河村勇輝インタビュー@後編 福岡第一高校時代にウィンターカップ2連覇を成し遂げ、高校3年時には特別指定制度を利用して三遠…

河村勇輝インタビュー@後編

 福岡第一高校時代にウィンターカップ2連覇を成し遂げ、高校3年時には特別指定制度を利用して三遠ネオフェニックスに加入し、B1史上最年少出場記録を更新。そして高校卒業後は東海大学に進学し、現在は横浜ビー・コルセアーズの一員としてBリーグでもプレーしている。

 今年2月には、ついに日本代表候補15名のなかにも選ばれた。その勢いは、とどまるところを知らない。しかしまだ、河村勇輝は20歳。日々どんなことを考えているのか、彼の素顔に迫ってみた。

「プレースタイルに変化。アシスト倍増、3Pが減った理由を聞いてみた」



アジア大会の日本代表候補にも招集された

---- 河村選手も20歳となり、大人の年齢となりました。コート外でのプロ意識やセルフプロデュース、メディアに対しての受け応え、SNSでの発信など、以前よりも意識は高まったりしていますか。

「メディアでの言動や発言は、かなり気をつけている部分があります。バスケットの露出が(野球やサッカーといった)ほかのスポーツに比べて少ないなか、ひとつの言動や発言がバスケット全体の印象になりかねない危険性もあると思っています。そういった意味では露出が少ないからこそ、ひとつひとつの言動や発言には気をつけたいなと思っています」

---- SNSの発信は以前よりも積極的になった印象があります。

「SNSでの発信を待ってくれているファンやブースターの方もいらっしゃるので、特にツイッターではつぶやいたりしています。ただ、最近はSNSに時間を割くことが減ってきたので、もうちょっとやっていかないといけないな、というふうには思っています」

---- 河村選手の発言を、ファンはもっとSNSでも待っていると思いますよ。

「そうなんですよね......そこはプロ意識、ダメっすよね。出したいっていう気持ちになかなかならず、(SNSを)開かないので。そういったところは、もうちょっとプロ意識を持ってやらねばと思います」

---- とはいえ、本業であるコート上でのプレーに集中したいのでしょうね。

「そうですね、やっぱりそっちの気持ちのほうが強いので。バスケットに割く時間や(バスケットボールの)動画を見ているほうが多いので、SNSはあまり見ないかもしれないですね」

---- NBAも見るんですよね。たしかトレイ・ヤング(アトランタ・ホークス/PG/23歳)が好きな選手だったはず。

「NBAも見ます。いろんなチームを見ますよ。自分の好きなプレーヤーがしているステップやシュートセレクションの動画を見ていると、本当にすごく勉強になります。自分には絶対にできないようなプレーを見て、すごいなぁと思ったり。

 トレイ・ヤング以外では、クリス・ポール選手(フェニックス・サンズ/PG/36歳)のプレーも好きです。ベテランのポイントガードですが、彼のプレーもよく見ています」

---- 大人になればなるほど、悩みが増えていくことも多いかと思います。たとえば、高校生の時には無邪気でいられたことが、20歳になると変わってきたということはありますか。

「うーん......いや、今はまだフレッシュですね。なんなら昨シーズンのほうが、プレーのことだったり、HC(ヘッドコーチ)の求めていることに対して『自分の特徴を消してやればいいのだろうか』とか、そういったバスケットの部分での悩みがすごくありました。

 大学でも勝てないことですごく悩みましたけど、20歳になっていろんな経験があったからこそ、今はフレッシュだと思います。ですが今後、年齢を重ねるにつれて悩みが増えてくるとも思うので、友だちや家族にしっかりと助けてもらいながらやっていきたいです」

---- 最近は英語学習にも力を入れていると聞きます。どういった目的で勉強しているのですか。

「Bリーグで帰化選手やアジア枠選手、またはハーフの日本人で英語のほうが話しやすいという選手も増えているなか、PGとしてコミュニケーションをコート内外で取って信頼関係を築きたいというのがすごくあって。

 コートの中でチームメイトにしてほしいこともあるし、逆に彼らから『こうしてほしい』と要求されることもあるので、英語力はすごく必要だと感じています。特に去年は外国籍選手とのコミュニケーションの大切さを痛感しました。勉強方法はオンラインの英会話で、ネイティブの講師の方と話しています」

---- そうした英語学習の成果は、すでにコート上で発揮できていますか。

「いや、全然ですけど、聞き取れるようにはなってきています。でも、まだまだ、これからですかね。勉強して半年くらいなので、もっと実践的な英語を学びながらやっていきたいと思っています」

---- 英語が上達すれば、外国籍選手からもイジってもらえますね。

「でも、なんかもう、イジられたりはしてるんですけど(笑)。自分のキャラか何かわからないですが、勝手にイジられることが多いです」

---- 先日、アジア大会の日本代表候補に招集されました。これまでU16、U18の代表には選ばれていますが、シニアの代表候補となったのは初めてです。どういった気持ちですか。

「これまでは世代別のカテゴリーでの代表しか経験してこなかったので、今回はA代表ではないですけど、若手中心の代表候補として合宿に選ばれたことはすごくうれしいです。ここはアピールの場だと思っているので、しっかりと合宿のなかで自分の力を発揮していきたいなと思っています」

---- 機会があるごとに、河村選手は「目標は日本代表に入ること」だと話していました。このタイミングでの選出は意外でしたか。あるいは「やっと」という思いなのでしょうか。

「経験を積みたいという気持ちがあったので、早ければ早いほど、という気持ちは常にありました。選ばれたことだけで満足していませんが、自分の夢ではあったので、やっとここでスタートラインに立てたという気持ちです」

---- 日本代表を率いるトム・ホーバスHCのスタイルは、PGに身長の高さをさほど求めていません。小兵PGの部類に入る河村選手としては、ホーバスHCのチームでのプレーをすでにイメージしているのでしょうか。

「そうですね、ホーバスHCのバスケットはPGにサイズを求めず、ゲームを作れるガードを起用するので、自分もやれるんじゃないかという気持ちになっていますし、チャンスはあると思っています」

---- 一方でホーバスHCは、全選手に3Pを打つことを求めます。河村選手はここのところ3Pシュートで苦しんでいますが、「もっと取り組まねば」という気持ちでしょうか。

「そこは日本代表に入るためだけでなく、Bリーグで戦っていくためにも絶対に必要不可欠なものだと思っているので、アテンプト(試投数)を増やしながら実戦で決めていくだけだと思っています」

---- 2023年にはワールドカップ、2024年にはパリ五輪が控えています。河村選手としては当然、そうした大きな世界大会でロスターに名を連ねていたいと。

「早い段階で代表に入れたらそれほどいいことはないのですが、まだまだ今の力では日本を背負うまでの力があるのかというと、ちょっと疑問が残る部分もあります。もっとBリーグで活躍して、合宿ではトムさんに認めてもらうことが一番大事だと思っています。でもやっぱり、パリ五輪あたりでは少しでも選考に絡めるよう、頑張っていきたいなと思っています」

---- 2019年のワールドカップでも、2020年の東京五輪でも、日本代表は1勝もできていません。河村選手としては代表に入るだけではなく、勝利に貢献したいという気持ちでしょうか。

「そうですね。日本代表に選ばれるだけではなく、世界に勝てる日本代表の一員になりたいです。代表に入ることが最終目標ではなく、入って活躍して、世界に勝つ。まずは1勝するのが目標でもあるので、世界でも通用するようなプレーをもっともっと、習得していかないといけないなと思っています」

【profile】
河村勇輝(かわむら・ゆうき)
2001年5月2日生まれ、山口県柳井市出身。福岡第一高校時代はウィンターカップ2連覇など4度の全国タイトルを獲得し、高校3年時に特別指定選手として三遠ネオフェニックスに加入。2020年1月には千葉ジェッツ戦でデビューを果たし、B1史上最年少(18歳8カ月23日、)出場記録を更新する。2020年4月、東海大学に進学。同年12月に横浜ビー・コルセアーズの特別指定選手としてプレーし、2021年12月に再び入団が発表された。ポジション=ポイントガード。身長172cm、体重68kg。