イチロー氏の指導受けた国学院久我山、11年ぶり4度目のセンバツ出場 第94回センバツ高校野球大会(3月18日開幕・甲子園…

イチロー氏の指導受けた国学院久我山、11年ぶり4度目のセンバツ出場

 第94回センバツ高校野球大会(3月18日開幕・甲子園)に出場する32校が28日に発表され、国学院久我山(東京)は11年ぶり4度目の出場が決まった。メジャーリーグで活躍したイチロー氏から、昨年11月に2日間の直接指導を受けたが、部にとってはその全てが財産。尾崎直輝監督、上田太陽主将(2年)は特に「悩んでもいい」という教えに揃って感銘を受けていた。

 日米通算4367安打、10年連続200安打など輝かしいキャリアを誇るイチロー氏。2020年に当時の2年生が手紙を送り、昨年11月に国学院久我山での直接指導が実現した。尾崎監督は「目から鱗。心技体全てでアドバイスを頂いた」と当時を振り返った。

 最初の指導は走塁面。地面と足が設置する場所、股関節の動かし方、腕の振り方など事細かにコツを伝えられた。「自分たちがやってきたものと差があった。別もの」と驚いた上田主将は、続く打撃指導でより心を揺さぶられた。

 主に3番打者を務めた秋季大会は、思うように結果が出なかった。周りの目を気にして悩みがちな性格。メンタル面についてイチロー氏に問うと「考えたり、悩んだりしてもいい」と真剣に説いてくれた。尾崎監督は意図についてこう語る。

「子供たちは賢いから、考えて工夫する。上手くいかないこともあるけれど、そうやって挑戦することこそが大事だと。上手くいかなかったときに、やり続ける継続力、壁にぶつかったときに新しいやり方を生み出す想像力が必要だよねとおっしゃられた」

「野球の神様」だったイチロー氏に見た人間らしい側面

 絶対的な自信があり、不安なんてない。そんなイメージを抱いていたイチロー氏も、悩むことがあると聞いた。「僕たちからすると野球の神様。親近感、イチローさんの人間らしい側面を見た」と尾崎監督。「考えてすぎて、迷宮入りする。それもいい」。“打って当然”に近い期待を向けられ、プレッシャーと戦い続けてきた大打者からの金言は胸に響いた。

「頭を使った野球」が久我山の伝統。現在は新型コロナウイルスの感染対策で、全体練習を行っていない。曜日や時間を限定したうえ、グラウンドでは5人程度のグループに分散し、ポジションを超えての接触は控えている。個人で考えて工夫することが習慣化しているが、そこにイチロー氏の教えがプラスされたことで、この時期もより前向きに過ごせている。

 指導を受けた選手は今まで以上に細部を考え、自分と“対話”できるように変わったと感じている指揮官。「(イチロー氏が)現役、高校時代から考えていたことを全てあのグラウンドに落としてくれた。全て拾わせていただき、今に活かしています」。春夏通じて7度目の甲子園だが、これまで夏1勝、春は未勝利。レジェンドに報いるためにも、まずはセンバツ初勝利へ準備を進める。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)