UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントが、2月15日よりスタートする。並みいる強豪を押しのけて、今シーズ…
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントが、2月15日よりスタートする。並みいる強豪を押しのけて、今シーズン欧州の頂点に立つのはどのクラブか。3人のライターに優勝候補をあげてもらった。
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CL優勝候補のキーマン。マンチェスター・シティのベルナルド・シウバ(左)と、バイエルンのレバンドフスキ(右)
攻撃力でバイエルン
西部謙司(サッカーライター)
<優勝予想>
◎バイエルン
〇マンチェスター・シティ
▲パリ・サンジェルマン
3チームがグループステージで全勝。もちろん、これがそのままノックアウトラウンドの保証にはならないが、参考にはなるだろう。
アヤックスは勝負のシーズンだ。2018-19シーズン以来のベスト4もありそうな勢い。伝統の4-3-3は洗練されていて、アントニーやリサンドロ・マルティネスなど若手が相変わらずすばらしいが、グループステージ得点王のセバスティアン・ハラーは過大評価すべきではない。
長身、バスケットボールのリバウンド王のような雰囲気。ゴール前で決定的な仕事ができるが、限られた状況で得点できるだけで、万能のゴールゲッターではなく数字に惑わされてはいけない。周囲のサポートあっての選手だ。アヤックスに期待はしたいがダークホースまではいかない。
リバプールは強力だ。モハメド・サラーの威力は凄まじく、フィルジル・ファン・ダイクの復帰で昨季のセンターバック(CB)不在問題は解決された。ホームでの強さも有利だろう。ただし、相手に引かれた時の得点力という課題は残る。本命にあげてもいいチームだが他に候補がいるので外した。
全勝チーム中でも最高成績のバイエルンが本命だ。ダビド・アラバの抜けたCBの守備に問題があるものの、それを補って余りある攻撃力。難なくボールを前進させられるので、相手は常に後退しながらの守備になり、そこへ4、5人がボックスへ突っ込んでいく攻め方はどんな相手にも脅威である。
対抗はマンチェスター・シティ。戦術的には最先端で秩序とカオスのブレンドがすばらしい。総合力は最高だがスーパーなゴールゲッターがおらず、そこがネックになりそう。
穴はパリ・サンジェルマン。何といってもリオネル・メッシ、キリアン・エムバペ、ネイマールがいるので何もないところから得点できる。守備力も高く、3人を起用する適切なバランスを見つけ出せば可能性はある。
シティに優勝の準備が整った
中山 淳(サッカージャーナリスト)
<優勝予想>
◎マンチェスター・シティ
○バイエルン
▲パリ・サンジェルマン
マンチェスター・シティを率いて6年目になるジョゼップ・グアルディオラ監督にとって、今季は絶好のチャンスと言える。昨季はベスト8の壁をついに破って初の決勝進出。悲願達成を目前にチェルシーにタイトルを奪われたが、今季はその経験値がプラスに作用するはず。
しかも、今季はジャック・グリーリッシュ以外の補強を行なわず、ほぼ現有戦力をベースに成熟度を高めることに成功。グループステージ最終節はメンバーを落としてライプツィヒに足元をすくわれたが、パリ・サンジェルマンに敗れた以外はほぼ完璧な戦いぶりで首位通過を果たした。
戦力面でも、この冬にフェラン・トーレスをバルセロナに放出したが、フィル・フォーデンやベルナルド・シウバの偽9番起用など攻撃の選択肢は豊富ゆえ、そこに問題は感じさせない。国内リーグでも隙がなく、序盤から首位を堅持するなど安定感も抜群。抱える戦力といい、チームの完成度といい、初優勝を狙うだけの材料はすべて揃った状態にある。
そのシティと同レベルの安定感を誇るのが、グループステージ6戦全勝で首位通過を果たしたバイエルンだ。当初不安視された気鋭の指揮官ユリアン・ナーゲルスマンの手綱さばきも上々で、見事にベテランと若手のベストミックスを実現させた。
最大の強みは、ロベルト・レバンドフスキというスランプのないゴールマシンを擁する点。アルフォンソ・デイビス、レロイ・サネ、キングスレイ・コマン、セルジュ・ニャブリなどサイドを切り裂く駒も豊富で、百戦錬磨のトーマス・ミュラーも好調を維持している。優勝に必要なチームとしての経験値も申し分ない。
ダークホースは、随一のタレント軍団パリ・サンジェルマンだ。最大のカギは、まだわずかしか実現していないメッシ、ネイマール、エムバペのトリオのコンビネーションがブラッシュアップされるかどうか。もし3人に阿吽の呼吸が生まれれば、前線はそれこそ無限の可能性が出てくる。
故障がちなセルヒオ・ラモスの調子が上がれば、守備力もアップするはず。とにかく、主力のコンディション次第で大化けする可能性を秘めたチームだ。
グループ全勝のアヤックスに注目
井川洋一(サッカーライター)
<優勝予想>
◎バイエルン
○マンチェスター・シティ
▲アヤックス
今季の欧州の頂点にもっとも近いのは、バイエルンと見る。34歳のユリアン・ナーゲルスマン新監督が伝統の強さを継承しつつ、戦術的な幅を植えつけ、磐石のドイツ王者がさらに進化を遂げている印象だ。
グループステージは6戦全勝、22得点3失点とこれ以上ないほどの数字を残している。バルセロナには2回とも3-0と完勝し、国内カップでは12-0、ブンデスリーガでも7-0や5-0と、およそフットボールらしくないスコアも記録。
ロベルト・レバンドフスキ、トーマス・ミュラー、ヨシュア・キミッヒ、マヌエル・ノイアーら、ほとんどのポジションに超一流を揃え、最近では3-2-4-1という攻撃的な新機軸も打ち出し、モダンフットボールをさらに前進させている。そんなチームには7度目の優勝がふさわしい気がする。
次点にはマンチェスター・シティを推す。6シーズン目のジョゼップ・グアルディオラ監督がポゼッションスタイルを極限まで高め、世界で最も難しいはずのプレミアリーグで早くも独走を始めている。
本格派のストライカーがいなくても、フィル・フォーデンやジャック・グリーリッシュ、ベルナルド・シウバ、ラヒーム・スターリングといったスキルフルなアタッカーが偽9番を巧みに務め、夏にハリー・ケインを取り逃がした影響を一切感じさせない。一時は状態が不安視されたケビン・デ・ブライネも完全に復調しており、ルベン・ディアスとエメリク・ラポルトのCBも堅牢そのもの。
今年のW杯を開催するカタールの資本で運営されているパリ・サンジェルマンのほうが意気込みは強いかもしれないが、チームのバランスと組み合わせを考えると、アブダビの首長が実権を握るシティのほうが可能性は高そうだ。2012年のチェルシー以来となる初戴冠は見られるか。
最後に、希望を込めてアヤックスを。優勝回数(4度)は6番目に多いオランダ随一の名門だが、最後の欧州制覇は1995年。他国のメガクラブとの財政規模の差は如何ともしがたく、3季前に久しぶりに4強に入ったあとも、主力のほとんどが引き抜かれていった。
それでもエリク・テン・ハーグ監督が継続して魅力的なチームを築き、今季は混戦も予想されたグループステージを全勝で首位通過。新戦力セバスティアン・ハラーが早々にフィットし、目下リーグ得点王と、新鮮な驚きも提供している。