J1リーグの2022年シーズンがスタートした。初戦から興味深い戦いが繰り広げられたが、3連覇を狙う川崎フロンターレをか…

 J1リーグの2022年シーズンがスタートした。初戦から興味深い戦いが繰り広げられたが、3連覇を狙う川崎フロンターレをかなり苦しめたFC東京の戦いぶりも見ものだった。今季のJ1の行方に大きな影響を及ぼし得るFC東京を、サッカージャーナリスト・後藤健生が分析する。

■波乱の展開が続いた開幕節

 2月18日にJ1リーグが開幕。11月5日の最終節まで、長期の中断がない長丁場となる戦いが幕を開けた。

 開幕節は3連覇を狙う川崎フロンターレを追走すべき浦和レッズが昇格組の京都サンガF.C.に敗れ、昨年準優勝の横浜F・マリノスセレッソ大阪に追いつかれて引き分けるなど波乱の展開が続いた。

 開幕が例年より早かったことや、新型コロナウイルスの感染拡大で開幕前の準備が十分に行えなかったことの影響もあるのだろう。さらに、開幕直前に行われたPCR検査でも各チームに多くの陽性者が出て、出場できなくなった選手が多かったことも各監督を悩ませたはずだ。

 各チームとも、様々な意味でCOVID-19のパンデミックには苦しまされているようだ。

 もっとも、J1とJ2の開幕節全20試合で中止(延期)となったのは大分トリニータ水戸ホーリーホックの1試合だけですんだのは不幸中の幸いとも言える。たとえば、同じ週末に予定されていたラグビーのリーグワンでは、ディビジョン1の6試合中なんと4試合が中止となってしまったのだ。それに比べればJリーグは比較的影響が小さくてすんでいる。

 競技の特性上「密」を避けられないのでラグビーの方が感染症の影響を受けやすいという側面もあるが、やはり新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年春にいち早くJリーグが感染拡大防止のために積極的に動いたこと。そして、それ以来、感染対策を続けてきたことの蓄積があったからこそ、今、多くの観客を入れながら開催を続けていられるのだろう。

■王者を「あと一歩」まで追い詰める

 さて、そんな開幕戦の中で最も注目されたのは、J1リーグ3連覇を目指す川崎フロンターレに挑んだFC東京の善戦だった。

 FC東京は、毎日のように「新型コロナウイルス感染判明」を知らせるリリースが届いている(もっとも、感染者の人数は告知されるものの、「誰が感染したのか」は公表されていない。開幕戦のFC東京のラインナップを見るとDFの森重真人やMFの高萩洋次郎東慶悟といった主力選手の名前がなかった)。

 そんな不安の中の船出ではあったものの、FC東京は王者、川崎を「あと一歩」まで追い詰めた。

 もちろん、今の川崎も万全ではない。

 昨シーズンの途中に三笘薫田中碧が海外移籍。さらに、昨シーズン終了後にも旗手怜央セルティックに渡って大ブレーク。川崎は新しい選手を使いながら、チームの完成度を上げていかなければならないのである。実際、開幕直前に行われた富士フイルムスーパーカップではコンディション的にもまだ仕上がっていないようで、浦和レッズに完敗してしまっていた。

 しかし、スーパーカップから中5日で行われた開幕戦では川崎のコンディションはかなり上がっていたし、パスの回り方もかなり改善されてきていた。

■「テストの場」を有効活用した川崎

 スーパーカップでは新加入のチャナティップを左ウィングで先発させたが噛み合わなかった。そして、後半はマルシーニョを投入してチャナティップは左のインサイドハーフにポジションを移してプレーした。そして、FC東京戦ではスーパーカップの後半とまったく同じ布陣でスタートし、川崎はキックオフ直後から数多くのチャンスを作ることに成功した。

 つまり、鬼木達監督はスーパーカップという“テストの場”を有効に使ったということになる。

 前半の立ち上がりは完全に川崎のペース。3分にはボランチで起用された大島僚太と右ウィングのマルシーニョのパス交換でFKを獲得し、脇坂泰人のFKが壁に当たってCKとなる(4分)。さらに、6分にはチャナティップのスルーパスからマルシーニョがクロスを入れ、東京のエンリケ・トレヴィザンが辛くもCKに逃げる。11分にもDF車屋紳太郎からの長いパスを受けたマルシーニョが再び高速のクロス。

 川崎の攻撃が続いた。

 こうして、川崎がチャナティップとマルシーニョがいる左サイドからチャンスを作り続け、そして東京のDFエンリケ・トレヴィザンとGKヤクブ・スウォビィクが好守でしのぐという展開が続いた。

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