​ ​ ​ 大みそかの「Yogibo presents RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)からひと月が経過し、2022年の格闘技界もようやく本格的に動き始めようとしているが、年明けから今日までの間に気になる発言がいくつか散…


 大みそかの「Yogibo presents RIZIN.33」(さいたまスーパーアリーナ)からひと月が経過し、2022年の格闘技界もようやく本格的に動き始めようとしているが、年明けから今日までの間に気になる発言がいくつか散見された。その中の一つに前田日明氏がRIZINの榊原信行CEOに対して発言した「選手はプロモーターのおもちゃじゃない」があった。今回はこの発言を見えてくるものを考えてみた。全4回の第2話(取材・文=Show大谷泰顕)

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 2000年代のPRIDEとK-1の年間売上高が各100億円だったとすると、プロレスはどうなっているのか。

 例えば新日本プロレスの売上高は、1996年の40億円が過去最高だとの記事をネット上で見かけた。「10・9」と呼ばれた、新日本VS UWFインターナショナルの全面対抗戦が、1995年10月9日の東京ドーム大会なので、時期はそのころの話になる。

 その後、新日本は暗黒期に突入し、業績を低迷させるものの、そこからV字回復した結果、2012年からは業績を持ち直し、2014年には27億円以上の年間売上高を記録する。

 つまり、この国のプロレス・格闘技の市場は、最盛期でおおよそそのあたりの市場規模だということが分かる。

 だが、これが海を渡ると、まったくその市場規模は大きく変わってしまう。

 まず世界最大のプロレス団体のWWEに至っては、YouTubeのチャンネル登録数が8530万人と世界第7位。ネット上には2012年の売上高が6億USドル(約700億円)との記述もあった。

 さらに、米国に君臨する世界最大の総合格闘技団体であるUFCは、世界58カ国以上から最高峰の選手が常時600名近く参戦し、28カ国161都市で570大会以上を開催。172の国および地域において40カ国語でテレビ放送されているが、2016年に、それまでのオーナーであり、榊原CEOからPRIDEの権利をM&Aで買い取ったロレンゾ・フェティータ氏からWEM-IMG(現在のEndeavor)に売却された際には、買収金額が40億2500万ドル(約4400億円)とも言われ、スポーツ関連の売却ビジネスでは過去最大の金額を記録した。


 UFCに関しては、モルガン・スタンレーが2021年の収益を8億8200万ドル(約900億円)と推計したともいわれ、もう日本の市場規模とは雲泥の差が開いてしまった現実がある。

 PRIDE時代には、例えば2003年に開催された「PRIDEグランプリ」(11月9日、東京ドーム)にUFCの推薦選手だったチャック・リデルが参戦。クイントン・『ランペイジ』・ジャクソンに敗れたが、UFC関係者は試合以上に、東京ドームの広さとド派手な演出を含めたPRIDEの勢いにど胆を抜かれていた。現在では完全に立場が逆転してしまった感は否めないどころか、いつの間にか追い抜かれて、遥か彼方を悠々自適に泳いでいるのが実情だろう。

 そして、これは今さら書き記すまでもないが、現在は全世界がコロナ禍にあって、誰もが不安と闘う毎日を強いられている。

 象徴的なのは、安倍晋三元総理が在任中に、「第三次世界大戦」とまで口にしたことだろう。それをそのまま受け取るとすれば、日本は今、戦時下にあることになる。

 そんな中でイベントを開催することがいかに苦行に近いか。記者はプロモーターになった経験がないので、見当違いのことを書いている可能性はないとも言い切れないが、それでも尋常でないほどの幾多の困難を乗り越えて、なんとかRIZINを開催している、というのが本当ではないだろうか。

[文:Show大谷泰顕]

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