今年最初のGI、フェブラリーS(東京・ダート1600m)が2月20日に行なわれる。出走予定馬の半数以上がGI勝ち馬(芝…

 今年最初のGI、フェブラリーS(東京・ダート1600m)が2月20日に行なわれる。出走予定馬の半数以上がGI勝ち馬(芝、地方交流を含む)という豪華な顔ぶれとなった。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着2回、3着2回。ここ3年連続で勝利を飾っており、その信頼度はかなり高い。

 しかし一方で、人気薄の台頭も頻繁に見られ、3連単の配当は半分が10万円超え。1番人気が勝った昨年も10万円超え、一昨年も40万円超えの高額配当が飛び出している。

 はたして、今年はどうか。日刊スポーツの木南友輔記者はまず、上位人気になりそうな馬たちの名前を挙げてこんな見解を示す。

「今年のフェブラリーSはかなりの混戦模様ですが、1番人気となるのはカフェファラオ(牡5歳)でしょうか。前走のGIチャンピオンズC(12月5日/中京・ダート1800m)では11着に敗れていますが、東京・ダート1600mでは3戦3勝の実績がありますからね。

 それから、ソダシ(牝4歳)も人気はしそう。チャンピオンズCは12着と惨敗も、初ダートでGIというのはきつかったと思いますし、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)、GI桜花賞(阪神・芝1600m)、GII札幌記念(札幌・芝2000m)のパフォーマンスを考えれば、ポテンシャル的には好勝負になってもおかしくないですから。ただ、チャンピオンズCでは最後にやめている感じがあったので、今回はその精神面がどうか、心配されます。

 これらに続くのが、レッドルゼル(牡6歳)、ソリストサンダー(牡7歳)、アルクトス(牡7歳)、インティ(牡8歳)、そして前哨戦のGIII根岸S(1月30日/東京・ダート1400m)を勝ったテイエムサウスダン(牡5歳)、GII東海S(1月23日/中京・ダート1800m)を制したスワーヴアラミス(牡7歳)あたり。

 ですが、先の2頭も含めて人気順は読めません。こういう時は、トップジョッキーが騎乗する人気薄が気になるところです」

 そこで、木南記者はソダシとは別の、芝のGI勝ち馬に注目する。

「横山武史騎手とコンビを組むタイムフライヤー(牡7歳)です。2走前のオープン特別・霜月S(11月21日/東京・ダート1400m)が9着、前走の根岸Sが6着と近走は冴えませが、4歳時にはGIII武蔵野S(東京・ダート1600m)で2着と奮闘。昨年も根岸Sで3着に入るなど、もともと東京のダートコースを得意にしている馬です。

 昨年は出走を自重しましたが、一昨年のフェブラリーSでは5着。この時は結果的に差し競馬となり、シェーン・フォーリー騎手の積極的な騎乗が裏目に出た形となりましたが、力があることは十分に示したと思います」

 明け7歳のベテランだが、もうひと花咲かせることがあるのだろうか。

「叔父に先日旅立ったタイムパラドックスがいます。同馬は7歳時にフェブラリーSで4着と健闘し、同じ年に地方交流GIの帝王賞(大井・ダート2000m)とJBCクラシック(名古屋・ダート1900m)も勝っていて、その血筋から年齢面での不安はありません。

 タイムフライヤー自身は2歳GIのホープフルS(中山・芝2000m)を勝っていて、早熟な印象があるかもしれませんが、父はハーツクライ。奥手の血統ですから、まだまだやれるはずです」



ルメール騎手とのコンビでフェブラリーSでの一発を狙うテオレーマ

 木南記者はもう1頭、気になる馬がいるという。

「クリストフ・ルメール騎手が乗るテオレーマ(牝6歳)です。同馬は昨年の年明けに3勝クラスの豊前S(1月24日/小倉・ダート1700m)を勝ってオープン入りすると、秋には地方交流GIのJBCレディスクラシック(11月3日/金沢・ダート1500m)を制覇。前走でも地方交流GIIIのTCK女王盃(1月26日/大井・ダート1800m)を快勝しました。

 それでも、ここでは一気の相手強化。ルメール騎手が騎乗でも人気にはならなさそうで、狙い目です。

 東京ダートも、4歳時に2勝クラスの西湖特別(東京・ダート1600m)で勝利。後方待機策から直線だけで後続に4馬身差をつける圧勝劇を披露しました。

 もちろん、今回のメンバー相手に同じような競馬はできないでしょうが、操縦性が高く、器用さを兼ね備えたタイプ。ルメール騎手とは合いそうな気がします。

 また、父ジャスタウェイは芝の一流馬ですが、同馬の母は初代BCクラシック(アメリカ・ダート2000m)の覇者ワイルドアゲインと、アメリカ芝GI馬のシャロンとの間に生まれた良血で、もしかしたらダート適性を秘めていたかもしれません。実際、同馬の産駒にはすでに地方交流重賞で4勝を挙げているマスターフェンサーがおり、ダートで活躍する馬も送り出す種牡馬と見ています。

 人気馬たちは、いずれも近況や距離など、どこかに不安要素を抱えています。そうした状況にあって、テオレーマの一発に期待したいです」

 今年に入って、中央競馬の重賞は依然1番人気が未勝利。とりわけ、古馬重賞では波乱が多い。GIが始まってもその流れが続くなら、ここに名前が挙がった2頭の激走にかけてみるのも一興ではないだろうか。