​ ​​ 大みそかの「Yogibo presents RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)からひと月が経過し、2022年の格闘技界もようやく本格的に動き始めようとしているが、年明けから今日までの間に気になる発言がいくつか…

 


 大みそかの「Yogibo presents RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)からひと月が経過し、2022年の格闘技界もようやく本格的に動き始めようとしているが、年明けから今日までの間に気になる発言がいくつか散見された。その中の一つに前田日明氏がRIZINの榊原信行CEOに対して発言した「選手はプロモーターのおもちゃじゃない」があった。今回はこの発言を見えてくるものを考えてみた。全4回の第4話(最終回)(取材・文=Show大谷泰顕)

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 プロモーターに関しては『バカサバイバー』青木真也が興味深い見解を残している。

「このカードを実現できるのは3人しかいないと思う。アントニオ猪木会長か、RIZINの榊原信行CEOか、石井和義館長。本当に実現させたいなら、そのうちの誰かが間に入るしかない」

 これは2019年だったか、那須川天心VS武尊の実現性について答えた際の言葉だった。

 結局、それから紆余曲折あって、昨年末に会見が行われ、榊原CEOが間に入り、このカードを今年6月に実現させることが発表されたが、青木の発言には日本における三大プロモーターがこの3人だという認識がうかがえる。

 なお、青木いわく、「プロモーターには2種類いる」らしく、「それは悪いプロモーターともっと悪いプロモーター」だとのたまっていることも付け加えておくが、毒舌を吐き続けても、どこか憎めない青木らしさのある物言いだと思った。

 

 最後に、記者が考える榊原CEOの胸中を書き記すと、おそらくは苦渋の決断を繰り返している毎日ではないか。そんな気がしている。なぜなら榊原CEOが2015年にRIZINを立ち上げた時の気持ちを思えば、歯がゆくて仕方がないだろうことは容易に想像がつくからだ。

 

 

 振り返るとPRIDE時代には、4万人収容とも5万人収容とも言われる、さいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンでの大会を、年に4回開催していたこともあったし、地上波での視聴率も今の倍は弾き出していたはず。スカパーにおいてもPRIDEは優良コンテンツのトップクラスだった。確かにRIZINもは今現在、格闘技界の中では、誰よりも愛されるイベントに成長したかもしれないが、榊原CEOからすれば、「PRIDEはこんなものじゃなかった」との思いがきっと強くあるに違いない。

 要は、榊原CEOが苦しめられているとすれば、前田氏の発言よりもコロナ禍よりも、かつての自分の残してきた実績ではないか。そう思わずにはいられない。

 今回の前田発言に関しては、「触らぬ神に祟りなし」とすることも考えたが、たとえ狂信的な前田信者にお叱りを受けてしまうとしても、多少なりとも思ったことを書いてみようと思い立った。それは記者が、前田氏とはレベルこそ違うものの、それなりにこの業界への愛着を持っているとの自負があるからだ。

 総括して理想論で締めるなら、まずは一刻も早く戦時下もコロナ禍も吹き飛ばし、一歩でも前に足を進めること。そして一致団結して、その先にある明るい未来を手にできる日が来ることを望んでやまない。

「人は歩みを止め、挑戦をあきらめた時に年老いていく。迷わず行けよ、行けばわかるさ」(アントニオ猪木引退挨拶より)

 常にこの言葉を胸に業界内に生息している身としては――。

 

[文:Show大谷泰顕]

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