スコットランドの名門クラブが沸いている。セルティックで、日本人選手が大活躍しているのだ。 歓喜の声を上げているのは…
スコットランドの名門クラブが沸いている。セルティックで、日本人選手が大活躍しているのだ。
歓喜の声を上げているのは、地元のファンだけではない。現在所属する選手たちは、他の日本人選手、あるいは監督へ、ヨーロッパ入りの道を拓くかもしれない。セルティックが日本サッカーの未来を切り拓く可能性について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■ポステコグルーのサッカーがイングランドを魅了する?
アンジェ・ポステコグルー監督はセルティックに移ってからも、サイドからの速いクロスを多用する横浜F・マリノス時代と変わらないサッカーを志向している。そして、同時に非常に攻撃的なサッカーを目指しているのも変わらない。
2月6日のマザーウェル戦でも、70分に前田大然のゴールが決まってスコアが4対0になってからも、セルティックは攻撃の手を緩めなかった。後方でパスを回したり、コーナー付近でボールをキープして時間を浪費することはなく、最後までゴールを狙って攻め続けた。
そんなポステコグルー監督の姿勢がどのように評価されるか分からないが、イングランドのサポーターはそうしたアグレッシブなスタイルを好むだろうし、特徴のあるチームを作りたいと考えるイングランドのクラブはポステコグルー監督に注目するかもしれない。
■ヴェンゲルのアーセナル行きと異なる点
Jリーグ・クラブの監督を経験した指導者がプレミアリーグで成功した例としては、20年以上にわたってアーセナルを率いていくつものタイトルをもたらしたアーセン・ヴェンゲルの先例があるが、ヴェンゲル監督がもともとASモナコを率いてフランス・リーグアン優勝やヨーロッパ・チャンピオンズリーグでの決勝進出などの実績を持っていた指導者だったのに対して、ポステコグルー監督はギリシャ生まれではあるが、オーストラリア育ちの人物であり、ごく短期間ギリシャの3部リーグで監督経験があるものの、ヨーロッパでは無名で、オーストラリアと日本での実績を評価されてセルティックの指揮を執ることになったという点が重要だ。
セルティックとの交渉が進行している頃には「ライセンス問題」が取り沙汰された。ポステコグルー監督がヨーロッパのトップリーグで指揮を執るために必要なUEFAプロライセンスを持っていなかったからだ。UEFAのライセンスを持っていれば、日本でもオーストラリアでもトップリーグのチームの監督となれるが、日本のS級ライセンスを持っていても、ヨーロッパでは監督になれない。それが、日本人指導者がヨーロッパに渡ることを妨げてきた。
■鬼木監督もヨーロッパ挑戦が可能に?
日本人選手が多数ヨーロッパのクラブに渡ることで日本のサッカーの強化は一段と進んだ。ワールドカップでラウンド16以上を目指すほど日本代表の実力が上がったのも、選手たちのヨーロッパでの経験が大きかった。
次に目指すべきは、指導者のヨーロッパ進出だろう。将来は、日本人監督がヨーロッパのチャンピオンズリーグで指揮を執る姿を見てみたいものだ。
だが、そこに“ライセンスの壁”が立ちはだかる。
ヨーロッパでプロライセンスまでを取得するというのが正攻法だろう。たとえば、長谷部誠あたりが引退後にヨーロッパでライセンスを取得して指導者となってくれれば、ドイツ人選手たちも信を置くだろうから成功する可能性は大きい。だが、Jリーグで実績を残した監督がヨーロッパに進出するには“ライセンスの壁”を乗り越える必要があるのだ。
そこで、もしポステコグルー監督がビッグリーグの監督となって成功できたとすれば、日本人指導者のヨーロッパ進出への突破口となるかもしれない。
ヨーロッパで活躍する数多くの選手を輩出した川崎フロンターレはこれからヨーロッパからも注目される存在になるだろう。その指揮官としてJ1リーグを4度も制した指導者だったら、ヨーロッパのクラブも食指を動かすことがあるかもしれない。もちろん、鬼木達氏に“その気”があるかどうかは別の問題ではあるが……。