疑惑は晴れるどころか、深まるばかりです。北京五輪のロシア・オリンピック委員会(ROC)フィギュアスケート女子代表のカミラ・ワリエラに関するドーピング問題が、混迷しています。スポーツ仲裁裁判所(CAS)の聞き取りに対して、ワリエ…

 疑惑は晴れるどころか、深まるばかりです。

北京五輪のロシア・オリンピック委員会(ROC)フィギュアスケート女子代表のカミラ・ワリエラに関するドーピング問題が、混迷しています。スポーツ仲裁裁判所(CAS)の聞き取りに対して、ワリエワの弁護士はこんな説明をしたのです。

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「祖父の心臓病の薬を誤って口にした。同じ食器を使ったことで体内に入ってしまった」

スポーツ紙の五輪担当デスクはこの説明について、苦笑して言います。

「荒唐無稽というか、ロシア人らしいデタラメですよね。このコロナ禍で家族といえども、五輪を控えた選手が他人と同じグラスを使いますか? そしてこの説明ならば、家族に確かめようとすれば、『その事実はあった』と口裏合わせも可能になる。家族を巻き込んだ、なかなか巧妙な『ウソ』とも言えます。さらに言えば、陽性反応を示したトリメタジシンは誤飲の可能性が極めて低い禁止物質とされていますからね」

結果的に「大甘裁定」によってワリエワは15日のフィギュアスケート女子ショートプログラムに出場が認められ、82・16点をマーク。見事に首位スタートを飾りました。これに対しては世界中のSNS上でも賛否両論が渦巻いています。そんな中、特筆すべき事は、アスリートの間では「NO!」の声が圧倒的に大きいことです。

いち早く声を挙げたのはバンクーバー五輪金メダリスト、ソチ五輪銀メダリストのキム・ヨナ氏です。インスタグラムに真っ黒の画像を投稿するとともに、英語でこう記したのです。

「ドーピング違反をした選手は試合に出場することはできません。この原則は例外なく、守られるべきです。あらゆる全ての選手の努力と夢は平等に尊いものです」

フィギュアという競技の魅力と地位を高めた第一人者による辛辣な投稿は、「15歳の悲劇」という情緒に流されがちな世論を大きく変える原動力となりました。


日本のアスリートも勇気を持って持論を表明しています。水泳の池江璃花子は自身のツイッターにこんな投稿をしました。

「ワリエワ選手は禁止薬物を接種していたとしても、演技力と表現力は、とても美しくて感動しました。(素人がすいません)でも、ドーピングはダメよ!」

前述のデスクは、ROCの体質にドーピングの温床があると指摘します。

「日本ではスポーツ界は清く正しいものと考えられがちですが、ロシアにおける五輪は『戦争』です。メダルの数に関してはプーチン大統領から強いプレッシャーがかかっているとも聞きます。ワリエワ本人の意向はともかく、指導者やスタッフにとってはどんな手段を使ってもアスリートを勝たせることが至上命令になってくる。勝てば生活が豊かになり、家族全体が救われる。しかし今回のワリエワに関しては、ドーピングなんてしなくても十分金メダルは取れたと思います。ROCの焦りを感じますね」

アスリートの祭典に暗い影を落とした今回のドーピング騒動。決して綺麗事では言い表せない五輪の「闇」を、人々が知る契機にもなりそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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