北京五輪の女子カーリングで、カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが快進撃を見せている。強豪国との対戦が多かったラウンドロビン(総当たりの予選)序盤戦で、3勝1敗という好発進を決めた。 初戦のスウェーデン戦こそ惜敗して黒星発進となったが、…

 北京五輪の女子カーリングで、カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが快進撃を見せている。強豪国との対戦が多かったラウンドロビン(総当たりの予選)序盤戦で、3勝1敗という好発進を決めた。

 初戦のスウェーデン戦こそ惜敗して黒星発進となったが、その後のカナダ、デンマーク、ROC(ロシアオリンピック委員会)戦で3連勝を遂げた。



ラウンドロビン4戦を終えて3勝1敗と好調なカーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ

「最後は"アイスに勝った"」

 ROC戦後、リードの吉田夕梨花が苦笑い気味にそう振り返ったが、今大会は、パス(ストーンの通り道)によってストーンの滑りや曲がりに落差がある、非常にデリケートなアイスに仕上がっている。戦っている選手はもちろん、外から見ている解説者や関係者も「何が起こるかわからない難しいアイス」と口をそろえる。

 それでも、ロコ・ソラーレが粘投して結果を出せたのは、コロナ禍での2シーズン、活動が大幅に制限されたなかで最大限の準備をしてきたからだ。

 五輪のアイスがどのような性質になるのかが未知数だったため、ホームのよく曲がる常呂をはじめ、ストレートの傾向が強い軽井沢、人の出入りが多く変化しやすい札幌、新しいリンクで情報の少ない稚内と、それぞれのアイスで数週間の合宿をこなしてきた。

 さらに今シーズン中盤の年末から年明けにかけては、カナダ・アルバータ州のトップカーラーが集うカルガリーのリンクを拠点にして活動。その間、オランダ・レーワルデンのアリーナアイスで世界最終予選を戦って、その事前合宿ではスイス・ルツェルンのアイスで調整するなど、世界各国でさまざまなアイスを経験してきた。

 五輪を目前にしてタイトなスケジュールを強いられたが、北京入りを前にスキップの藤澤五月が「どういった状況のアイスになっても対応できるようにチームで練習してきたので、どんな状態の氷になってもドンと来いって感じです」と語ったように、結果的にはメリットのほうが大きかったのではないだろうか。

 また、ここまでの4戦で、ロコ・ソラーレは不利な先攻で得点を奪うスチールを8回、1エンドで3点以上を獲得するビッグエンドを3回と、それぞれトップクラスの数字を残している。

 チャンスで攻める姿勢を貫けたのは、各地の多様なアイスで変化を察知する能力を養ってきたことと無関係ではないだろう。

 サードの吉田知那美は「五輪出場という経験が人生にとって特別であることは間違いない」としたうえで、五輪に向けてのコロナ禍での強化についても「同じくらい明日の練習も楽しみで、大切だと思っている」と語っていた。

 どんな状況にあっても決して諦めず、現状における最善を尽くす――その姿勢が今大会でも原動力となって、デンマーク戦での劇的な逆転劇や、ROC戦での連続スチールなどにつながっているのだろう。

 ラウンドロビン4戦を終えて3勝1敗という成績は、銅メダルを獲得した4年前と同じ。ただし、平昌五輪ではその後にスウェーデン、カナダ、スイスといった優勝候補との対戦が控えていた。もちろん、簡単な相手などひとつもないが、今後の対戦は少なくとも前回よりは与し易い5戦となっている。

 かなりの混戦模様ゆえ、おそらくクオリファイ(決勝トーナメント)進出のボーダーラインは5勝でギリギリ、6勝すればほぼ確定。7勝なら安泰といったところだろう。

 できれば、地力があって好調なイギリス、アメリカ、スイスとの対戦前、2月14日の中国(10時05分~)、韓国(21時05分~)との連戦で星を重ねたい。

 5勝1敗で残り3戦という理想的な状況となれば、余裕をもって強豪との試合に挑め、プレーオフまで見据えた戦い方もできるはずだ。

 アイスの変化とその察知がカギとなる、勝負の中国、韓国戦に注目したい。