​ ​​ RISE伊藤隆代表といえば、元はキックボクシングの世界王者の実績を持つ男。現在はRISEという立ち技格闘技イベントを主催し、2014年からは那須川天心をプロデビューさせ、ここまで育ててきた。2022年には年頭からYouT…

 


 RISE伊藤隆代表といえば、元はキックボクシングの世界王者の実績を持つ男。現在はRISEという立ち技格闘技イベントを主催し、2014年からは那須川天心をプロデビューさせ、ここまで育ててきた。2022年には年頭からYouTuberで格闘家のシバターによる八百長騒動が噴出した。これをRISEの伊藤隆代表はどう受けとめたのか。

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――2022年は、年明けにシバター騒動がありました。大晦日の久保優太戦で、事前に八百長の申し合わせを打診したという。
「今から12年前位かな。(格闘技の人気が)低迷したじゃないですか。その時と同じ路線なんですよ、まだ。見られ方が。ファンもそうですよ。ファンも成熟してないし。『競技』としても確立していかなきゃいけないし。じゃないと選手の評価も上がらないですよ。もう実力より有名になったもん勝ちですよ」

――とくに大晦日は格闘技のお祭りだからこそ、強い選手のみが選ばれて然るべき、という声があります。
「単に強いだけじゃなくて、求心力のある選手ですよね。朝倉兄弟でもそうじゃないですか。天心もそうだし。それだったら誰もが納得するじゃないですか。そういう選手を集めて来なきゃとは思います。だから日本は遅れてますよ」

 

――遅れている?
「MMAも(1984年に設立された)修斗からはじまって、キックボクシングも(1966年にボクシングプロモーターの)野口修さんが名前をつけたように、日本が発祥なんですけど、今は全部、海外のほうが先を行っている。いつのまにか追い抜かれちゃったんですよ。これをよしとせず我々は真摯に受け止めていかないと、いずれはネタが切れます。ずっと話題のある選手を引っ張って来ることになる。それは業界にとってよくないし、下が育っていかないですよね」

 


 

――話題性のある選手を、という話で行くと、伊藤代表の認識では例えばボブ・サップは問題なしですか?
「ボブ・サップって最初は強かったじゃないですか。全然アリですよ」

――とくに2002年の日本初登場の頃は勢いがあって、大人気でした。
「曙にしてもその時は『競技』をやっていたじゃないですか、旧K-1でも。ルールを守ってやっていたじゃないですか。サップだって(K-1GPを4回制覇した)アーネスト・ホーストを倒したりしてたじゃないですか。(2002年8月、国立競技場での『Dynaimite!』で)アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラにパワーボムをして」

――あれはど迫力ファイトでした。国立競技場が揺れていた。
「彼は立派なアスリートですよ。途中からおかしくなっちゃいましたけど、それは甘い汁を吸わせるのが悪い。ポテンシャルはすごかったですよ。だって出てきた時はすごかったじゃないですか。こいつ化け物なんじゃないかと。」

――そう思います。
「だから、もったいないですよね。全然アリだと思いますよ。とくにヘビー級はね、あるんじゃないですか。だから『競技』に則っていればいいんですよ。その『競技』に合わせてみんなやっていたじゃないですか。K-1ならK-1、PRIDEならPRIDEっていうね。だから、そこに参戦してくる分にはしょうがないですよね」

――伊藤代表は、かつてはキックボクシングの元WMAF世界ウェルター級王者でありながら、今はプロモーター。何が一番大変ですか?
「選手上がりですけど、選手だけのことをやっていたらかたよっちゃうんですよ。人ってバランス。かたよったらダメなので。その塩梅が重要ですよね。僕も、ガチガチの格闘技は今の格闘技界の中では無理だと思うんですよ。本音言うと、KINGカズさんの息子(三浦孝太)さんにしてもシバター選手にしても求心力はすごいですよね。そこはプロとして必要な事。求心力と実力を兼ね備えた選手、それは天心、朝倉兄弟だったりしますけど、そういう選手をどんどんつくっていって輝やかしたいのはありますね。本物のスターをつくりたいですね」

 

[文:Show大谷泰顕]

 

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