ビッグウェーバーの聖地ハワイ・パイプラインで開催された、2022年WSLチャンピオンシップ・ツアー開幕戦「Billabong Pro Pipeline(ビラボン・プロ・パイプライン)」。8〜10フィートの良質な大波が押し寄せるなか、卓越した…

ビッグウェーバーの聖地ハワイ・パイプラインで開催された、2022年WSLチャンピオンシップ・ツアー開幕戦「Billabong Pro Pipeline(ビラボン・プロ・パイプライン)」。8〜10フィートの良質な大波が押し寄せるなか、卓越したバレル技術を魅せたケリー・スレーターがメンズ優勝を手にした。ウィメンズ優勝はノースショア出身のビッグウェーバー、モアナ・ジョーンズ・ウォン。

メンズファイナル、ケリーがセンセーショナルなバレルをメイク

1990年のデビュー以来、通算55回の優勝と11個の世界タイトル獲得——。言わずと知れたサーフィン界のカリスマが、50歳を目前にして挑んだのはやはりチャンピオンシップ・ツアーだった。

メンズクラスの最終日。ファイナルに進んだケリーの対戦相手となったのは、モニーツ家5人兄弟の末っ子、セス・モニーツ。ハワイアン・レジェンドサーファーであるトニー・モニーツを父に持つ彼は、弱冠24歳の若手ではあるが、幼少期からパイプラインの大波に乗ってきた経歴がある。


エリートサーファー一家出身のセス。姉にロングボードのワールドチャンピオンであるケリア・モニーツ、兄にQSで活躍するジョシュア・モニーツがいる。 Photo by Brent Bielmann/World Surf League

ヒート序盤、両者とも果敢にチューブを攻めるもあと一歩のところで潰され、インコンプリートが続く。流れが変わったのは、10分が経過したころ。ケリーがバックドアで3本目の波にテイクオフした時だ。ケリーは低い姿勢からチューブに入ると、長いトンネルをぐんぐん進み、閉じかけた穴のスキマから見事脱出。9.00ptをスコアした。

     この投稿をInstagramで見る           

World Surf League(@wsl)がシェアした投稿

9点ライドの映像。これを見た会場の熱気は言わずもがな、最高潮に。

このライディングを皮切りに勢いづいたケリーは、4本目に7点、5本目に8点と立て続けに高得点をメイク。6本目につかんだ波ではスーパーレイトドロップのテイクオフから、迫り来る波のリップをギリギリでかわし、ロングバレルへ。9.77ptのセンセーショナル・ライディングを私たちの胸に叩きつけた。


レイトドロップするケリー  Photo by Tony Heff/World Surf League

そのビハインドからセスもテイクオフし、バックドアで9.43ptをスコアするライドを披露。勝負に「もしも」はないが、仮にもう少し時間があれば、セスの大逆転も見られたのでは。そんな妄想をさせる名勝負だった。


右からケリー・スレーターとセス・モニーツ Photo by Tony Heff/World Surf League

「正直なところ、私はケリーの下で、彼のサーフィンをただ見ているような感じでした。彼が波を得るたびに8点、9点となったので、”ああ、始まった “という感じでしたね。前のヒートでは何度かやられ、本当に疲れていて大きなミスもありましたが、彼と対戦してサーフィンできたのは光栄でした」(セス・モニーツ)

ウィメンズ初開催のパイプで、ノース生まれのビッグウェーバー・モアナが優勝

ウィメンズの大会がパイプラインで本格的に開催されたのはCT史上初。そんな記念すべき大イベントのファイナルに選ばれたのは、オアフ島ノースショア生まれのビッグウェーバー、モアナ・ジョーンズ・ウォン。

ハレイワ在住のモアナは、パイプラインで最も優れた女性パイプライナーとして広く知られている。今大会にはワイルドカードでの出場が決定。念願のCT初出場に緊張を見せるかと思いきや、そんな様子はおくびにも出さず、むしろ試合を楽しんでいるようだった。


後ろ手でしっかりとストールし、チューブインするモアナ。 Photo by Brent Bielmann/World Surf League
チューブを抜け、笑顔で大きく手をあげるモアナ。 Photo by Brent Bielmann/World Surf League

彼女が対戦したのは、同じくハワイ出身のカリッサ・ムーア。2020東京五輪で金メダルを獲得した彼女のサーフィンは記憶に新しい。カリッサもケリーと同様、デビュー以来輝かしい成績を残してきたサーファーのひとりだが、そんな強敵相手に気後れすることなく、モアナはグッドライディングを連発。

逆にカリッサに反撃の機会を与えないまま、ヒートは終了。一方的な試合展開となった。


カリッサもバックハンド・グラブレールで応戦するが、モアナのライディングには届かなかった Photo by Brent Bielmann/World Surf League
試合時間残り数秒、会場からいっせいにカウントダウンコールが。優勝を確信し、思わず顔を覆うモアナ。 Photo by Brent Bielmann/World Surf League

「信じられない。人生で最高の瞬間。こんなことを成し遂げられるとは思ってもみなかったわ」。カリッサを破った直後、モアナは海の上で涙ながらに発言。

モアナが驚き涙するのも無理はない。彼女はCTで初優勝したと同時に、5回も世界チャンピオンに輝いたトップサーファーを破ったのだから。勝因はもちろん、ビギナーズラックや偶然なんかでは全くない。それが彼女の努力に裏打ちされた結果だということは、火を見るより明らかだ。

     この投稿をInstagramで見る           

World Surf League(@wsl)がシェアした投稿

五十嵐カノアはクォーターファイナルで敗退

日本の五十嵐カノアはクォーターファイナルでケリー・スレーターと対戦。世界王者相手に奮戦するも、力及ばず敗退となった。今回クォーターでの脱落となった五十嵐だが、現時点で彼の総合ランキングは5位。ツアーはまだ始まったばかり。今後の活躍に注目したい。


五十嵐カノア Photo by Tony Heff/World Surf League

次大会は2月11日からサンセットビーチで

盛況のうちに幕を閉じたCT開幕戦だが、はやくも2戦目である「Hurley Pro Sunset Beach presented by SHISEIDO(ハーレイ・プロ・サンセットビーチ)」の開催が2月11日〜23日で予定されている。大会の様子はWSLのホームページ、YouTubeチャンネル、および無料のWSLアプリでLIVE配信される。


Photo by Brent Bielmann/World Surf League

  

The post ケリー、圧巻。2022年 CT開幕戦「ビラボン・プロ・パイプライン」男女王者が決定 first appeared on FINEPLAY.