中日二軍監督片岡篤史インタビュー 後編(中編:石川昂弥らは「全国区のスター選手になってもらいたい」>>) 登録者数が28…

中日二軍監督
片岡篤史インタビュー 後編

(中編:石川昂弥らは「全国区のスター選手になってもらいたい」>>)

 登録者数が28万人を超え、プロ野球OBのYouTuberのなかでも大きな存在感を放つ片岡篤史。中日の二軍監督に就任後も精力的に情報を発信し、初の"二軍監督兼YouTuber"として歩み続けている。

 今後はどんなコンテンツを視聴者に届けていくのか。なぜ二軍監督を務めながらYouTubeを続けることを決断したのか。その胸の内を聞いた。



中日の二軍監督をやりながらYouTubeでの活動も続ける片岡監督

***

――楽天の田中将大投手はシーズン中に自身のYouTubeチャンネルを更新し、日本ハムの新庄剛志監督は戦略的にメディアに露出。情報発信の形が大きな転換期を迎えており、片岡さんにはYouTubeでの発信にも期待するファンが多いと思います。どんなコンテンツを考えていますか?

片岡篤史(以下:片岡) 二軍監督でありながらYouTubeをするというのは前例がないので、わからないことだらけ。球団が「あかん」と言えばやめなきゃいけませんでしたし。でも、YouTubeを始めてからまだ2、3年ですけど、自分のYouTubeに対する見方もかなり変わってきました。

 それが、各球団がYouTubeをやり出している理由でもあると思うんです。僕は、「二軍ってこんなことすんねんで」とか「今、こんな選手が頑張ってんで」とか、二軍監督でしかできないことを考えながらやっていきたいですね。

 たとえば、オープン戦で活躍した選手がいたら、「キャンプからこういうことをしていて、結果が出ました。これからも続けていってほしい」というような内容も考えていますし、ピッチャーが打たれた時は、「このあたりを修正していけばよくなっていくだろう」とか、そういう話をしたいです。選手が二軍の時代からみなさんにわかっていただくと、一軍で活躍した時の喜びも大きくなると思うんです。あくまで現段階での構想ですが。

清原、桑田ら先輩たちから得た財産

――ファンにはそれぞれ"推しの選手"がいたりしますが、二軍で努力をしていた頃から選手を追うことで愛着や親心が芽生えたり、選手のストーリー性を感じられるものだと思います。

片岡 そうなんです。YouTubeで二軍の情報を発信することで、ナゴヤ球場(二軍の本拠地の球場)に見に来ていただけることもあるじゃないですか。ファンの方に「この選手を見たい」と思って足を運んでいただいて、そこからその選手が力をつけて一軍で頑張ってくれるのがベストですよね。

 選手にはそれぞれファン、身内もいますし、お世話になった人もいると思うので、そういう人たちに対して「選手はこうやって頑張ってます」と伝えたい。選手全員を取り上げることはできないかもしれませんけどね。さらに、「用具係の人はここまでやってくれているんですよ」といったように、裏方さんにスポットを当てるのも面白いですね。

 ただ、それでチームが弱かったら批判もあるだろうし、「YouTubeしている場合じゃないだろ。選手たちに練習させろ」という意見も出てくると思います。それはもちろん受け止めますよ。ここまでYouTubeを続けてきたなかでも、やはりコメントの1割か2割は批判がある。昔はカチンとすることもありましたけど、批判する方も結局は見てくれているということなので(笑)。そうやって気持ちを切り替えることで、批判も受け止められるようになりました。

――そもそも、なぜ二軍監督を務めながらYouTubeを続けていこうと思われたのですか?大変だと思いますし、何年かあとに再開するといった選択肢もあったかと思います。

片岡 もっと振り返れば、そもそも僕なんかはYouTubeをするようなタイプじゃないですよね(笑)。ただ、僕がYouTubeを始めたことによって、僕に対する見方が変わったという方も多いと思うんです。ましてや、阪神のコーチを辞めてボロカスに言われていた僕が、YouTubeをすることに対して「こいつ、どんなことしようとしてんねん」と思っていたでしょう(笑)。

 でも、清原(和博)さんや桑田(真澄)さんら大先輩の出演に限らず、いろいろな方にYouTubeを通してお話を聞く機会をいただき、経験談を聞かせてもらったことが貴重な財産になりました。誰かが台本を用意するのではなく、ゲストの方をしっかりリスペクトして、真面目な話をするなかで面白い話を聞けたり、逆にうまく話をまわせなかった時は反省したり。初めて聞くお話はすべて新鮮でしたね。YouTubeを始めなければそういう経験はできませんでしたし、僕がどういう人間なのか、多くの方に知ってもらうこともできなかったと思います。

「再生回数が伸びれば何でも」は違う

――片岡さんのチャンネルは、アマチュアの野球を取り上げることが多いのも特色のひとつですね。

片岡 今までだったら、10本出したら10本とも再生回数を伸ばしたいという考えもありましたけど、僕の場合は高校野球が好きですし、コアなファンはそれが好きだったりする。人それぞれ思いが違うように、選手も10人いたら10人違うものがある。

 批判に対する考え方もそうですけど、YouTubeを通してそういったことを感じさせてもらえるようになったと思います。僕らが始めた時は、プロ野球OBのYouTuberなんて片手で数えるくらいだった。最初は「YouTubeは遊びでやってるようなもの」と思っていましたけど、実際にやってみたら、動画を定期的に投稿していくのは僕もスタッフも大変です。面白い話ほどカットしなきゃいけない、という難しさもありますし(笑)。

「再生回数が伸びれば何でもええ」という感じでやるのは違うと思ってますし、野球界の話していいところと、これ以上はあかんというところのラインは守ってきているつもりです。「そんななかでもなるべく面白く」とは思っていましたが、ユニフォームを着ることになれば、あまり面白おかしくも言えなくなるかもしれませんね......。

――そこを打破してほしいというファンもいるのでは?

片岡 そんなことばかり言ってると、選手たちに話を聞いてもらえなくなってしまいますよ(笑)。

――今後はスタジオで撮るのが難しくなりそうですが、ひとりで語る形がベースになる?

片岡 スタジオに足を運ぶ機会も当然少なくなりますし、それしか方法がないと思います。「今日はこういうことがあって......」とか、「選手はだいぶ疲れとる。でも、ここで頑張らなあかん」とか、そういうことが基本になる気がしますね。更新するペースも、今みたいに週4回をベースにするのは無理だと思うので、やれる範囲になります。

――高木豊さんがセカンドチャンネルで投稿している「一人飯」のようなこともする?

片岡 あれは面白いですよね。でも、僕もやったら「マネしてる」と思われるじゃないですか(笑)。ただ、ストーリーを立ててやるだけでなく、何のテーマもなしに「沖縄は今日いい天気やな」と散歩してみたり、なんの変哲もない動画がウケたり喜ばれたりする場合もありますからね。試行錯誤ですが、いろいろやっていきながら考えたいと思います。

(前編から読む:立浪監督は丸くなったが「キャプテンの厳しさ」は健在>>)