドローからフェードになりました」

――2022シーズンに向けて、このオフはどういった点を強化しようと思っていますか。

「通常オフは、足りないものを潰して、欠点をなくしていく、という作業をしてきたのですが、リコーカップを勝ってシーズンが終わってしまって、このオフはそれを見つけるのが難しくて......。ですから、いろいろと探りながら、新しいことを取り入れながら、という感じやっています」

――これまでもこなしてきたフィジカル面の強化も続けているのでしょうか。

「はい。以前から行っている『森永製菓inトレーニングラボ 』で取り組んでいます。オフになるとプロ野球選手とかとも一緒になるので、すごく刺激を受けています。トレーニングは年々できることが増えてきているので、その効果は大きいと思っています」

――以前、下半身を強化して"地面反力"のスイングにつなげるトレーニングをやっているとうかがったことがあります。

「もちろん、それは継続してやっています。今はそれにプラスアルファーというか、他に足りないところも見えてきたので、今季はそういうところも課題としてやっていこうと思っています」

――例年、横浜DeNAベイスターズの山崎康晃投手らとのトレーニングにも参加していました。

「今年も参加させていただきました。会うたびに多くの刺激を受けますし、尊敬する存在です」

――少しプライベートな話も聞かせてください。最近、女子プロゴルファーは"プチ結婚ブーム"ですが、三ヶ島選手はいかがですか。

「いい人がいたら、したいです(笑)」

――休みの日はどんなふうに過ごしていますか。

「寝ています(笑)。あと、ゲームをしたり、ドラマを見たりしていますね」

――最近ハマっていたドラマはありますか。

「今はこれといってないですね。少し前、(韓国のテレビドラマ)『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』は6回くらい見ました」

――さて、まもなくシーズンが開幕します。今季の目標を聞かせてください。

「目標は、複数回優勝です。やるからには一億円プレーヤーじゃないですけど、"稼げるプロゴルファー"になりたいです。その意味でも、今年は複数回の優勝が目標になります」

――ついにツアー初優勝を遂げて、足りなかった"何か"をつかんで、今年は"勝てる"手応えを得ているのではないでしょうか。

「どうでしょうか。周りもレベルアップしてくると思いますし、新しい選手もどんどん出てくるでしょうし、そこはやってみないとわかりません」

――「中堅」というと失礼かもしれませんが、ツアーを席巻している今の若手選手たちをどうご覧になっていますか。

「いえ、私はもう中堅ですよ(笑)。私が21、22歳の頃、25歳の選手たちは中堅に見えましたから。

 若い選手たちについては、勢いってすばらしいな、元気っていいなって思っています。私も21、22歳の頃は体に痛いところなんてなかったですからね。それが25歳にもなると、痛い箇所が増えてきて(苦笑)」

――メジャー大会の優勝で複数年シードを獲得しました。海外挑戦も視野に入ってきているのではないですか。

「わかりません。変に口にすると『海外挑戦!』とか書かれてしまうので(笑)。海外に関しては、私は全英女子オープンとか全米女子オープンなどのメジャーを中心にスポットで出られたらいいな、と思っています」

――ありがとうございます。今季の活躍を期待しています。

(おわり)

三ヶ島かな(みかしま・かな)
1996年7月13日生まれ。福岡県出身。2016年シーズンにTPD単年登録者としてプロデビュー。2017年シーズンに賞金ランク41位となってシード権を獲得すると、以降はシード常連選手として活躍。2018年にプロテスト合格。2020-2021シーズンのJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップで悲願のツアー初優勝を飾った。身長164cm。血液型AB。

撮影協力:PALM SPRINGS